はなって呼んでね
僕はあの後家に帰り、また寝巻きに着替えてベッドに入る。
「沖田はなかぁー。。」
あんなに綺麗な金髪なのに名前は外人の名前が入っているわけでもなく、ただの普通の可愛らしい名前だ。
それにしても、作曲か。そんなすぐにできるものなのかな。
僕は考えているうちに寝てしまっていた。
今日の朝は目覚めのいい朝だった。今日も学校だ。音楽をかけ、コーヒーを淹れる。食パンをトースターに入れ、ぼーっと青い空を眺める。
「はぁ。今日も学校か。」
焼いた食パンにジャムを塗り、むしゃむしゃと口に入れる。2分ぐらいで食パンを食べ終わり、淹れたコーヒーを飲み干した。制服に着替えて学校のカバンを持って家を出ようと思った時だった。
「ピーンポーン」
インターホンが鳴った。のぞき穴を見るとそこには恵一の通っている高校の制服を身にまとった沖田花の姿があった。
「えええええ!?」
とりあえずドアを開けようと思いドアを開ける。
「おはよー、さっ学校いこ!」
まだ僕には理解しきれていない。なぜ僕のお隣さんが同じ高校の制服を着ているのか。なぜ一緒に行こうと誘ってきたのか。わからないことだらけで頭がこんがらがりそうだ。
「なんで僕の通ってる高校の制服着てるの?」
「え?なんでって私も阿華乃高校に通ってるからに決まってるじゃない!さっ、そんなことより早くいこ!遅刻しちゃうよ!」
僕は沖田はなに袖口を引っ張られそそくさと家を出た。
「あ、あのさぁ」
「ん?どうしたの?」
「なんて呼べば、いいのかな。。。」
「あー!『はな』でいいよ!」
女子の名前を下の名前で呼んだことなんてないのに。まぁ頑張ってはみる。
「わかった。は、は、はな…。」
「うんうん!いいね!じゃあ私は『けいちゃん』って呼ぼうかな!」
「どこで僕の名前を…!!!」
「けいちゃんの家で教科書の裏見たら名前書いてたから」
「そ、そう。」
そうこうしてる間に、学校に着いた。
阿華乃高校はA棟、B棟、C棟の3棟あり、A棟は3年生、B棟は2年生、C棟は1年生だ。僕はC棟へ向かう道へ行くために、はなにさよならをいって行くつもりだった。が、はなも僕の横をずっと歩き続ける。
「一応聞くけど、はなって何年生?」
「えー?知らなかったのー?1年だよー1年!」
うっそだろ。歳まで一緒だったのか。
でもさすがにクラスは違う。大体の顔は覚えているし、あんな綺麗な金髪の女子、僕のクラスでは絶対に見ていない。僕のクラスは2組なので、中身の近くになってさよならを言うとはなは「ばいばーい」と手を振って奥の5組の教室は入っていった。
「毎日これが続くのか。男子の視線が怖いよぅ…。」
僕は2組の教室に足を踏み入れた。