立ち上がる
高学園に上がって,適性検査を受けるとき・・・なぜか浩介だけ別室に呼ばれた。
なぜだろう。不思議に思いながら言われるままに別室に行った浩介だったが,驚いたことにそこには学園長と一緒に局長もいた。
「まあ座りなさい。」
言われるままに局長の隣に腰を下ろした浩介は,局長に,
「なんでここに?」
と尋ねれば,
「おまえは,みんなの前では検査が出来ないのだ。」
と言うではないか・・・
そう言われても,何のことだか浩介には分からなかった。
なぜ局長がここにいるのか,なぜ別室に来なければならなかったのか,なぜ学園長自ら自分に話がありそうなのか。
高学園の学園長が
「君の属性は,闇だと聞いている。」
そういったとき,目の前が真っ暗になったような気がした。
・・・俺の属性が闇・・・・闇とはなんだ?嫌な響きだ。
「それはどういうことになるんですか?」
浩介の言葉に,局長が,
「べつに。」
と応える。どういうことだ。
「別に・・というのは?」
「おまえにとっては,たいしたことではないと言うことだ。」
まあまあと学園長が局長を制した。
「属性については今初めて知ったんだね。これは失礼した。
闇の属性は確かに珍しい。だが,その属性だからと言って,悪い物だとは言えない。君は,今,闇と聞いて悪い印象を持ったんだろう?」
浩介は頷いた。
「闇という言葉が,なんだか・・」
「そうだろうな。」
学園長は局長を見て頷いた。局長も頷き返した。
中都国の中央学園に,最近教授から学園長になった男がいる。50代になったばかりの男だが,この男は政府ともつながりが大きく,限られた者しか知らないことだが,擬態を得意としている・・・彼は,おそらく闇属性だが,天の属性と言うことにされている。俺も同じだがな・・・
そんな話を局長は淡々と語った。
「おそらく,おまえも擬態をすることが得意になるに違いない。」
「擬態とは何ですか?」
「姿を自由に変えることが出来ると言うことですよ。」
学園長が続けた。
「他の属性ならともかく,君の属性を教えることは難しいのです。その人のところで学ぶことが一番望ましいとは思うのですが。今は,その人は別のことで忙しく,毎日というわけにはいかないのです。」
「では,俺・・僕はどうすればいいのでしょう?」
学園長は局長を見た。局長が頷くと,
「では。私はまた後で。」
と言って部屋を出て行った。
・・・
「おまえには俺がいる。俺も,さっき言ったように闇の属性を持つ。普段は星の力が強いので,隠されているがな。」
局長は星の力を持つのだが,闇の属性もあるという。
「暗黒星・・・それが俺の言霊だ。」
誰にも聞こえないようにそっと耳元で言う局長の顔は,いたずらをするときのようだった。
「闇の属性は,闇の神官達に狙われると言われている。自分達の仲間にしようとしてさらっていくのだ。」
だから,闇属性だと分かった子どもには,属性を隠すように天の神殿で術を施している。
闇属性と言うことは慎重に秘され,周りに広がることはない。
と言うことは,俺の属性は早くから神殿では分かっていたと言うことなのか。もしや,周りにいた子ども達も?
「あの天の神殿にいた子ども達の大半は,普通の子どもだが,おまえと仲が良かった何人かは闇の属性を持つのだ。その者達とは,いつかまた会えるだろうさ・・・」
・・・・・
「おまえは今日から,天の属性と言うことで,属性ごとの授業の際は,俺の下で学ぶことになる。他の子ども達には,珍しい属性だからと言うがいい。」
そうすれば,勝手に天の属性だと思ってくれるさ。そう続けた局長は,さらに声を潜めて
「おまえの言霊についてはあとで詳しく話そう。」
と言った。
「おまえの16の誕生日におまえに施されている術は解ける。おまえの誕生日まで後少しだ。その時,全てが分かるだろう。」
そう言って,局長は部屋を出て行った。入れ替わるように学園長が戻ってきた。
何事もなかったかのように,
「では,君の属性学習の部屋は,201です。
教官はダーク星野。君の養父に当たる人だね。」
と言った。
「では,明日からがんばるように。
そうそう。君の属性については,この学園では,私しか知らないから安心したまえ。」
学園長は退出してよろしいと浩介に言った。浩介は,
「失礼しました。」
と言って退出し,教室への廊下歩きながら,今,言われたことを反芻していた。
闇の属性・・・局長も闇を持つ・・・局長の言霊は・・・・そうだ。
局長の名前・・・
・・・・うかつな話だが,浩介はここで養父たる人の名前を初めて知ったのだった。
次回は明日です。




