出荷停止騒動を見て、図書館戦争に想いを馳せる
まず初めに言っておきたいのは、作品の内容や作者様の発言の是非を問う内容ではないと言う事です。
私は当該作品を読んだこともないし、作者様のことも知らないので、ネット上のニュースから断片的に入ってくる内容しか知りません。なのでその内容にはノータッチで話を進めたいと思います。
さてタイトルの内容に行く前に思ったことは、中国マネーの影響力が今回如実に現れたなということです。最近のハリウッド映画なんかにもよく登場する中国企業と中国系キャラ。これは一昔前の1980~1990年台にかけての日系企業や日系キャラに置き換わったものと言えるでしょう。1930~1950年台にかけてののハリウッド黄金期、それが終わると資金繰りに困ったハリウッドは外資に求めたわけですね。バブル絶頂期の日本は金をばら撒きいたるところに出没したわけでございます。そしてバブルが弾けジャパンマネーが力を失うと、バブル経済に突入した中国がそこに進出してきたわけです。
昨今アニメや漫画業界、所謂サブカルでも中国系企業の名前を聞くことが多くなってきましたね。人権や差別うんぬんより、中国という巨大なマーケットを失いたくないってのが今回の本音でしょうね。
そして今回の一件、随分と極端な方向に舵を切ったなというのが私の正直な感想です。
まず間違えてはいけないのが、今回は司法の判断での発禁処分ではなく、あくまで出版社側の自主規制なわけですが、ここまでやるのは果たして今後の出版業界にどんな影響を及ぼすのかを考えた時、タイトルの作品を思い出しました。
実を言うと私は当時、図書館戦争を馬鹿にして見ていました。今にして思えば、稚拙で浅はかな考えでまだまだ世間を知らないガキだったんだなと恥ずかしく思う次第です。
図書館戦争がどんな内容かは割愛しますが、たかだか本一冊の為に実弾で戦闘行為をするなんて意味が分からねえ。日本でそんな紛争が起きるわけねえだろと、私は鼻で笑っていたのです。
ところがどっこい今回の一件を見るに、現実に起こりうることなのでは? と思いました。
世界的に見ても有害図書を発禁、焚書にするということは実際の歴史にもありました。戦時下においては軍による言論の弾圧もありました。
民主主義の成熟した現代日本において、最早そんなことなんて起こりえないと思っていましたが、作者の過去の発言を元に作者を危険人物と断定し、著作物までも有害図書とせしめようとする行為が行われているのをみるに至って、図書館戦争の様な世界を作り出すのは政治家ではなく、民衆であると痛感した次第であります。
著者の言動や行動、或いは思想に問題があり、それにより著作物までも問題があると言うのであれば。永山則夫や三島由紀夫の著作物も発禁処分になりかねないわけで、少年Aの手記なんかが最近では物議を醸しましたね。ちなみに知らない人はいないでしょってくらいに有名なので、説明は割愛いたします。
しかしながらそれと同時に思うのは、やはり現段階では、言論と思想の自由、創作の自由を求める為に銃火器をもって闘争を繰り広げるような真似は、現代日本においては起こりえないだろうという事です。
戦後の高度経済成長期にかけて起こった、成田闘争や安保闘争、或いは日本赤軍のような過激派組織による事件。あの時代の様な、なにか狂気と闘争に満ちた気力を今の日本人は失っていると私は思います。
つまり、日本人の身体が再び闘争を求めた時。
アーマードコアの新作が出る。
という結論に至ったのだ。