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クロステラ ― 俺のパソコンと異世界が繋がっている  作者: 白黒源氏
Episode:Μ(ミュー)
118/181

偏見を捨て、常識を改め、現状を正しく見定めよ

しばらくの間、善太郎君の慌てふためく様子をご覧ください。

 大変な事が起きていた。


 そりゃあもう、俺の頭が年代物のパソコンがフリーズしたみたいに思考が一時停止してしまった。息ができないほどに驚いて死ぬかと思ったが、今はもう大丈夫だ。そんなマンボウみたいな死に方はゴメンだ。


 とにかく、事態の把握のために何が起きたのか、今一度、順を追ってみよう。




 まず初めに、俺はキャラクターにAIを積んだMMOゲームをしていたはずだ。これは理解できる。


 ゲーム側がアップデートを要求したので許可した後に、新スキルの項目が現れた。これもまだ理解できる範疇だ。


 スキルの項目を押すと、実行とは知らずに魔法のような物が発動した。ここまでは良いとしよう。




 画面が真っ白になってしばらくすると、気がつけば画面の中に自分の姿と思わしき人物の背中と部屋が映し出されていた。……この辺からおかしい。


 緊張のあまり、スローモーションで首を回して振り返ってみたら、そこには見知らぬ少女が立っていた。驚愕の出来事だ。


 そしたらその女はアイスブルーの瞳を徐々に閉じてしまい、小さな吐息を漏らしながら寝てしまった。もはや意味がわらない。




「いや、いやいやいやいや?」




 やっぱり思考がバグった。

 またしても思考回路がフリーズして途中から理解ができなくなる。


 おかしいじゃないか。まずもって有り得ないじゃあないか。そんなさぁ、物理法則を無視して非科学的な現象が起こるワケがない。


 夢か幻を見ているような気分になったので、自分を疑って痛覚を刺激してみた。が、何一つ変わりない現実が目の前に顕現し続けている事実に、やはり困惑しか覚えない。




 とりあえず、何がどうしてこうなったのかを考えてみよう。そう、人は考える生き物だ。考えることをやめてしまったら人はそこで停滞してしまう。


 そう、まずは考えるのだ‼




「ハッ! そうだ、今日はエイプリルフールじゃないか!」




 名案だとばかりにひらめいたが、しかしだからなんだという話だ。エイプリルフールだからどういう風に意味が繋がっているのかがまだ見えない。




「……愚か者、四月馬鹿、嘘つき……騙す……そうか! つまり、これはドッキリ大作戦という名目なのでは!?」




 良し、その線で考えてみようではないか。


 まずもって、これがドッキリであるならば可能性は非常に高い。


 何せ俺はずっとパソコンに向かっていてゲームをしていたのだ。途中で何度も集中力が足りないと反省するほど呆けてもいた。そうなると背後へ意識を向けることもない。何か良からぬ事を企てていても、きっと気がつかない。そう推理すれば理屈は問題なさそうだ。


 だとすると、今度は誰が仕掛け人なのか。

 と言う疑問だが……思いつく候補は何人かいるけれど、その全てが否定されていく。


 近場から順に、祖母はありえない。お手伝いさん達を候補にしてみるが、こんな馬鹿げたことをするような人達とも思えない。


 あの親父の余興という可能性もあるが、こんな意味のない事はきっとしないだろうから却下。

 妹の聖だって俺の趣味ど真ん中な女子なんて、きっと用意はしないだろう。

 小田ならば……と思うたが、アイツは俺の居場所すら知らない。どころかここから実家まで約一時間半もかかる距離だ。思い込みかも知れないが、この可能性を肯定すること事態が非常に難しい。



 いや、そもそも、技術的な面はどう解釈すればいい。



 もう一度振り返って画面を見やると、そこにはいつも見ているスノーの背中と、アホ面で慌てふためく男がパソコンとスノーを交互に見ている映像があるだけだ。


 試しに影遊びの狐の手をしてみると、画面の中の男も同じく『コンコン』と遊ばせている。


 カメラがあるだろう方角を見ると、そこには何もないし、外から覗けるような窓もない。



 これがもしドッキリだとすれば、どれ程の金が掛かっているのやら知れない。目に見えない超小型高画質カメラって現実にあったとして幾らなんだ?


