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精霊騎士団 特別会議①

メモ 精霊騎士団序列


王席 アリッサ(人) + ブラックラック・男

第一 スノー(エル) + ゼタ・男

第二 アゲイル(魔) + マダオ・男

第三 奏(人)    + Re:To・男

第四 メロン(魔)  + ころぽん・女

第五 ルピア(人)  + コッコ・男

第六 アモン(獣)  + ダンテ・男

第七 オルレ庵 (ド)+ ロン丼・女

第八 ティン(獣)  + ダイス・男

第九 緑茶(人)   + 湯吞太子・男

 スノーの自宅が無くなってから五日後のお昼過ぎ頃。


 俺や小田は議題の事実確認のために奔走されながら準備を整え、精霊騎士団の会議は、まもなく無事に開かれる事となった。




【精霊騎士団】


 サモンズワールド内では名の知れた実力者達の集まりであるが、その数は僅か10人である。



 もともとは明確な行動方針が示されているわけではなかった。


 ただ「こうすれば便利、あるいは効率的なのでは?」と意見を出し合ったり、一緒になって新事業を開始したり……まあ、とにかく何でもやってきた。そんな風にみんながサモルドでエンジョイしつつも割とガチで遊んでいたら、全員がスコアランキング上位に入る猛者集団になっていただけだ。


 後は互いに情報を交換したり、手に入れたアイテムが不要な場合は必要だと思った仲間に譲渡したり、たまに難易度の高い依頼やイベントなどに協力しているだけだ。



 でも一応、皆で集まろうという時はちゃんと参加できる時間をラックさんに伝えて、全員参加する事ができる。

 普通かと思うかもしれないが、意外とできないギルドは多い。


 会議には特別に用意された部屋がある。アーサー王伝説の円卓のそれであり、部屋の一番奥の王の席にはリーダーのラックさんのキャラ(アリッサ)が座る。もちろん、小田が提案した。


 序列は精霊騎士団加入順なので、第一席は金髪エルフ、ユキノの姿をしたスノーがいる。


 続いて第二席は黒い鎧に仰々しい兜の姿をした竜田アゲイルだ。最近になって暗黒騎士の鎧が完成したので正装はこの姿となっている。以前の汚れた鎧も嫌いじゃあないけど、黒い鎧の方が普通に見栄えがいい。



 そこから他のメンバーが席を埋めていく。

 椅子は全部で14席あるけど、メンバーが10人しかいないので4席分が空席だ。



 全員が集まって座ったことで、リーダーのラックさんが話し始める。



『皆集まったね。今日は招集に応じてくれてありがとう。定例会議と別のタイミングだったけど、全員が集まってくれて良かったよ』


 皆が思いも思いに挨拶をして確認し合う。集まっている人数は10人に見えるが、声はそれ以上の数が一遍に話し出す。意思のある存在がここに20人はいる状態である。もはや誰が何を言っているのかわからない状態だ。


 そういう事もあり、会議では決まって話したい議題を先にラックさんに提出してから議題を予め決めておいてから進めていく。



『さて、まず先に今回の会議目的を説明したいのだけど、一つ目の方は、もうみんなもわかってると思う。ここにいる全員が現状に問題があると感じているから、この会議が成立したわけだしね。まず、コッコさん。お願いします』



『はい。まず事実報告から。エルタニア王国の国境を越えて侵入するドワーフが何十人もいます。皆、国境検問所は当然のように無視しています。目的は『土の御神殿』の地下空間にあった魔鉱資源。あと、エルタニア西南部の森林地帯の希少木材。それについての信ぴょう性はゼタくん、マダオくん、ダイスくんの三人が保証するよ』


 俺と小田とダイスさんの三人は会議前にドワーフ達が何の目的で国に侵入しているのかを調べていた。


 結果は、地下ダンジョンでの鉱物採掘だった。



「ありゃあ全部ダメっすよ。『土の御神殿』のドワーフ連中。殆んどが白ゾンビでした。たぶんコッコさんの言ってた通り、マジでマクロ使ってますよ。行動が一定でしたし、邪魔しても反応すらしませんでした」



