小話 練習
初試合が終わり、また日々の訓練に戻る。
暑い日差しの中で同じ宿舎に集められたものが、各々自由に訓練を行う。
黙々とシャドーする者、サンドバックを叩く者、ペアを組んで練習する者様々だ。
新しく入った新人だけがある程度の基本を合同で教えられる。
俺はというと一人ランニングをしている、無理のないペースで淡々と走る。
走り込みを終えると小川の横でシャドーをする。
川に映る自分の姿で姿勢を確認する。
腰のひねり、体の重心、膝の柔らかさ、一つ一つ確認する様にシャドーをする。
徐々にシャドーのスピードを上げる。
ある程度満足すると額に汗が滲んで来た。
周りを見渡す、新人の頃は他の闘士の練習を眺め、勉強していたが今はもうこの宿舎の闘士に参考にできるものいない。
もっと上の闘士の練習が見たいな。
俺もだいぶ強くなったがまだ足りない。
奴隷から解放されるためには王都のコロシウムで活躍しなくてはならない、地方で燻っていたら使い潰されるか、よくて無事に引退して普通の奴隷として生涯を終えるしかない。
けれど王都のコロシウムにいけば、報酬で自分を買い取る事も、上手くいけば貴族に召し抱えられる事もできる。
拳に力が入る、奴隷からの解放!
ここで立ち止まる訳にはいかない。
空いたサンドバックの前に立ち、パンチを打ち込む。