 まさか知らない内に、バラエティ番組に出演していたと疑う必要がありそうだ。でもあれってやらせじゃないのか? そもそも、一年間も運営し続けるMMOゲームを仕掛けに使うほどか? ……いや、意味がわからん。圧倒的に労力が釣り合わない。



 こうなるとドッキリ大作戦という線は消えてしまいそうだ……。



「で、あるならば、次の候補は……まさか幽霊?」



 いや、これも大概に頭のネジが飛んだ発想だ。でも、ありえない話でもないだろう? 仮にも妖怪が出てきそうな山奥の屋敷に住んでるんだから可能性は、まあ、一応あるだろう……。


 そうだ。もう一度、背後の少女を見てみよう。


 立ったまま目を瞑って眠っているのは今は考えずに、その見た目だけを考慮しよう。

 銀髪の長い髪に小さな体躯、白い忍者の織物なんか羽織ってて、ちょっとした和装を見ると座敷わらしと雪女を足して割ったみたいじゃあないか。


 つまり彼女は妖怪だったと? そうか、それなら納得……できる……のかなぁ???


 それに妖怪とパソコンの画面が繋がっている接点が見出せない。




「……だ、だめだ。……俺の理解力を超えた状況になっている……」




 というか、見たまんま、どう考えても……これ、サモルドで俺が育ててる『スノー』だよ。


 常識的な物事の捉え方を完全に無視して、現象だけをありのまま受け入れると……『ゲームの中から出てきた』って理屈が一番マシだと思えた。


 ゲーム内に突然現れた雪月花の紋章(雪と月と花が特徴的だから便宜上は雪月花と呼ぶ)が、スノーと思わしき少女の足元にも描かれている。そんなもの、つい先ほどまで描かれていなかった。



「ええっと? いかん、酸欠みたいにクラクラしてきた」


 頭痛いぞ。俺、どうしちまったんだ?


(これはなんだ? 心の病か? そんなに俺、我慢してたか?)


 いや確かに最近色々あったし、中学の時はストレスフリーを心情に生活してきたから、そりゃあ豆腐精神のようにちょっとしたストレスでもボロボロになるけどさ。


 でも幻覚を見るほど酷いならば、その腹いせに盗んだバイクで走り出し、屋敷の襖を一枚ずつ破いて回るつもりだった。丁度自分も十五歳だし、夜に暴れてもいいじゃないか。


 でもそこまでじゃないからまだ我慢してるんだ。まだまだ我慢の効く範疇なんだよ。


 だから幻覚を見るなんて、本当にどうかしている。



「いいや、幻覚なんて思うんじゃあない。自分が自分を信じてやれなくてどうする。俺は俺を信じろ。俺が信じる俺を信じろ」


 いや、全部『俺』でサイコ野郎みたいだ。ええい、狂っててもなんでも構わないから、状況を正しく見定めさせろ。


 ……などと勝手に一人で熱くなっていると、スノーと思われる人物の身体から力が抜けていき、操作放棄状態で稀に見る『その場で眠る』という体勢に入りかけていた。


 それが今回に限って、首が後へと座って行き、振られた頭による体重移動のまま、徐々に後へと下がっていく。そこは手摺もなにもない、下へと落ちる吹き抜けがあった。



 そうすると頭の中で「やばい」とか「マズイ」とか、危機感を囃し立てる言葉は過ぎた。けれど咄嗟に動こうとすると言葉なんて出ないものだった。危険だからと何も考えずに引き寄せようと掴みに走ると――



「シッ」

「――へ?」



 これも可笑しな話だ。危機を察知した時には出なかった声は、素っ頓狂な状況になると出るらしい。


 助けようと伸ばした手を何故か避けられて、スノーは俺の腕をがっしりと掴み、引き寄せ、入れ替わるように俺が吹き抜けの宙へと投げ出された。



「ええー? なにそれー?」



 あんまりな出来事に自分の声が震えてた。


 助けようと思ったら、返す手で逆に落とされたでござる。さすが忍者、汚い。というか、あれ、本当に寝てるんだよね?


