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ダンジョン攻略からアゲイル合流まで

今回、ダイジェスト回。



 ダンジョンソロ攻略後――



 仮面女神とのイベントで一喜一憂している頃、ラックさんがログインしたようだ。


 さっそく、ネット通話でダンジョン攻略のいきさつを説明して、アリッサに迎えに来てもらう事にした。



 冒険者達はゴブリンから耳を切り取ったり(耳が討伐証明になって換金できるらしい)、スノーの怪我の治療をしてくれた。スノーも治療してもらって目を覚ました。

 



 ラックさんとアリッサも泉で魔法を習得するために地底湖に入り込み、混合魔法を習得した。ラックさんは『何もしてないのにいいのかな……』とぼやいていた。


 それならと上階のまだ訪れていない3部屋の攻略をしてはどうかと冗談で言った。高レベルのシャドウナイトが残っていると知ったラックさんはダンジョンに残ってそっちの攻略を始めた。勝算でもあるのか、自信あり気だった。



 スノーはダンジョンを出た後、ダンジョンの入り口前のキャンプで再び睡眠を取り、アリッサが帰還した後は一度王都へ戻る手筈となった。



 次のダンジョン……『太陽の御神殿』か『大地の御神殿』に挑むためである。

 今回手に入れた戦利品を持ち帰って換金して装備周りを強化するつもりだ。



 でも一番の理由はアゲイルが合流してから次に行こうという話である。


 以前小田と言っていた『一人で全部攻略』はさすがに冗談だからな。

 ゲームは皆で楽しく攻略するのが一番だ。ソロ攻略で一人修羅の道もいいけど、周りに人がいる時くらいはエンジョイで行きたい。ボッチは寂しいからウサギじゃなくても辛くて死んじゃう。


 そもそもMMOでソロとか非効率的すぎて数の暴力には絶対に負けるしね!



 ただし寄生野郎、テメェはダメだ。ママの子宮に帰って精子と卵子にでも戻りなッ!




 で、結局アリッサが帰ってきたのは夜明け頃だった。


 大きな怪我は無かったが、さすがに疲労の色が濃かった。どうやらレベル50のシャドウナイト一体倒してやめたらしい。ラックさんのテンションがかなりハイ&ローで気が狂ってる様子だったけど、ソロ狩りで格上を倒して帰ってきたのだ。やはり流石である。


『モームリ! 今日仕事ヤスム……』

「大丈夫なんですか?」

『病欠、スル……全部、あのボケナスの所為だ! あのクソミドルが余計な手間ばかり増やして――』


 ボケナスとクソミドルが何者なのかは知らないが、まあ荒れてる時のラックさんは大概仕事関係だろう。


 やっぱり大人になんかなりたくない。ストレスだらけみたいだし。いっそ、異世界転移でもしてストレスフリーな職場にでもつきたいものだ。……いや、絶対にそっちの方が面倒臭そうだな、海外に行って仕事するのと対して変わらない気がしてくる。いっそ、ゲームの世界に行けたらいきたい。



 とにかく、あとはラックさんに任せて俺は学校へ登校する。


 カバンにはネットで注文した高校受験用の参考書と“プロの手品(マジック)教本”。あと、太るためにコンビニで高カロリーポケット食も購入。なんでそんなものが必要なのだと思う人は、俺の鮮やかな入試試験の秘策に期待してもらおう。




 それから数日間、スノーは魔法学院で魔法を創ったり、手に入れた魔石を売ったりして魔剣の加工を依頼したり、衣服を購入した。魔剣は短くして軽剣サイズにしてもらってスノーの装備品に変える予定だ。あと、残念ながらスノー本人は洋服に興味がなく、先日とほぼ同じモノしか買わなかった。



 そんなこんなで準備したり強化したりして、王都でアゲイルを待つ。



 そして約束の三日後になったのだが、学校で昼間に小田から『スマン、間に合いそうにないから先に次の攻略しちゃって』と言われた。


 何かトラブルでもあるのか、結局待てなかったので金曜日と土曜日を跨いで、俺とラックさんの二人で『大地の御神殿』を攻略した。


 メンバーには前回の冒険者たちも一緒だった。どうやら彼等はスノーと仲良くなりたいのか、よく話しかけてきたらしい。まあ同年代みたいだし、問題なさそうなのでその辺は放任しておく。彼等はスノーからの心証も悪くなさそうだったし。



