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6章『正義を冠する断罪者』

『余白埋めの物語6』


 あの日から、世界の音は遠くなったままだった。

 通り過ぎる人々の足音も、笑い声も、どこか他人事のように響く。

 あの人の痕跡は風に溶け、指先に触れることはない。

 それでも、夜の窓辺で月を見上げていると、ひとつの光が心の奥に届いた。


 街灯の下に落ちた小さな葉が、揺れるたびに微かに光を反射する。

「誰もいなくても、世界はまだ動いているのかもしれない」

 胸の奥で、かすかなぬくもりが広がる。

 希望というには弱すぎる光だが、消えたあの人の面影の中に、再び歩き出せる兆しを見た気がした。


 手を伸ばすと、まだ届かない。けれど、指先をすり抜ける風の温度が、少しだけ優しかった。

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