 空中に投げ出されてどうにかできる訳もなく、そのまま自由落下に身を任せて蛙が車に轢かれた体勢で一階のコンクリートと激突した。すっごく痛かった。3メートルほどの高さなのに、鼻血だけで済んだ。何でか知らないけど、運がよかった。



「でも今のお陰で完全に冷静になれたわ。ありがとう、クソ忍者」



 とりあえず梯子を使って二階へ戻ると、そのまま地面に伏した体勢で眠っている白忍者のスノーさんが小さな吐息を立てて眠っていた。


「今のってあれか。忍者の“眠ったままでも戦える”とかいうヤツか。サルタルの奴め、中途半端に余計な事を……」


 一回やっただけで横になって寝ちゃってるし……。いや、もしかしたら油断させておいて、すぐに起き上がって戦えるってこともありえるか。


 まあいいか。良い思いもできたし。……今更なんだけど落ちる寸前、すれ違った時に、なんだか良い匂いだったんだよ。


 鼻に来た時の刺激がキツくないというか、ちょっと幸せになれる匂い。……女性の匂いとかそういう次元じゃなくて、別の動物……あるいは別種族とか、そういう別格の香りだった。


 例えるとすれば、動物性の匂いではあるのだけど、同時に、植物の木の皮や花のような甘く優しい香りもある。……とでも表現すれば一番適切だろうか。


 仮にエルフが実在すれば、こんな香なのだろう。……なんて、さ。



 そんな風に匂い品評をしていると、ますますそっちの方へと考えが固まってきたな。


「……そうだ。一つ試してみよう」


 これができたら、俺もこの現状が少しは飲み込めるはずだ。これがゲーム『サモンズワールド』だと完全に認める事も可能となるだろう。


 今だけは感情を抜きにして、とりあえずパソコンの机に座りなおす。



「スノー、とりあえず布団に案内するからそこで寝ろよ」

「『ぅぅん……』」



 マイクに向かって話しかけた言葉は、頷いているんだか単純に寝てるんだか判断し辛い返答となった。しかも現実とパソコンのスピーカー、両方から聞こえた。


 とりあえずコントローラーの指示に従って、俺の寝床であるソファの場所まで這わせ、両手を使ってソファに登らせた。すると後は自ら掛け布団に包まり、スノーは静かに眠りについた。


 ゲームと同じく、コントローラーのスティック操作だけで、進行方向へと動かせてしまった。



「…………もう確定、でいいか」



 これ、どうしたもんか。


 解釈に困るんだが、たぶんこの現象は『サモンズワールド』の操作で間違いない。しかも、ゲームのキャラクターが現実に来たというのが、また悩ましい……。



「また頭痛くなってきた。そんな馬鹿な話があるワケねえだろ……。というかさっきからこのループじゃねぇかよぉ。他の打開策を考えよう……というか、いや、待てよ? そもそもこれって俺だけか? 俺だけなのか?」



 そうだよ。どうして俺は一人で云々と悩んでは二階から突き落とされて、また再び頭を抱えようとしているんだ。こういう時は誰かを巻き込もう、そうしよう。


 とりあえず手っ取り早い所から、小田に電話を掛けてみる。



 1コール、2コール、3コール、跳んで10コール。粘り強く掛け続けていると、今の時刻が既に0時を超えていることに気がついた。少し遅すぎるだろうか?