 小田が頭をかきながら文句を言っていた。

 そもそもこのゲームでマクロを使う必要性はほぼないはずなのだ。何せそんなものを使わなくても優秀な自律自動モードがあるからだ。


 スノーなんて俺が携帯で指示しておけばオーダー通りに行動してくれる。例えば何所何処へ移動しておいてっていえば必ずそこへ向かってくれているし、無理ならばちゃんと理由も教えてくれる。


 スノーのAIが成長するのも面白いし、会話だってその辺の性格歪んでる奴等よりもしっかりしている。わざわざシステムを利用する意味が分からない。



『すみません。僕の同族が何やら迷惑を掛けていたようで』

『なに言ってんの。あんな連中、オルレとは関係ないわよ』

『そうかもしれないですけど……』



 精霊騎士団唯一のドワーフ族のオルレ庵が詫びを申し立ててきた。


 隣国のドワーフ国で唯一、精霊騎士団の勧誘に乗ってくれたドワーフ族のプレイヤーだ。彼がいなければ、スノーの竜骨小太刀も、アゲイルが今装備している竜戟槍も、ただの巨大な骨のままだっただろう。ちなみに鑑定眼スキルの持ち主がオルレ庵だ。


 その見た目は肉団子で髭モジャのドワーフとは違って、骨格も肉体も細身の小人族(ハーフリング)みたいな男の子だ。ゴーグルやネックウォーマーなどを着用していて、服装は北国のコートを着込んでいるようにも見える。クラスは錬金鍛冶師を名乗っている。



 正直、目の前のオルレ庵が他のドワーフ達と同じとはとても思えない。

 それというのもロン丼さんが「ドワーフで極限まで細身の男の子にしてみたの、メチャかわいいよね!」と言っていたことから、ショタコンが原因だとわかる。でも、それなら何故ドワーフで作ったし。


 それに対してオルレ庵君はちょっと困った表情で笑ってごまかしていた。わかる、俺にはオルレ庵君の気持ちがわかるぞ。男って生き物はカワイイ物は好きだけど、カワイイと言われるのには凄く抵抗がある生き物なんだよね。




『話を戻すよ。もう一つあるんだ。ユキノちゃんのお家が壊された。相手はドワーフ族プレイヤーで間違いなかった。ゼタ君の読みでは千年樹のストックがなくなったのかも、という推測なんだけど。その辺はオルレくん、どうなの?』


『えっと、はい。そうですね……。千年樹の炭は元々貴重な物ですが、それを扱えるドワーフ自体があまりいませんでした。むしろ『使えるのなら使って良い物を作れ』という感じだったと思います。たぶん、精霊付きの優秀なドワーフが一気に増えたので、急に足りなくなったのではないかと。僕も精霊ゼタの予想には同感です』



 ドワーフ国にいたオルレ庵からお墨付きをいただけた。それならもう一つ聞きたいことがある。


「すみません、オルレくんに質問いいですか?」

『ゼタ君。どうぞ』

「そもそも、ドワーフ達は今まで、どうやって千年樹の炭を用意してきたんだ?」


 精霊付きが急に増えたといっても、最初から使ってなかったわけじゃないだろうし、千年樹をわざわざ見つけて切倒していたら絶対に足りないはずだ。いままでどうやって賄ってきたんだよ。


『えっと、ドワーフ国の森にも千年樹があってですね。ちゃんと植林していたはずです……貴重な存在ですから。普通は不要な枝の部分だけ切らせてもらって、それを炭などに加工していました』

「そっか。ありがとう」



 千年樹一本を丸々全てを切倒す必要ないのか。

 それならドワーフの国にはまだ千年樹があるんだな……。いや、残っているのだろうか?


