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聖剣持ってきたらいいよ

 石に突き刺さる聖剣、それは即ち――



「マスターソ○ド!?」

『アーサー王伝説!!』

『聖剣○説だと僕は思ったけどね』


 思い思いにゲームやら逸話だとかを口にする。まあ、石や台座に刺さった剣を引き抜くのはどこの伝説でも浪漫なんだろう。



『ちょっとゼタっち、ゼル伝は違うって』

「えー、そうか?」

『だって今回は王を選定するのが目的だぜ? ならそれはもう“王を選定する剣”……すなわちカリバーンっしょ!』

『ちなみに、聖剣を抜くには3つのダンジョンを攻略して手に入る証が必要らしいよ』

「ゼル○の伝説じゃねえか!!」



 まあ面白い話だけど、聖剣を抜いた者が次代の王様って、そんな決め方でいいのか? 王様も変な提案をしたものだ。


 もしかしたらその聖剣ってのがかなり特殊なモノなのかもしれないけどさ。


『昔は伝統としてやってたらしいよ』


「なにかの理由でやめたパターンですか」


『ダンジョンには魔物やトラップなんかもあるらしいし、王族の命を軽んじているって事で長年放置されてきた行事らしいよ』



 なるほど、ひよったのか。



「ちなみに誰かが代わりにその証を回収して回ったらダメなんですか?」


『証は物じゃなくて、特別な魔法を授けてくれる泉があるらしいから、アリッサ本人が回らないとダメなんだよね』



 証は無形か。ダンジョンなのに最奥にあるのはお宝とかじゃないんだな。もしかしたら先人が作った聖剣を抜くための試練場として建てた説もある、か。だとすれば、エルタニア王国以外のダンジョンは形態が違うのかもしれない。


 いいね、こういう世界感を妄想させてくれる上に、自由に探らせてくれるゲーム。


 ちょっと二ヤッとしていると、アリッサが聖剣についての補足をしてくれる。


『聖剣は初代エルタニアの国王が妖精王から授かり、その剣で国を統一されたと伝えられている。その後、聖剣はシンボルとして今も尚、この国を支えている』


『へえ。普通なら有り得ない話だと思うけど、ファンタジーならではっすね』

『そうだね。ちなみに聖剣は教会の地下にあるから、見に行くだけなら簡単だよ』

「時のオカリ○じゃん!」


 ゲーム脳が脊髄反射で反応してしまう。



『話が脱線してきたね。王座争奪の細かいルールなんだけど、王族特権を使わずに、己の力で証を三つ手に入れ、一番早く聖剣を抜く事。要するに、使用人や専属騎士、部下の力に頼るなって事だね』


「あれ? この宿の御爺さんはいいんですか? 明らかに仕えてるみたいなんですけど」


『あれは、たまたま、王女様の専属執事が、偶然お暇を貰って、親戚の御店に、お手伝いに来ているだけ、だからね?』


 そういうのは大丈夫なのか。じゃあ昼間の武器屋も同じ理屈なのかな。


『でもさ、そんな理屈がアリなら、本人の与り知らぬところで騎士が助けに入るとか、騎士団長が冒険者に扮してたまたま護衛する、とかやりたい放題じゃねーですか?』


『いやいや、むしろこういうのはわかりやすい抜け道がないと、余計な反発を買って、有力者が反対しかねないからさ。むしろこれくらいでいいんだよ。


 それに、僕としてはキミ達を呼べるわけだし、むしろ好都合さ』



 権力闘争はコネが命だからね、なんて最後には飄々と、楽しそうにラックさんは言っていた。

 


『そういう訳で、アリッサと一緒にダンジョン攻略をしてほしいんだけど、協力してもらえるかな?』

「もちろんですよ。スノーもいいよな?」

『はい。異論はありません』


 スノーは特に異論もなく、頷いてくれた。


『俺も大歓迎ですよ。ダンジョン攻略で一気に経験値ゲットだぜ! な、アゲイル!』


 小田もノリノリであったが、アゲイルはすぐに返事はせず、沈黙を保っていた。


『……うむ、一つ確認をしても良いだろうか?』

『なんだろう?』

『私は竜騎士で、ドラグラン王国に帰属している身。今までは冒険者として独断で行動していたが、他国の事情に介入するのであれば話は違ってくる。陛下からお借りしている騎竜を、いつまでも勝手に使い続ける訳にもいかない』


