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5章『秩序を歪める裁定者』

『余白埋めの物語5』


 あの日から、世界の音が薄くなった。

通り過ぎる人々の足音も、笑い声も、どこか遠くで響いているだけのようで、心に届かない。

 置き去りにされた空間に、影だけが長く伸びている。

 手を伸ばしても、指先には何も触れない。

 あの人がここにいた痕跡は、光の反射や風の匂いの中にかすかに残るだけだ。

 声を呼び戻そうとしても、声は風に溶け、形はもうどこにもない。


 夜の窓辺で月を見上げると、冷たく澄んだ光がすべてを映している。

 笑った顔も、触れた手も、遠くの星の一粒になってしまったようで、胸の奥がひりつく。

 それでも、歩く足は止まらない。

 振り返っても、そこにはもう、誰もいない。

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