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影と呼ばれた男  作者:
第1章 出会い
4/18

立ち上がる

高学園に上がって,適性検査を受けるとき・・・なぜか浩介だけ別室に呼ばれた。

なぜだろう。不思議に思いながら言われるままに別室に行った浩介だったが,驚いたことにそこには学園長と一緒に局長もいた。


「まあ座りなさい。」

言われるままに局長の隣に腰を下ろした浩介は,局長に,

「なんでここに?」

と尋ねれば,

「おまえは,みんなの前では検査が出来ないのだ。」

と言うではないか・・・


そう言われても,何のことだか浩介には分からなかった。

なぜ局長がここにいるのか,なぜ別室に来なければならなかったのか,なぜ学園長自ら自分に話がありそうなのか。


 高学園の学園長が

「君の属性は,闇だと聞いている。」

そういったとき,目の前が真っ暗になったような気がした。

・・・俺の属性が闇・・・・闇とはなんだ?嫌な響きだ。


「それはどういうことになるんですか?」

浩介の言葉に,局長が,

「べつに。」

と応える。どういうことだ。

「別に・・というのは?」

「おまえにとっては,たいしたことではないと言うことだ。」


まあまあと学園長が局長を制した。

「属性については今初めて知ったんだね。これは失礼した。

闇の属性は確かに珍しい。だが,その属性だからと言って,悪い物だとは言えない。君は,今,闇と聞いて悪い印象を持ったんだろう?」

浩介は頷いた。

「闇という言葉が,なんだか・・」

「そうだろうな。」

学園長は局長を見て頷いた。局長も頷き返した。


中都国の中央学園に,最近教授から学園長になった男がいる。50代になったばかりの男だが,この男は政府ともつながりが大きく,限られた者しか知らないことだが,擬態を得意としている・・・彼は,おそらく闇属性だが,天の属性と言うことにされている。俺も同じだがな・・・


そんな話を局長は淡々と語った。


「おそらく,おまえも擬態をすることが得意になるに違いない。」

「擬態とは何ですか?」

「姿を自由に変えることが出来ると言うことですよ。」

学園長が続けた。

「他の属性ならともかく,君の属性を教えることは難しいのです。その人のところで学ぶことが一番望ましいとは思うのですが。今は,その人は別のことで忙しく,毎日というわけにはいかないのです。」

「では,俺・・僕はどうすればいいのでしょう?」

学園長は局長を見た。局長が頷くと,

「では。私はまた後で。」

と言って部屋を出て行った。


・・・

「おまえには俺がいる。俺も,さっき言ったように闇の属性を持つ。普段は星の力が強いので,隠されているがな。」

局長は星の力を持つのだが,闇の属性もあるという。

「暗黒星・・・それが俺の言霊だ。」

誰にも聞こえないようにそっと耳元で言う局長の顔は,いたずらをするときのようだった。


「闇の属性は,闇の神官達に狙われると言われている。自分達の仲間にしようとしてさらっていくのだ。」


 だから,闇属性だと分かった子どもには,属性を隠すように天の神殿で術を施している。

 闇属性と言うことは慎重に秘され,周りに広がることはない。

 と言うことは,俺の属性は早くから神殿では分かっていたと言うことなのか。もしや,周りにいた子ども達も?


「あの天の神殿にいた子ども達の大半は,普通の子どもだが,おまえと仲が良かった何人かは闇の属性を持つのだ。その者達とは,いつかまた会えるだろうさ・・・」


・・・・・


「おまえは今日から,天の属性と言うことで,属性ごとの授業の際は,俺の下で学ぶことになる。他の子ども達には,珍しい属性だからと言うがいい。」

そうすれば,勝手に天の属性だと思ってくれるさ。そう続けた局長は,さらに声を潜めて

「おまえの言霊についてはあとで詳しく話そう。」

と言った。

「おまえの16の誕生日におまえに施されている術は解ける。おまえの誕生日まで後少しだ。その時,全てが分かるだろう。」


そう言って,局長は部屋を出て行った。入れ替わるように学園長が戻ってきた。


何事もなかったかのように,

「では,君の属性学習の部屋は,201です。

教官はダーク星野。君の養父に当たる人だね。」

と言った。

「では,明日からがんばるように。

そうそう。君の属性については,この学園では,私しか知らないから安心したまえ。」

学園長は退出してよろしいと浩介に言った。浩介は,

「失礼しました。」

と言って退出し,教室への廊下歩きながら,今,言われたことを反芻していた。


闇の属性・・・局長も闇を持つ・・・局長の言霊は・・・・そうだ。

 局長の名前・・・

・・・・うかつな話だが,浩介はここで養父たる人の名前を初めて知ったのだった。



次回は明日です。

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