 そういえば雪山でアゲイルに助けてもらってから、アゲイルは一度も故郷に戻ってないのか。確かに竜騎士が好き勝手に何処かへ行って帰ってこなかったら問題だろう。


 そう考えるとこのゲーム、身分が高いと自由の利かない立場になってしまうのか。考え物だな。


 ……相変わらずゲームらしからぬ設定だな。



『では、アゲイル殿は協力できないと?』


『それも兼ねて、陛下に御伺いしてみようと思っている。すまないが私は一度、ドラグラン王国に戻ってから、再度合流しようと考えている。それでも構わないだろうか?』


『いや、こちらこそ無理を言って申し訳ない。立場のある者を無理には引き入れまい』


『ありがたい。我が精霊マダオよ、申し訳ないが構わないだろうか?』


『別にええんやで? でも、そういう事はもっと前もって言ってほしかったな。そういうルールがあるって言ってくれないとわかんないからさー』


『そうだな。すまなかった』



 とりあえず話はまとまった。


 俺とスノー、ラックさんとアリッサ王女は先にダンジョン攻略。

 小田とアゲイルは一度離脱という流れになった。まあ三日もすれば戻ってくるだろう。



『ゼタっち、一つだけ言ってもいい?』

「うん? なんだ?」

『アゲイルが戻る前に全ダンジョン攻略しないでね』

「お、それは前振りか? やっていい? やっていいのか?」

『おうやってみろよ! 期待してやっからよぉ!』

「オッケー、任せろ。別に、全部攻略しても構わんのだろう?」

『壮絶な負けフラグがここに立った』



 

 全部攻略してほしいのかほしくないのかどっちだよ。


 と言った具合に最後は茶化され、あとは延々と駄弁りつくして、今日の話し合いは終わりを迎えた。


 このまま今日はお開きだな、と思っていると、最後の最後にラックさんが声を掛けてきた。



『そういえばスノーちゃんって後衛寄りなんだよね?』

「はい、そうですけど」

『魔法学院には興味ある?』

「魔法学院って、あれですか? 魔法を習得できたり、作れる場所らしいですね……。まさか、あるんですか?」

『実はこの王都にあるんだよね』



 なんてこったい。


 βテスト版の頃からその話は聞いていた。なんでも、魔法学院という魔術師を育てるための機関があって、そこでは魔法を習得できたり、開発もできたりするらしい、と。


 この『魔法を開発する』というシステムには少々興味があった。いわゆるオリジナル最強魔法を創造できるらしい。


 ただし、本質は魔撃を溜める時とシステムは同じモノらしいので、そこまでぶっ飛んだモノは創れない。MPをつぎ込んだ分だけ強化できるようなモノらしい。


 じゃあ魔撃でいいじゃないか? と思うかもしれないが、同じ魔法を使い続けると熟練度が上がり、MP効率が良くなったり、クールタイムが減少したり、威力が上がったりするらしい。


 あと注意する点は、下級、中級、上級と習得・開発できる範囲は限られているらしいから、現時点でスノーの強化はそれほど多くないだろう。


 それでも一応、魔法を習得する機関だ。魔撃の属性を増やせたり、下級魔法を覚えたりできるかもしれない。今のところ下級は魔属性しか覚えていないが、それは使いたくない。レベルが上がらないからな。



 氷属性の下級魔法を覚えたり、近距離広範囲魔法とかを覚えたいところだ。戦術に幅が利く。



『どう? 興味ある?』

「めっちゃあります」

『じゃあ移動は明後日、明日は準備期間にして、スノーちゃんは魔法学院で魔法を習得してもらおうか』

『わかりました』



 これは明日が楽しみだ。


 とりあえず、属性習得がどれほどできるかが問題だな。まあ、明日も学校があるので、ほとんどスノーに任せてしまう事になるだろうけど。


 しかしながら攻撃方法が増えるという事はそれだけで胸躍る。使い勝手の良い技なら特にだ。


「スノー、楽しみだな!」

『そうみたいですね』


 スノーはあんまりうれしくなさそうだった。


「……スノーは楽しくないのか?」

『別段』

「怒ってる?」

『怒ってないです』

「インフェルノ――」

『――でもないです』



 これは怒ってる。妹がヘソ曲げてる時と反応がそっくりだからだ。俺は詳しいんだ。




 ……どうしよう。

作者はモ○ハン無印の村長の剣を押したい。え、クソザコじゃないかって?

モンハ○無印の最初期オフラインで攻略サイトも見ずに毎日マカライトホリホリして大剣でガンガン弾かれながらレウスやブロスを倒した私の感動が其処には詰まってるんだ!



……この話、わかってくれる人いるのだろうか?

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