はじめての魔法は……チート?
優希はしばらくクルミに森の中を案内されていたが、
突然草原のようなところにでた。
だが、真ん中のほうには大きな岩がおかれていた。クルミは岩にもたれながらつぶやいた……
「とうちゃーく!あ、ここには魔物は近づいてこないから安心してね。」
「どうしてここだけ魔物がよってこないんですか?」
「ここはね、私が風の魔法を練習してた場所なの、そのとき近寄ってくる魔物は全て倒しちゃったのよ。てへ☆」
「…………。」
優希にはもはや何からツッコンで何を言えばいいのかわからなかった。
「ユキちゃん、ノーリアクションはひどくない?」
「あ、すみません。あまりに滅茶苦茶なので……」
「今は反省してるわよ!」
そして、クルミは岩から離れながら話そらすかのように魔法についての話をしだすのだった。
「ユキちゃんにもここで魔法の練習をしてもらおうとおもうの。ダブルってことがばれると色々大変だからね。」
「そうなんですか?」
「そうよ!だから人目のないここで練習してもらうわよ。」
「はい、頑張ります!」
優希はクルミに元気よく返事を返すのだった。
「じゃあ、まずは水の魔法を使ってもらってもいい?」
「条件はありますか?」
「そうね、じゃあ、あの岩に傷をつけてみて。私は全然傷つけれなかったんだけどね?」
「……がんばります……」
優希は水を圧縮して人差し指と中指の先から合わせて飛ばすイメージをしてみた。
<水の弾>
高密度の水の弾丸。
魔力量によって密度と速度が変わる。
名前をつけたとたんに体から何かが吸いとられるような感覚に襲われ一瞬倒れそうになったもののなんとか耐えて唱えた。
「ウォーター・ショット」
「……魔力足りなかったの?」
なにも起こらなかったので、クルミが聞いてきたが優希には魔力が足りないかは分からなかったので、
なにか変化がないか見るために岩に近づいて行った。
「あ、穴が開いてます!」
「え?うそ!この岩すごい堅くて分厚いのに……」
近づいた優希は岩に小さいものの穴があいてるのを見つけたので大きな声をあげました。
その言葉にクルミは驚いて見に来て、若干落ち込んでいた。
クルミはしばらくすると気を取り直して優希に質問しました。
「ユキちゃん、さっきの魔法に魔力全部使ったの?」
「いえ、一瞬倒れそうなりましたけど、そのあとは普通に動けましたよ。」
「……え?」
その言葉聞いたとたんにクルミの顔は驚愕に染まった。
なぜなら、一瞬倒れそうになるのは魔力を吸いとられるのになれていない初心者にはよくみられる症状だからでした。
その後、普通に動けていたことを考えるなら優希は自分の魔力の10分の1すら使っていないことになるからです。
もちろん、優希はそんなことを知らないので首をかしげるだけでした。
「ユキちゃん、魔法の練習をしてここで待っててね。」
優希に必要なことを伝えるとクルミは急いで家に戻っていきました。
「いったいどうしたんだろう……」
残された優希はボソッとつぶやきました……
しかし、優希はただ待つのも暇だし、言われた通り魔法の練習をしてしました。
<水の弾>を撃とうかと思いましたが、
せっかくなので火の魔法を使うことにしました。
「……火、火、…」
優希は魔法をイメージし始めました。
なかなかいいイメージが浮かんできませんでした。
そのとき、クルミが風を補助に利用していたことを思いだし、優希は剣に火を付与するイメージをしてみることに、
<火付与>
武器に火を付与する。
魔力量によって纏う量が変化し、威力、攻撃範囲共に変化する。
先ほどと同じように体から何かが吸いとられていく感覚を体験したので、剣を構えて唱えてみた。
「エンチャント・フレイム」
唱えたとたんに剣が燃え始めた。
「せいっ!」
気合いをいれて岩を切りつけたのだが、さすがに鉄の剣では岩を切ることはできなかったが、深い傷をつけた。
「……弾かれる覚悟してたんだけどな~」
優希のひとりごとは森の中へと消えていった。
戻ってきたクルミがそれを見て落ち込むのはもう少しあとのことでした。