四月のスコアランキングとランク報酬
『四月最終スコアランキング』
1位 “聖焔の戦姫”アリッサ 人間 ☆☆
レベル34 スコア44,923
2位 サイトー 人間 ☆
レベル53 スコア21,780
3位 アンドロメダ オートマタ ☆
ランクA2 スコア8,521
4位 シグ オートマタ
ランクA1 スコア6,620
5位 スノー エルフ ☆
レベル34 スコア6,145
6位 バッハ ドワーフ ☆
レベル38 スコア5,624
7位 白牙 獣人 ☆
レベル40 スコア5,021
8位 奏 人間
レベル36 スコア4,121
9位 ドドブランコ ドワーフ
レベル30 スコア3,788
10位 竜田アゲイル 半魔人
レベル33 スコア3,755
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四月の最終日。
スノーに教会へ訪れてもらい、スコアランキングを確認していた。
ここ一カ月でランキングは何回か確認していたのでスコア得点の基準がちょっとだけわかってきた。
魔物を狩ると手に入る。強敵であるほど得点は高いし、異名持ちは特に高い。
スキルや魔法の獲得。ただし、これはあんまり大きな数字ではない。
イベントの発生。起こすだけでも得点されるらしい。クリアすると更に高得点が手に入る。ちなみにアリッサが聖剣を抜いた時には一気に三万も増えた。
名前と種族の横に☆が入ると高得点が入る。しかし星マークがなんなのかはわかっていない。
現在判明しているのは以上の5つだ。
一応、ランキングの内容に触れたいのだが……。
スノーは初期の2位から転落し、現在は5位である。それでもなかなかのスコアの伸び具合ではあるが、他上位陣の伸び具合が異常だった。
筆頭はアリッサだ。頭抜けて四万台を叩きだしている。しかも一人だけ異名持ちのようなモノが付け足されている。
次いでサイトーというキャラも非常に高得点だ。レベルの方がずば抜けて高いから、きっと魔物を狩り続けたのだろう。現環境最強のプレイヤーはサイトーさんで間違いない。
現在はこの二人が独走状態である。
それからオートマタの二人。こちら二人の得点も高い。何かカラクリがあるのか、スコアの入手が安定して上がり続けている。興味深いが、掲示板での応答では特別な事はしていないらしい。生物系種族と違って疲れたりしないから魔物を狩り続けたとか。まあ、逆にパーツの消耗やらジェネレーターなどの動力源が命綱らしくて、『サモンズワールド』の特色であるAIと一緒に冒険をする、という事がない。オートマタとは、独りよがりの廃人ガチ勢御用達だったのだろう。
ドワーフのバッハさんは俺と同じくオートマタに抜かれて下がった一人だ。どうでもいいが、俺はこの人には負けたくないと勝手に思っている。
そんな上がったり下がったりしたプレイヤーとは逆に、姿を消したのは獣人の“みみずく”とドワーフの“ととろ”だ。どうやら死んだらしい。
いつの日だったか、名前の所に赤い線が入っていて、死亡したのだとわかった。一日経ったらその項目も消えてしまい、最初は何事かと思っていた。でもプレイヤーの書き込みと思わしきコメントがあって、死亡したと報告があって状況は把握できた。
ちなみに、キャラロストしてもスコア得点の持ち越しはなく、新キャラを使う場合はスコア0からやり直しである。それから、ととろのプレイヤーさんはそのまま引退宣言して去ってしまったとか。悲しいけどやり直しができないのよね、このゲーム。
あとは前回8位だったメロンソーダさんは純粋にランキングが下がって現在は18位と大転落。
逆にアゲイルが順当にランクを上げてTOP10入りを果たした。おめでとう。
今回の王座争奪の聖剣入手ではアリッサだけでなく、アゲイルとスノーは大得点を獲得した事になる。まあ、サブポジションだったので、アリッサほど大々的なスコアではなかったのだろうけど。
「しっかしなぁ。ランキングで見ても種族の差別が露骨だなぁ」
10位以内はバランスよく散らばって見えているが、11位から下の種族は人間とドワーフの二つの巨塔状態だ。その中に獣人、オートマタ、半魔人が何度か混じっていたりする。しかしエルフといえば、スノーの次はなんと60位まで下がらねば見当たらなかった。
ランキング100位までの割合で言えば人間ドワーフが6割、3割強が三種、エルフは五厘くらいだ。酷い状態だ。
エルフは人気がないのか……と思うかもしれないが、そういう訳ではない。単純に性能が低いからランキングからはじかれているだけである。
エルフはステータスが全体的に低い。
さらにパーティ役割では後衛が基本となるようだが、ぶっちゃけ獣人とオートマタと半魔人の下位互換みたいな存在なのだ。
エルフ種の主な持ち味は弓と魔法の遠距離攻撃支援と感知能力の高さである。
しかし弓をメインにした場合、オートマタの長銃の方が圧倒的に飛距離もあるし火力も高い。上を目指すならオートマタを使え。
ならば魔法はどうかというと、半魔人の種類に魔界種というのがいる。魔法をメインでするならそちらが一番強いといわれている。
最後の感知能力なのだが、獣人でポピュラーな犬種、猫種に完全に負けている。音の面では兎人に劣ってしまう。さらに戦闘力も高いし接近戦闘ではハイスピードパワータイプで前衛の花形でもある。……もしかしたら自分のスタイル的には、獣人が一番よかったかもしれない。
あと『サモンズワールド』のリアル要素の設定として、適正年齢という隠しデータがある。