 ……なぜか今、ドワーフ族のプレイヤー達が植林していた千年樹を全て伐採し尽くして他国に流れ込んできたってところまで想像をしてしまったんだけど……まさかそんな話があるわけないよな。でも、無いとも言い切れない。



「……これって、一度誰かドワーフ国に行ってきて現状を見てくる必要がありそうだよなぁ」

『え?』

「あ、すみません、独り言です」


 マイク切るのも忘れてた。しかも思った事も勝手に口から出てしまった。恥かしい。


 すると俺の言葉を拾ってしまったアリッサが言葉を出した。



『精霊ゼタ君の言う通りだ。彼等は精霊付きとはいえエルタニアの領土を侵犯した挙句、我が国の土地から財を無断で持ち出した。であれば、それはただの盗賊だ。王として、国の財産を奪う不届き者共をこれ以上野放しにはできない。私はかのドワーフ国“ダンケルク”に敵情視察すべきだと思っている』



 アリッサが王様っぽい雰囲気のある事を言ってくれた。


 でも、俺は別に戦う目的で発言したわけじゃあないんだ。しかしアリッサの頭の中は武闘派だから仕方が無いか。訂正すると拗れそうだから俺は言わない。


 それにラックさんなら俺の意図も汲んでくれるはずだ。



『うーん、それなら首相会談みたいな感じにするべきかな。一応、話し合いで解決できる問題だったらそうすべきだし、こっちから向こうに行けば国内の様子もわかるだろう。それに周辺国に対するアピールも大事だ。こちらがまだ常識的な判断ができる国だと思わせないと後が怖い。国同士で争う時、一番厄介なのは背後の第三国だからね』



 北は海、それ以外は陸で続くエルタニア国はいままで敵という敵を作ってこなかった。それゆえにどの国に対しても良い顔をしてきて、どんな種族でも受け入れてきたのだ。まさに八方美人。


 そんな国がいきなり有無を言わさず戦争するぞなんて言えば周りも戦々恐々とするだろう。今度は自分達が攻められる、と考えれば俺だって武器を持つさ。



『ダンケルク国に親書を送ろう。それで外交を行って、ついでに向こうの国がどうなっているか調べよう。どうかな?』


 全会一致で異議なしと表決が出る。


『ありがとう。じゃあ誰か、アリッサと一緒にダンケルクに行きたい人はいる?』



 スノーはアリッサ絡みなので当然パス、アゲイルは竜小屋の件があるので同じくパスだった。



 逆に行きたい者で最初に手を挙げたのはルピアだった。どうやら直接文句を言いにいきたいらしい。完全にコッコさんの意見だろうな。


 他には第九席の黒髪褐色の犬娘のティン。プレイヤーのダイスさんがドワーフの国に興味を持ったらしい。


 それから迷った末にオルレ庵君が故郷の様子を一度見てみたいと言って挙手。




 と、いう事で、抗議のための首脳会談(仮)のメンバーが決まった。


 大きなことがまず一つ決まったところであるが、残念ながらもう一つ、議題は残っている。



『さてドワーフ問題はひとまずいいとして、今回の議題で問題があともう一つ、とても難しい議題があるんだよね……』



 ゲーム世界内でのプレイヤーによる犯罪行為について。


 コレは非常に厄介だ。



『初心者狩り、パーティ詐欺に、取引詐欺、PK……。これらは今まで他のゲームでも経験してきたから対処法も分かるんだけどね……。まさかNPCに手を出して、精霊付きのモラルが疑われるとはね……』



 まだ大きな騒ぎにはなっていないが、以前スノーを肉盾にしようとしていた連中も、この問題のひとつである。


 NPCを攫って利用する、家に侵入して財産を奪う非道な勇者行為、建物をぶっ壊すなどなど……。



 そうした行動が全てプレイヤーの手によって行われていると、NPCからは既に思われている。


 NPC一人ひとりにAIを入れているのか、もはや現実再現のように噂は広がり、精霊付きは犯罪者予備軍だから関わるなという状態になっている。


 つい最近はじめた初心者には分からないが、以前までは大通りはもっと人も多かったし、店も一杯あった。

 でも精霊付きだと判明しているキャラが大通りを通る度に人気が少なくなってしまい、いつしか店も別の場所に変わり、特に武器屋や商店などの有力な店舗は直に店じまいを始める。


