情報収集不足
既に活動報告でも書きましたが改めて。
誤字報告ありがとうございます。感謝しております。
「戦車って、あの戦車ですか?」
戦車と聞いて頭の中に浮かぶのは馬車の簡易版で兵士が乗って、矢や鉄球を投げたするものだ。乗っている兵士が攻撃しやすいように設計されているらしい。ただし、この足跡――車輪痕はそれとは全然違うものに見える。
『えーと、多分イメージが違うから訂正しておくけど、鉄の板で守られた移動する要塞って言ったらわかるか?』
「……要塞が移動するんですか? あの、すみません。やはり想像がつかないです」
『いや、俺も上手い説明が思いつかなくってスマン』
とにかくゼンタロウは正体を知っているらしい。私たちは実際に見て確認した方が早いだろうという事になった。
アモンと供に奇妙な車輪痕を追跡しつつ、ゼンタロウは“ネット”という物を使ってドワーフの最近の事情を調べるらしい。ゼンタロウの調べ方がどういう手を使っているのかは知らないが、割と信頼性は高い。なぜかよく当たるとだけ認識している。
足跡を追うこと半刻ほど過ぎ、そろそろ拠点から離れすぎているだろうと進むのをやめようと考えている頃だった。
『……あーあ、やっべえなぁ』
ゼンタロウが珍しく不安そうな声を出していた。
「なにがどうわかったのでしょうか?」
『ドワーフが近代兵器を開発してた……』
なにやら相当深刻なのか、ゼンタロウの声があまり面白くない様子だった。
「ところで、近代兵器? というのは普通の武器とは違うのでしょうか?」
『ユキノは二週間くらい前にシグさんってオートマタのヤツと会った事、覚えてるか?』
「はい。あの奇妙な機械族の方ですね」
『その機械族の特性って言ったらいいか。レーザーとかミサイルとか使ってただろう?』
「アレは凄かったですね」
音だけで殺されるかと思ったほどだった。その後、それ以上の殲滅力を見せつけられたのだった。あれを自分に向けられたらどうやっても助からないだろう。それくらい圧倒されたのだ。
『ああいうのをドワーフが作ってるんだってよ。設計図っていうアイテムがあると、ドワーフがそれを理解して作れるようになるんだとさ。多分、オートマタの誰かがこっちの大陸に来て設計図を渡したんだろ』
「……その誰かというのは、この前の機械族の人なのでは?」
『シグさんがか? まあ、時期的に黒に近いグレーだけど、そんなこっちゃ知らん。それより問題なのは、相手が機関銃ぶっ放してきたり、徹甲弾やらミサイルを飛ばしてくる可能性があるって事だけだ。言っちゃあ何だけど対策なしで挑んだら、みんな挽肉にされちまう』
先ほどからゼンタロウは私たちに馴染みのない言葉を使ってくる。
機関銃とか徹甲弾とか。単なる予測だが、あの機械族のように遠距離からの超速攻を行うのであろう。
一応、攻撃が見切れないという程ではないと思う。小さな針のような鉄が目標物を吹き飛ばすのを目で捉える事はできたからだ。
……が、身体が動けるかどうかはまた別問題だ。弾丸という物体は速すぎる。見えていても、体が動いてくれるかは別の話だ。
私が頭を悩ませていると、アモンがそれよりもと言い加えてから提案をした
「とりあえず、どういたしますか? これ以上進みますと、拠点から大分離れた事になります」
『それも問題だな。結局、コイツがどこまで続いているのかわからないし……。とりあえず正体はわかったし、一度戻るか』
「わかりました」
そういう訳で、来た道を戻ろうとしたその時だった。
遠くの空から花火でも上げたような二発の爆音が聞こえてきた。
「なんでしょうか今の音?」
一瞬身構えたが、しかしこの位置からでは遠すぎる位置だったので、特に警戒心が強まる事はなかった。だが、一つ妙な事が起きていた。
「なに、あれ?」
「なにやら明るいですな」
夜中だというのに、遠くの空の雲に明かりが映っている。まるで下から光を発せられたような光景だ。
それから更に、機械族の使っていた武器とよく似ている音が、こんな遮蔽物の多い森の中でも聞こえてきた。
『戦闘が始まった音だ』
「……どうするんですか?」
ゼンタロウは一度『うーん』と唸りながら考えていたが、しかしすぐに答えを出した。
『流石に助けるべき連中が死んだ後に駆けつけても遅いからなぁ。丁度いい機会だ。現場判断になっちゃうけど、助けちゃうか!』
「ノリが軽いですね……」
「頼もしい事です。ところで陣形はいかがいたしましょうか?」
『ユキノもアモンも壁張れるタイプじゃない。でも今回はそれが功を奏したな。銃撃戦なんかする相手にファンタジー定番の陣形なんてやったら、的でしかない。遊撃が基本。俺達は障害物を盾にして身を守りつつ、裏に回りこんで攻撃。アモンは空から援護して狙われたら即退避。いやらしく纏わりついてやれ』
「畏まりました。いやらしく纏わりつきましょう」
そうと決まれば早速、移動開始だ。
既に拠点から離れすぎており、今日中には戻れない位置まで移動していた。
その頃には銃撃の音は既に止んでいたが、機械族が発する特有の音だけは常に聞こえてきていた。近づけば近づくほど、ハッキリとその存在を知覚できる。
そして、どうやら此方に向かってきているようだった。いや、少しずれているだろうか。このまま真っ直ぐ行ってしまうとすれ違いになってしまう。
「相手が移動してる」
「我々の位置がばれているのですか?」
「違うと思う。横を素通りする感じだから……もしかしたら何かを追いかけてる?」
よく耳を澄ませてみると、息を切らせて走っている存在がいるような気がする。二ついる。
まさか、野生動物を狩っている訳ではないだろう。
たぶん、エルフか獣人のどっちかだ。
「急いで助け出さないと!」
『はは、正義の味方みたいな台詞』
「インフェルノ」
『茶化してゴメン』
他人が死のうが生きようがどうでもいいが、自分の知っているところで死なれるのは非常に困る。
何せ気が散る。イライラする。気持ちが落ち着かなくなる。だから嫌だ。
飛び出して木々の間を縫って駆け抜け、そして遂に捉えた。
最初に目に飛び込んできたのは、私と同年代くらいのエルフが二人いた。
次に目に入ったのが、彼等を追いかけている存在だ。
一瞬、それが何かわからなかった。歪な形をした鋼の巨人とでも言うべきか。
なんだろう、表現が難しい。足が二本、膝を地面に屈した状態で滑らかに移動していて、頭部のない人の形をしていた。胴体部分が透明な箱となって中に誰かが座っている。腕も大きいが、手の平がなくて、三本の指のような物が備わっている。もう片方の手は巨大な筒を抱えている。
初見でコレがなんなのか、困惑してしまった。これがゼンタロウの言っていた、戦車なのだろうか。
「コレがゼンタロウの言っていた戦車ですね!」
『ゴメン、それパワードスーツだわ』
大型パワードスーツのテキトウ設定
全体 高さ3~4メートル。全体像、比 横2:縦3
頭部 無し
腕部 指無し、ガトリングとバズーカを装着。
胴部 コックピット、ガラス越し。
脚部 キャタピラ二足 両足の幅、およそ2半メートル。
オイル臭そう。キャタピラはロマン。