年齢である程度、ステータスが決まるらしいのだ。老い過ぎていると知識系統は高いが肉体面では低いとか、成長期ならばレベルで上がるステータスの上昇値も高くなる、とか。
幼い頃から始めると同じ種族と性別でスタートしても、かなりステータスが変わってくるから重要だ。
ではエルフの適正年齢とはいつなのかというと、設定を調べると百三十から四百歳の間らしい。ちなみにエルフの平均寿命は五百歳だそうだ。
では、キャラメイク時にエルフの年齢を高く設定して作ればいいではないか……と思うかもしれないが、何故か全種族で百歳以上の年齢を設定しようとするとエラー扱いされてしまう。悲しみを感じる。
長命な種族は他にもいるが、適正年齢を外しているのはエルフだけだった。ピンポイントで不遇の烙印を押されてしまっている状態にさすがのエルフ好きも憤慨……はしなかった。
そもそも、そこまで人口も多くないゲームで、不満の声は小さく聞こえるものだ。さらにエルフプレイヤーは戦闘に参加せず、村でのんびりスローライフでも楽しんでいるのが大半だ。俺にはよくわからないが、癒されるのだとか。
気ままに森の動物達と戯れて、田畑を開拓して農業革命を開始したり、癒されるために綺麗な風景を見つけに探索するのだとか……。老人がプレイヤーなんだろうか? まあ、自律動作もあるから、一緒に散歩しようくらいにのほほんと誘ってプレイするのも気持ちはわかる。というか、それも絵になる。
そういう、アクションゲームで本来の遊び方で遊ばない人たちは結構多い。造形・色彩を勉強するためとか、グラフィックの資料にするのだとか……。完全にプロの人たちの目線である。
そういう事もあり、エルフの人口は全体から見ても少ない訳ではないが、ランク上位には決して入り込めない状況となっている。
色々と考えていると、唸り声を勝手に出していたようで、スノーが心配した様子で言葉を掛けてくれた。
『どうかしましたか?』
「あ、いや。そうだな。エルフは上位陣に残り続けるのは、結構厳しいと思ってな」
今回はアリッサのイベントに同伴したからスコアを稼げたが、今後このままでは徐々にランクを下げていく事になりそうだ。
「何か行動指針をそろそろ決めるべきだな」
王都に帰ってきた後、しばらくは冒険者稼業をしているアゲイルに同伴して魔物を狩ったりして武器の調整などをしていた。でも冒険者になりたいわけじゃないので今もスノーは宙ぶらりんの状態である。
『そういえば、ギルドなどに加入するというのは?』
「ギルドはなぁ。勧誘してくれるまで待ってる状態が一番いいと思うんだ。初期ランクから上げるのって時間かかりそうだし」
冒険者ギルドに入ると、三ヶ月くらい地道な雑用をさせられるのだとか。戦士ギルドも大して面白みのない仕事を数十回と繰り返してからやっと戦闘をするのだとか。ハンターギルドにいたってはこの国にはないから選択肢から除外。
魔法ギルドには既に入っているが、あれは魔法学院を便利に使うための方便みたいなものだし、あそこで活躍して評価を上げても、大きなスコア得点にはならないだろう。
「勧誘されて、ついでに好条件を出してくれたら、そのギルドに入ってもいいんだけどなぁ」
『しっかり考えているんですね』
「でも、問題は勧誘されるほど大きな活躍もしてないって事なんだよな」
名前を売るには先のアリッサの王座争奪戦が一番だったのだろうけど、最後に不仲になって名前を売り出す機会が作れなかった。
「うーん。やっちまったもんはどうしようもないとして、本当どうするか考え物だなぁ」
いい考えでも浮かばないかと悩んでいると、携帯の方から独特な音が鳴った。
こんな変な音は設定した覚えがなかったが、正体はサモンズワールドのアプリの音だった。
「何だこれ……?」
メッセージが投げ込まれているので中身を読むと、目をひん剥いて興奮した。
『トサギ之月にて、総合スコアランキング5位、種族部門エルフ科ランキング1位、おめでとうございます。ささやかではございますが、月の女神様よりお祝いの品をお預かりしております。どうか御納めください。今後も貴方がたの活躍を見守る者より』
なんと、なんと、なんと! ランキング上位に贈られるご褒美!
全く告知なんてなかったから、スコアなんて単なる競争するだけの数値かと思っていたのに、予想外のハプニングだ!
「スノー! 運営……じゃなくて、神様でいいのか? とにかくご褒美を貰ったぞ!」
『!? そ、それは、そのつまり、どういう事でしょうか?』
「精霊付きの中でも特に活躍したから何かくれるってさ」
『は、はあ? えっと、つまり、どういう事でしょうか?』
「? おい、スノー? 理解できてる?」
『は、はい? つまり、えっと……どういう事でしょうか?』
……AIがバグった。たぶん、思考がオーバーフローしてる。こっちの世界の神様って積極的に動くから、俺のような無神論者と違って存在感が大きいんだろうな。
まあいい。俺だってテンションが上がりっぱなしで、なにがもらえたのか凄く気になっている。何の躊躇いもなく、さっそくギフトを開ける事にした。
携帯の画面の中で光り輝く一つのアイテムがスノーの頭上から降りてくる。
パソコン画面でもアイテムが降りてきて、スノーの手に収まってくる。やがて発光も収まり、そのアイテムが姿をハッキリと見せる。
女神様が贈ってくれたのは、白木で作られた小弓であった。……どことなくアーチェリーみたいな感じの見た目で、グリップに銀と金であしらった装飾がされている。ちなみに折りたたみ式であった。
うん、まあ、便利そうなんだけどさ。
「……使わねぇ」
要らないものを貰ってしまった。
どうしよう、これ。
今回からしばらく平和。一年目戦争の準備段階




