嫌われ者
人を嫌いになったことがあるかい?
その顔。
あるって顔だね。もっと言うと、あって何が悪いんだって顔。
うん、別に何も悪くないよ。人を嫌いになることぐらい誰にだってあるもの。僕も君が嫌いだしね。
傷ついたかい?
人を嫌いになるってことは、誰かを嫌うってことは、自分を醜くすることで、それはつまり誰かに嫌われるってことなんだよ。
嫌いになるなら嫌われる覚悟があるってこと。
当たり前だよね。
あいつは嫌いだ。近寄りたくない。
あの人に避けられてる……。なんで? 私嫌われてるの?
傷ついた。心が傷つけられた。……あの人嫌い。
こんな感じで初めに人を嫌いになったやつは、相手に嫌われるんだ。自分のことを嫌いな人を好きでいるなんて不可能だからね。そんなことができる心は壊れてる。おかしいんだよ。そんな心は。
ここでもう一度僕の言いたいことをはっきりさせておこうか。
僕は君が嫌いだ。
君に嫌いな人がいたら、それと同じ数だけ君を嫌いな人がいるんだよ。
例外があるとすれば、心の壊れた求愛者が君にとりついてるって場合だけだ。
別に人を嫌いになるのは悪いことじゃない。
僕は悪い人間じゃないよ。
なにも悪くない一般人。
その一般人が君に言ってるんだ。
「君のことが嫌いだ」