 いいや、続ける。俺は続けるぞ。こんな頭がおかしくなった状態を俺一人で続けていいワケがない。


 とにかく、迷惑だろうがなんだろうが関係ない。……いくら待っても電話に出ないから不安になり始めた15コール目の頃『んだよー。ぜたっちー』と小田が非常に眠そうな声で電話に出てくれた。



「ああ、小田! 小田だよな! ああ、小田様! お前は神だ!」


『あー、ゼタっち。今何時かわかってるか?』


「ああ? まだ深夜を迎えただけだろ? というか寝るの早くね? いつもの深夜強行プレイはどうしたんだよ!」


『いつまでも中学みたいに昼夜逆転のままだといかんでしょー? だから矯正してんのー』



 そ、そんな……。俺の知ってる悪友小田真雄はどこへ消えてしまったんだ。一緒に深夜のテンションを遊び尽くした時間を否定されてしまった気分だ。悲しすぎる。


『んで、何でこんな時間に電話?』

「え、ああ! そうだよ、実は……――……えーと」



 スノーが現実に来ちゃったんだけどお前のところはどう? ……とか、深夜でもいきなり聞けるか?


 いくら親友とはいえ、言ったら最後『妄想乙』で切られて終わるだけだ。いや、それはこの問題が「俺一人だけだった」場合の話だけども、小田の反応で既に答えは出ている。何せ、小田が俺と同じくアゲイルが自室に来ていたら、こんなに落ち着いてはいないからだ。そこまで考えたら、そんな慌てふためく人間が「たった今、睡眠中に叩き起こされました」てなってるだろうか……?


 いいや、ならない。


 つまりだ。この状況は、俺だけに今現在、起きている可能性が高いということを示唆している。



『……実は?』

「あ、あー……」


 言葉が出ない。


 そもそも、どうして俺だけなんだと考えた。俺が一体何をした。まずはそこから考えるべきじゃあないのか?


 そういえば、アプデと同時に入手したスキル『サモンシンボル』か。あれが原因なんじゃあないのか?


 まずはそう考えるべきだと決め付けてみよう。


 そして小田はそのスキルの存在を既に知っているのか。



「あのさ、運営から、アプデとかって来たか?」

『アプデ? ぁんのよ?』

「あーほら、世界をアップデートしますか? っていう寒いセリフ付きのアプデだよ」

『? ちょっと意味ワカンナイカナー』


 また言葉が詰った。最初の一歩でもうわかった。

 これだけで十分だ。


 ……この状況は俺だけだ。



『なぁ、ゼタっち。なんかおかしいぞ? なんかあったん?』


「いや……うん。そうだな。実はな、スノーが現実世界に現れて、ビックリしちゃってさー。お前の所はどうなのかなー? と思ってさ」


『……ゼタっち。エイプリルフールは昨日だぜ?』


「最初の俺と似た答えしてんじゃねえよ。……じゃあな」


『?? うん、んじゃ』



 通話を切って、今一度、だみ声混じりに溜息を吐いた。

 もう本日、何度目のわけわからんだ。



「……マジなのか?」



 試しにスノーが寝ているソファに擦り寄ってみる。毛布に包まって、深い呼吸する度に、なんか可愛らしい小動物みたいだった。


 これって要するに、彼女が生きてるって証拠なんだよな。


 それってさ、いままで、生きてた人物を動かしてたってこと……でいいんだよな。



 いい加減、わからんと言い訳して現実逃避するのも疲れてきた。



「これは――マズイな」



 例えようのない不安がした。


 いままで、ただのゲームだと決め付けていた。その上で、感情移入なりなんなり、各々、好き勝手に遊び回ってさ。まあそういうもんだよね、とか思いながらも、スコアだとかレアアイテムだとか装備だとか、ゲームみたいな遊びをし続けてきたんだけどさ。