 で、問題のダンジョンはというと『月の御神殿』より楽だった。スケルトン系と蜘蛛型が出てきたがが、それだけだった。


 敵のレベルは20前後、最奥のボスは35と高かったが、ラックさんとのデュオ攻略がモノを言った形だ。



『大地の御神殿』は普通の突き進むだけのマップだ。



 アリッサは前衛剣士で、戦旗のスキルがあると言っていたのを覚えている。その戦旗スキルのバフがまた強力だった。


 攻撃力強化は当たり前として、SPの回復速度が上昇したり、HPの自動回復効果のある魔法がかなり助かった。お蔭でいつも以上に派手に動け、攻撃にも専念できる。スキルのレベルも軒並み上がった。


 あとは特に語ることも無く、魔法の泉に到着して、泉で魔法スキルを習得。今回は聖属性が攻撃に特化される『聖罰権限』なる隠しスキルだった。スノーには無意味だな。そもそも聖属性を覚えなさそうだし。闇エルフとは相性悪そうだ。



 あと、ネットでも隠しスキルなる存在について語られているのだが、今のところは誰もわからないらしい。たぶん常時発動スキルなのだろうと仮定とされている。




 そんな感じで二つ目のダンジョン攻略を終えて王都に戻ってきた日曜日の夜。



 アゲイルが姿を見せた。



 ……なぜか馬で。




 話を聞いてみると――


「竜騎士の位をはく奪されたとか――ぷッハ。竜に乗れない竜騎士とかアゲイル、マジ、ドンマイ」


『ゼタっちのバカ! こっちだって急いでここまで帰ってきたのになんだよその言い草!』


 他国介入するんなら飛竜は返上するように言われたらしい。


 縁もそれほどなく、簡単に他国へ引き渡せるほど飛竜は安くないとのことで、アゲイルは竜を返上して徒歩で出国したらしい。その後は馬を人の国に入ってから購入したらしい。



 そんな可哀想なアゲイル本人はというと――


『むしろ、陛下は先んじて報告をしてくれたマダオ殿に感謝していたくらいだ。私は一向に構わない』


 なんだかよくわからないけど、アゲイル的には良い結果らしい。実際向こうで何があったか知らないからわざわざ言わないけど。




 ……この時、この世界では精霊達がルールを無視して好き勝手していて困るという問題が浮上しているのだが、俺達はまだ知らなかったので省略。



 それはそうと、小田が神妙な面持ちで俺を呼んだ。


『なあ、ゼタっち。一つお願いしてもいいか?』


「おう、なんでも言え」


『頼む。機会があったら一緒に飛龍の卵を探すの手伝ってくれ。野生の卵から孵化させて騎竜に育てるのは別にいいらしいからさ』


「そんなこと言って、それって大変なんでしょう?」


『そんなことないって。ただ竜の繁殖地から卵を盗んで持って帰ってくるだけだって!』


「あら、カンタン。それなら私にだってできるわ――て、おいおい。お前、それでエルフの村が一つ滅んだのを忘れたか?」



 しかもそれで死んだの、二代目マダオだぞ。



『あー、やっぱり無理か?』


「まったく……。ドラゴン狩りなら一緒に行ってもいいぜ?」


『さすがゼタっち! 自らハードルを上げて失敗する未来を自作するとはマジ真似したくねえ!』



 ドラゴン狩り、結構ヤバいらしいとは聞いている。


 なんか普通に戦っても勝てるような奴じゃなかったとか。鱗に刃が立たなくて剣も矢も通じない。魔法も弾くので全然傷つけられない。ドラゴンが歩くだけで地鳴りして立てない。飛んでる最中、一方的に火炎が降り注がれる。しかもその狙いが正確で、AI性能が高すぎるのだとか。


 現在、検証組の大勢が既にドラゴン検証から手を引き「ドラゴン倒せたら報告よろしく」状態らしい。毎回、死ぬ度にニューゲームですぐに殺されるためにドラゴンに会いに行くのは手間だそうだ。



 今のところ、ドラゴンの攻略は実力者求む状態である。



 いつになるかはわからないが、卵はちゃんと回収しに行こう。戦うのは勝算のある時だけだ。そこまで無謀を貫くつもりはない。



 こうしてドラゴンの卵入手の約束をしつつ、やっと三人合流できた。三つ目のダンジョンの『太陽の御神殿』攻略は明日、月曜日の夜に三人で攻略する予定だ。




 とんとん拍子で進むので、特に何事も無くこのまま証を三つ確保できるのではないかと気楽にも思えたが、そうはならなかった。



 お待ちかねのユリアン王子の刺客が、やっと襲ってきたのであった。

ゼタ君の体を張ったオチにご期待ください。

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