 現在は何故か、エルタニアの地下都市の方が賑わいがあるくらいだ。



 迷惑な精霊付きは排除すればいいと思うかもしれない。だがナマジ強いから、プレイヤーは簡単に治安維持の衛兵を倒す事ができる。むしろそれで経験値が入るのだから推奨されているのだと勘違いもする。困ったものだ。


 それに困っているのはNPCだけじゃない。精霊付きに対する風評で、世界感重視で楽しむプレイヤーにとっても非常に迷惑な話なのだ。雰囲気がどんどん悪くなってジャンルがダークファンタジーに進んでいっている節がある。



 その辺は奏・リトさんのコンビから話を聞かされている。


 第三席の奏は元吟遊詩人クラスだ。……ゲームキャラの奏はリアルの音楽が輸入された所為か、ファンタジーに似つかわしくないV系ロックバンドのボーカル&ギターみたいな見た目をしている。テカテカの黒髪に紅いメッシュ、銀リングのピアスに四角のオシャレめがね。高身長で低体重、声にやたらとビブラートを入れてくる。もはや出落ち感が凄いのだが、今その情報は記憶の部屋の片隅にでも追いやっておいてほしい。



 彼等は精霊付きの悪評判が原因で、詩を聞いてもらえなくなったという事らしい。



 折角、冒険者ギルドでワンマンライブをしているのに皆逃げてしまうのだとか、嫌な顔をされるとか。奏とリトさんも昔の好評だったNPC達の反応を知っているからこそ、今の冷たい風評が辛いらしい。



『知らない誰かに後ろ指差されると、生きてるだけで辛いよね』

『発言が重いよ、リトさん』

『でも知ってる誰かに陰口言われてる方が十倍煮詰めたくらいにツラいぜ?』

『奏くんまで話に乗らないで!』



 リトさん、何故か知らないけど素はネガティブで構成されている。歌ってみた動画とかゲーム生放送では物凄いウェーイ系の人なのに、どこでねじれたんだろうね、この人。


 そしてそれを真似して育ってしまったアバター奏。どうして根暗を真似したくなったんだよ。




 とにかく話を戻したいのかラックさんが咳払いをして無理やり話題を取り戻す。


『とにかく、これも一大事だ。何か、解決案とかないかな?』


 いきなり漠然とした質問になったな。でもこの話はみんな知っている通りだしね。

 それにプレイヤーのする事だ。なにか手を出せば文句を言われるのは必至だ。



 しかし、俺には既に考えがある。さっそくスノーに挙手をしてもらう。


 この話は以前、スノーにどうにかしてほしい話の一つとして考えさせられた事の一つだ。



『ゼタ君。早いね。さすがだ』

「まあユキノに言われたから考えてきただけなんですけどね。えっと、精霊を望まない精霊付きがいるって話を先にしたいんですけど、いいですか?」



 まずはスノーの我が家を切倒したドワーフ達の話をする。

 そのドワーフ達は望んでもいない事をプレイヤーに強要されてきたと説明して、実に不憫だと感じてもらう。


「まあ、これもドワーフの国……ダンケルクの問題とも繋がるんですけど、どうにかすべきはプレイヤーの方かもしれません。でも、わざわざ自由を愛する頭ヒャッハーな世紀末伝説連中が大人しく言う事を聞くとは思えません」


『なら、ゼタ君はどうするべきだと?』


「プレイヤーが治安維持を行って、専用の牢屋に放り込む」


 そうする事で犯罪を行うキャラの行動を封じて、ゲーム再開を諦めさせる。


 このゲーム、1つのアカウントにつき、キャラは一人までしか保存されない。

 さらにキャラが死なない限り、他のキャラを作り直すこともできない。

 ついでに、ワープや瞬間移動の脱出系魔法が存在しない。


 以上の事を考えて、プレイヤーに諦めてもらうまでキャラには牢獄に捕まっていてもらおうと考えたのだ。



『でも、それじゃあ意味ないんじゃあないかな? それってプレイヤーがアカウントを作り直せばいいだけの話だし』


「それもそうなんですけど……。ぶっちゃけコレくらいしかまともな案は無いんですよね。でも、もしプレイヤーが居なくなったキャラが、レベルが上昇したままならば、エルタニアの戦力にもなるとも考えられませんか?」