 今まで、軽い気持ちで色んな事をしてきた。その色んな事とは一言では伝えきれないことを表すわけで……。


 有体に言って、まあ殺人とか、さ。


 実感とかまるでない。それともスノーが殺人に対して否定的であってくれたから、俺もそこまでダメージが少なかったからだろうか。



「いや、そうじゃない。そういう話じゃない」



 不安の次に、今度は静かな怒りが湧いてきた。



「今まではいい。今までは……。言ってみれば、これは、詐欺みたいなもんだ」



 俺はゲームと思って遊んできた。誰もそれを疑いもしなかったし、たとえ「このゲームは現実に直結しているんだ」なんて誰かが言った所で、そんなの誰も信じない。信じる奴は現実逃避者か頭の可笑しな奴だけだ。それが常識を持つ者ならば当然の考え方だ。


 だからあえて、俺は「今までは良し」という。言わなくてはならない。……言うしかないだろ。


 ゲームだと思っていた。実際の命がどうとか、本当に誰かが不幸になるとか、非実在人物であるならば、そんな事を考えるのは無駄だ。まるで無意味だ。


 全て架空の出来事なんだと思っていたのだから、それが実際の人の命を奪っていただなんて今さら知っても、知らない内に殺人スイッチを押してたみたいな物だ。


 それは正しい条件を提示しないまま、契約を実行する詐欺と同じだ。



 でも、その後、すぐに冷たい緊張が腹の中を駆け巡る。



「次からは、もう知らなかったでは許されないな」



 そもそも誰に許してもらうんだ。不特定多数の誰かか? それとも、自分自身がか?


 俺の場合は後者の方がキツイか。



 大体こんな事実を知って、続けられるかどうかがわからない。今度からは、生きている人だと承知した上で、サモルドを遊ぶなんて、今は想像できない。



 機械から生まれたAIではなく、生きた意識のある人物を操作する。


 あるいは、俺達が今までNPCと決め付けていたのが、本当は生きた人達がいて――。


 更に掘り下げるならば、スノーが生まれた地球とは違う別世界があるのだとして――。



「これは……俺の手に余る案件だ」



 考えれば考えるほどに、どうにもならない気がしてきた。


 倫理感とかどうなってんだよ。そもそもレーティング査定とか本当にやったのか?

 ダメだろ。もうオカルトとかファンタジーとか何でもいいけど。そもそも何故ゲーム、何故パソコンなのか……。インターネットの海にでも異世界があるのか?




「……ッ!?!?!?」




 今、とてつもない予感が頭を過ぎった。


 ゲームでもパソコンでもなんでもいい。インターネットに繋がっていて、異世界がそっちにあるとして、それはこの際どうでもいい。



 問題は、このゲームのコントロールを外部の誰かに奪われたりしたら――例えばハッキングとか受けて、スノーが見知らぬ誰かに体を奪われて好き勝手されたら、絶対にマズい。


 何よりも考えるより先に、パソコンのLANケーブルを引っこ抜いてやった。データやら機器が壊れてもいい。そんな事より、最悪の事態を避ける方が先決だ。どこかで繋がっていても怖いから、他のサブのパソコン二台も一緒に抜いてしまう。


 携帯の方は後回しでいい。これは乗っ取った所で、ステータス確認と会話しかできないし、操作が不可能だからだ。




「……おいおい。マジでどうなってんだよ」




 パソコン三台全てのネットを断ち切った。三台とも今はオフライン状態でインターネットなんか繋がっていない。その表記も確認して、何ならウェブも立ち上げて確認してみた。もちろんインターネットと接続されていません、と答えてくれる。


 それなのに、ゲームの画面だけはオフラインの中でもずっと動き続けていた。マウスで視点移動しても、俺がジェスチャーをしてみると、同じように画面の中の男も真似をする。


 さっきから嫌な汗を搔きっぱなしだ。




「……どこからどう繋がってんだよ、このゲーム」




 あるいは、俺のパソコンだけが異世界と繋がっていたのだろうか?

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