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短編:しがないA型の入学式

春も近づいてまいりましたので、ひとつ書いてみました。好評だったら続きを書いてみたい。好評じゃなくても何か書いてみたい。

春、桜が咲き誇る。


五枚の桃色で成す花冠は、ひらりひらりと一枚ずつ輪を離れ、宙を舞う。


そのさまを美しいなと、心にしまう。


なんということはない。ただの日常。

そんな1日から僕の新しい人生を始める。


高校一年の最初の登校日。


入学式、その日僕は10時1分に物思いに耽っていた。


血液型によって性格は、いくつかに分類されることがある。A型は几帳面であるとか、O型は大雑把であるなどというふうに。


これに対して、なるほど確かにと感じるか?


僕はそうは感じない。

自分にも他の皆にも大雑把なところもあれば几帳面なところもあるなと色々な要素から自分が成り立っていると、そう感じる。


いわゆる、バーナム効果やらフォアラー効果やらでそう思うように感じさせられている。血液型占いが、そんな価値なきゴミクズであり、無意味な思考と分かっているはずなのに何故かこの世界から失われずに残っている。


「血液型なに型〜?」

「A型だよ」

「じゃーやっぱ、なんか譲れないこだわりあるんだ?」

「まあ」

「しかも、完璧主義だもんね」

「まあ」


なんていうやり取りを交わす度に【こだわり】のない人間なんていないだろうと心の中で独り言つ。

私はA型だが、部屋の整理はできていない。

いや、違う。私は部屋の整理はしないのだ。

私は部屋を片付けることはないのだ。

まあ正確に言うなら昨日まで美しく整えられていた部屋を今朝、10人いたら7人か8人かは「強盗に入られたの!?」と驚き、残りの2人か3人かは「僕の部屋も同じ感じだから、別に気を使って、片付けなくたって大丈夫さ。」と部屋片付け弱者の仲間を見つけたとばかりに慰めてくるだろう具合に、散らかしてみた。

朝に僕の部屋へ侵入してくるフレンズなど持ち得ていないと言う事実について、今は一度目を瞑る。



なぜ、部屋を散らかしてみたか。それは簡単なことだ。典型的A型の枠になどハマりたくないから。

整理整頓など決してしてはならない。それに気づいてしまったからだ。


僕のこの世界への望みは簡単なことなのだ。

A型などというくだらない枠に嵌めないでほしい。それだけだ。


僕が目指すのは、非A型人類。


そのために、今日から僕は行動することにした。

それこそが、僕が行動を起こす理由なのだ。

僕はそのためにこの人生を費やすのだ。



A型の特徴として、完璧主義というものがある。


つまり、僕がA型からの脱却、非A型人類足りうるためには…


【ぼくは非完璧主義である】


主観的にも客観的にも、僕=非完璧主義。

これを達成しなければならない。


完璧主義ではない、非完璧主義とは一体なんなのか。

これは簡単なようでいて実に難しい。

常に100点未満を目指さなければならないというと簡単に聞こえてくる。それは、学校のテストにおいて全て100点を取るのは難しいからだろう。


否!違う!違う!断じて違う!

一つたりとも完璧であってはならないのだ。テストで考えるならば、あれは実は完璧の積み重ねなのだ。一つ一つの問題に対して、正解という完璧を成して点数を積み重ねてしまっているのだ。

非完璧主義とは、「完璧でなければいい」などとそんな生ぬるいものではない。


【一欠片の完璧さえも積み重ねることは許されない。】


それこそが、非A型人類の一つ目の鍵【非完璧主義】なのである。


テストでは1点もとってはならない。


絶対に0点を取り続けなければならない。


コレこそが僕の高校デビュー。


では、冒頭に戻るが現在の時刻は10時1分をちょうどお知らせされる頃である。しかしニュースで10時1分をお知らせすることは、きっと無い。多分無い。おそらく10時に、10時をお知らせしてくる。ぼくがニュースさながら10時1分をお知らせしてくると考えるこの思考こそが非完璧である証拠。今日僕は非完璧主義思考を手に入れた。


現在地は、入学予定の高校、その裏門の一歩手前である。


つまりは家を出たところだ。


さて、遅刻の言い訳何にしよう。

誤字脱字報告だけでも嬉しいです。

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