彼女の名
さすがに寝巻きで家に行くのもと思い、いつも着てるような服装に着替えた。僕はメモをポケットに入れて家を出て、すぐ隣のドアの前に立ち、インターホンを押した。
「はーいちょっとまってねー」
「・・は、はい」
やはり一回会っていても少し緊張するなぁ。そう思いながらドアの前に1人立っていた。
「ガチャ」
ドアが開いた。その隙間からは綺麗な金髪の美女が出てきた。
「入りなー」
えっ?
女子の、家に、入る?1人で?
『ドックン、ドックン』
何もしなくても聞こえるぐらい心臓の音が聞こえた。
「どうしたの?入らないのー?」
・・・・・
「もぉー、どうしちゃったのかね」
グイッ。袖口を引っ張られ僕「ひとり」で女の子の家に初めて入った瞬間だった。
「さぁ!今日話したかったことはねー!」
「…はい」
「君、私と音楽作らない?」
ファッ!?!?
「な、何言い出すんですか?無理ですよ無理!」
「えー、君なら音楽の趣味合うしいいかなーと思ったんだけどなぁ」
「いつ僕の音楽の趣味を知る機会があったんですか!」
「君が学校行った後」
「…。」
音楽の趣味が合う?だからと言ってやったこともないことを一緒にやろうなんて言われて簡単に「うん」とは言えない。やったとしても僕が足を引っ張るだけだ。
「もう少しだけ考えさせてください」
「うん、わかった!じゃあ、どうするか決まったらまた私の家に来てね!」
「は、はい。じゃあ、失礼します。」
僕は玄関の方へ歩いて行く。靴を履き、僕は彼女の家から出ようと思った。その時、後ろから声がするまでは。
「ちょっ、ストーップ!!!」
「な、なんですか?」
「名前言うの忘れてたよね!私の名前は沖田はな!よろしくね!」
その名前は、どこかで聞いたことあるような響きだった。