『ふむ――……なるほど、恩を売らせて強力な味方にするという事か。確かにそれは美味しい話かな』



 ラックさんが頷いたような声を出すと、アリッサの頬が少し笑ったのが見えた。


 ……ごめんねアリッサ。俺、たった今アリッサの心理をまた利用したよ。何度も言うが、アリッサは武闘派だ。精霊付きの強さは承知しているし、彼等に恩を売って仲間にさせるというのは十分に魅力的な話のはずだ。



 そもそもの話、犯罪行為なんてなくなるハズないし、リアルでもこんな話、議論したところで延々と時間を食いつぶすだけだと思う。だからコレは王様を説得させるための一つの案であり、俺とスノーの仲をより深めるための好感度稼ぎの踏み台である。



 俺は無駄に時間を使うつもりはない。


 この世全ての悪をどうにかするなど、不可能だ。そもそも中学生がどれだけ「どうすればイジメ問題を無くせると思いますか?」の質問で無駄な時間を食ってると思っているんだ。「そんなもの当然無くならない」だよ、クソッタレ。


 本当は大人だって分かってるんだ。イジメを無くそうなんて土台無理だって事くらい。


 そもそもイジメを“イジメ問題”という総称なんかで問題視している時点で間違っている。一言にイジメと言っても形態とか事例の一つ一つ、根本や原因がまったく違っている。集団ヒステリーとか本人に異常性があるとか、多感な時期のストレスが原動力だの、一時の事件が切っ掛けだの……。


 だのに全部ひとまとめに“イジメ問題”とか言っちゃってさ。その時点で皆、やる気無いんだよ。だから無理。なくなりません。もっと本質を見てみろよ。解決なんかよりも処置の方が大事だってさ。



 ……と、俺は毎回教室で言いたくなっていたよ。言ったら目の敵にされるから絶対言わないけどね。言いたい事もいえない現実って面倒だよね。




 まあそんな関係ない話はどうでもいい。続きをしよう。


「元精霊付きを味方にして仲間にすれば、治安維持活動に賛同してくれる人も出てくるかもしれないし、そうなれば後は増えた彼等に主権を渡して任せればいい。頑張るのは最初だけでいいはずです」


 俺自身、そんなに上手くいくとは考えてないけどね。そもそも牢獄を作るところからはじめなくてはいけない。精霊付きでも壊せないような頑丈なのがいる。

 それに誰が治安維持活動をするのか、そこも問題になってくる。そんな面倒くさい事、プレイヤーが自分から手伝ってくれるとも思えないしね。


 少し長く話しすぎた。一度、口を潤すためにお茶を飲もうとした。すると――



『……わかった。そこまでビジョンがあるんなら、この件はゼタ君に任せようと思う』

「げフッ!? え、あ、ちょっと待っ――ゲホっ……げほ!」

『皆、どうだろうか?』



 いきなりのビックリ発言でお茶が気管に入った。


 いやちょっと待って。

 その流れは予想してなかった。そんなの嫌だよ。絶対に面倒くさいって。


 それにその行動ってスコアポイント、たぶん入らないよね? 俺だって頑張ってスコアランク10位以内を毎月維持し続けてるんですよ。任務扱いされないとスコアポイントが貰えるか分からないから嫌なんですけど。


 でもメンバーの皆も「もうそれでいいや」という雰囲気になっていて、俺以外の皆が一斉に『異議なし』と言ってしまった。


 いや……ホント、ちょっと待ってよ。勘弁してよ。皆で一緒にやっていこうよ、任せないでよ。こんなの絶対おかしいよ。



 すると会議中ではあるが、スノーが小声で話しかけてきた。



『精霊ゼタ』

「な、なに?」

『さすがです。やりましたね』




 ……さすがじゃないし、やりたくなかったです。

『ゼタ君、大人の世界ってヤツは汚いんだよ』

「ラックさん、ホントは面倒だから押し付けましたね」

『出る杭は打たれるって知ってる?』

「……勉強になりました」


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