第6話 痛みと揺らぎ
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日時:聖星暦4012年5月8日13時26分11秒
大丈夫…。
作戦通り行けばいける………!
まずは、あのおっさんの店まで行こう。
そこでアリシアと合流後、ライラ達を救い出す…!
トオルは、脳内で立てた計画通りに行動すべく、
アリシアと合流するため、
最短のルートでチルドル屋まで向かっていった。
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日時:聖星暦4012年5月8日13時32分49秒
ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!
あと少し…あと少しであの商店街通りに着く!
「あらあらあら…見つけて仕舞いましたわ…。」
突然、耳元で聞き覚えのない女性の声が聞こえたと思った
瞬間、トオルはいきなり建物の壁まで吹き飛ばされた。
「ぅぐはぁあぁ…ッ!!
ぐはっ…い…痛ぇ! な……んだ…………?!」
「あらあらあら、申し訳ございません…!
貴方を傷つけて仕舞いましたわ…。
痛い思いをさせてしまって申し訳ございません…。
私はとても心が痛いです。
この手がいけないのですわ…。
悪いことをする手はいけないですわ…!
でも大丈夫です…!
きっと良く成りますでございます…!
私は善い人になれます…!」
白色の服を着た白髪の女は、申し訳なさそうな声色で、そう話しかけてくる。
その次の瞬間、
トオルの指先に急に冷たい激痛が走る。
「うやぁぁあい…っ…!!!
な…なんだ…痛い痛い痛い……!
指がぁあぁあああぁぁぁぁ…!!!」
トオルの手の指の第一関節から上が、
いつの間にか全てなくなってしまっていた。
それを見たトオルは、より強い激痛に襲われた。
「手がぁぁ!!指がぁぁーっ!痛い痛いぃぃ…!!
なんだっ!!なんなんだぁ!!ゲホッゲホッ」
「あらあらあら、駄目です。駄目ですわ!
そんな大きな声を出されては
近隣の方達の迷惑になります。
でも大丈夫です…!貴方は、良い人なのですから…!」
その瞬間、トオルの喉は何の前触れもなく突然潰された。
「うぐぅはッ!!!!がぁぁあああ!!!
がぎゃぃああがぃあああ!!!」
痛い痛い痛いっ!!喉が…!!!喉が潰された………!!?
「あらあらあら、申し訳ございません…。
大丈夫ですか?とても可哀想に思えてきました…。
貴方はこんなにも優しいのに…心が痛いですわ…。」
なんだ…!!なんなんだよ………!!
この女、さっきから何言って…!痛い痛い痛い……!!
怖い怖い怖い…!!痛い…誰か…誰か助けてくれ…!!
助けを呼ぶため声を出そうとしたが、
どんなに頑張っても、喉が潰れているためトオルは
助けを呼ぶ声を出すことができなくなっていた。
「あらあらあら、とても静かに成りましたね…!
とても素晴らしいことです…!
やはり貴方は良識の有る良い人です…!
世界の宝ですね!
惚れてしまいそうです!とても麗しいです…!
あぁ………尊い……尊いですわ…!」
痛い痛い……怖いコワ………い…………意識………が……
「あらあらあら、もうお眠りになるのですか?
行けない人ですわ…。まだお天道様はお隠れになって
いないというのに…お昼寝は健康によくないですわ…!」
次の瞬間、トオルの瞼が突然剥がれ落ちる。
「んあああぁぉあああがぁぁ!!!」
「あらあらあら、またまたまたそんな
大きな大きな声を出してしまうなんて…。
貴方は、悪い子なのかもしれませんね…。
でも私思うんです…!この世に完璧な人はいないのだと!
なので私は貴方を許します!赦します!釈します!」
トオルの意識は、度重なる攻撃による多量出血により、
どんどん意識が遠のいていった。
「あらあらあら、もうお終いですか?
私はとても悲しく思います…。
悲しく、哀しく、寂しく、淋しい。
でも、あなたに出会えてとても楽しかったです!
また出会えることを祈って…!
では、今日はこれでお終いです!
あぁ…!この出会いの場を設けてくださったマスターには
感謝しかありませんわ!
では、とても愛おしいですが、左様ならです!
貴方に敬意を、敬意を、敬意を、敬意を!」
その女がそう言い終わると、
トオルの体は跡形もなく彼方へ弾け飛んでいった。
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日時:聖星暦4012年5月8日13時41分23秒
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…………………んああぁああ…!!!
ハァ………ハァ………ハァ……
またこの空間に………戻ってきたのか………。
痛みは…引いてる…指も…ある…喉も治ってる…。
何だ何だ何だっ!今のはなんだ?!
誰だあの女…なんで…どうして……。
怖い……恐怖で心がどうにかなりそうだ…。
……………
………………………
なんであんなイカれた奴があんなところにいるんだ…!
それに、俺はどうやって攻撃された…?
いつの間にか指が…喉が…瞼がなくなっていた
どんな攻撃を………。
それになんで俺は攻撃されたんだ…。
奴は「見つけた」って言っていた…。
俺を元々殺るつもりで探していたっていうのか…?
なんでだ…俺はまだこの世界に来たばかりだ…。
狙われる理由なんかないはずなのに………。
いや、理由なんかどうだっていい…、
少なくとも、俺が狙われてたのは確かなんだ…。
………………………
もしかして、アリシア達を狙ってたのも奴なのか…?
だとしたら俺も奴に狙われていたことになる…。
そうなってくると、俺がギルドに入るのもまずいのか…?
いや、でも誘引欺城化の対象に俺は含まれてなかった…。
一体どういうことなんだ…?
俺はこの先どうしたら…。
どうすればいいんだ…意味が……わからない…。
突然の出来事に、頭の整理が追いつかず、
トオルはただ、困惑することしかできなかった。
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