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神代の魔導具士 豊穣の女神  作者: 黒猫ミー助
ソルガ原書
175/287

◆4-75 晩餐会直前 陰で踊る人形達

会話劇

いつ、どの場面かは秘密




 「コピ姉様、この子がソムニ姉様が調整してくれた子ですか? ふふ…可愛らしいわ」

 「ええ…。

 撫でるのは良いけれど気を付けてね、ルディクラ。

 コレ…魔素の浴び過ぎで元が壊れているから。

 (タガ)が外れると、どうなるか予測は出来ないって言ってたわ」

 「おいおい…昔見た時よりも随分と大きくなってないか?これ。

 また壊されるのはゴメンだぞ?」

 「大丈夫ですよ、クリオ兄様。今回はソムニ姉様が直接手入れしてくれましたから」

 「クリオ…貴方を壊したのはこの子でしたっけ?」

 「見分けつかねえから、コイツだったかは分かんねぇけど…。

 俺、今のこの身体気に入ってんだ。間違ってもけしかけるなよ?」

 「ルディ姉!わざとならけしかけて良いってよ?アハハ」

 「チェルターメン…、てめぇ…ぶっ壊すぞ…」

 「おお…クリオ兄ちゃんが怒った〜。こわーい。ハハハ!」

 「こらこら!貴方達、遊んでないの。

 次の鐘で依頼人が動くわよ。準備しなさい」

 「「「はーい」」」




 「久しぶりの祭りだな!

 おっと…この身体では初めてか。ちゃんと準備運動しないとな!」

 「チェル、契約だから合図の前には動かないでね。

 それと…あの人が、自分らを巻き込むなってさ」

 「相変わらず臆病だねぇ…

 安心しな。目に入らなければ殺さねえって」

 「そう言うだろうと思って、近づくなとは言っておいたわ」

 「流石ルディ姉。気が利くね〜」

 「アンタは、もう少し気を利かせてくれない?

 調整役も交渉役も、全部アタシがやってるのよ?」

 「俺に、そんな面倒な事が出来ると期待してるの?」

 「…少しは期待させてくれないかしら…」

 「そんな事より!何処で暴れればアイツ、俺を見つけてくれるかな?」

 「街中で何十人か殺せば、嫌でも駆けつけて来るでしょ。

 丁度今、お祭り騒ぎで外で飲んだくれてる奴等がたくさん居るから、そこら辺を適当に間引けば良いんじゃない?」

 「それよか、王子様の塔を襲うか?その方が早くね?」

 「駄目よ。アレは後で使いたいそうだから。生かしておけってさ」

 「ちっ…。まぁ良いか。

 街中で暴れる方が、もう一人の王子様も来てくれるかもしれねぇしな!ああ…両方と踊りてぇなぁ…」

 「あ!そうそう。一応、顔は隠しなさいよ?今後も使う身体なのだから」

 「…くそめんどくせぇなぁ…」




 「クリオ。例の件は問題なく実行出来そう?」

 「ソムニ姉の依頼の事か?有能な魔導具士の調達ね。大丈夫大丈夫」

 「ところで彼女…本当に有能なの?」

 「…多分な。あの子がそう言ってるし」

 「ふぅん…どちらにしろソムニウムに渡して洗脳して貰えば分かるわね。

 じゃあ、予定の場所に…お願いね」

 「了〜解」




 「おい、ルディクラ!貸した本、返せよ」

 「ああ…はいはい。

 兄さん…何なのこの本?全然読めないわよ」

 「なんだ…読めもしないくせに貸せって言ったのか?」

 「だって、帝国が何百年も大切にしていた本なのでしょう?興味あるわ。…結局落書きにしか見えなかったけれど…。

 で、どんな事が書かれてるの?」

 「知らんな!」

 「おい!クリオシタス!」

 「知らんが、多分解る。

 大昔に似た様な模様を見た。聖教国でな」

 「あそこにも同じ本があるの?」

 「同じでは無い…が、比べれば解読が出来るかもしれん」

 「だから、持ち帰ると?」

 「どちらにしろ此処に置いておいたら、依頼人達に燃やされるかも知れないしな。保護活動ってやつだ」

 「あら、それもそうねぇ…。私も、今のうちに保護活動でもしておこうかしら…」

 「するのは構わんがな…。

 …もしこの場所を離れるなら、そいつはちゃんと繋いでおけよ?」

 「あらあら…お兄様、魔獣程度に怯えちゃって。

 こんなに可愛らしいワンちゃんではありませんか」

 「ちっ…お前も一度喰われてみやがれ…」




◆◆◆




 「セルペンス中佐、そろそろ予定のお時間です」

 「分かったわ。ではルコック殿、後は宜しくお願いします」

 「承りました。

 ところで王宮の道化共は、どの様に処理致しますか?」

 「彼等が奴等の手先か、それともただの人形かどうか…今のところ分からないから放おって置いて下さい。

 どうせ何も出来ないし、何かすればそれが証拠になりますし。

 処分は後で王帝陛下が決めるでしょう」

 「本当に…丁度良い時に都合良く、物と人が揃いましたな」

 「偶然ではなく必然なのでしょうね。あの方にとっては」

 「ところで、姉君はどちらに?」

 「さて…。お姉様が本気で隠れると、私でも見つけられませんから。でも、多分近くに居る気がするの」

 「それは…恐ろしいですな…」

 「ふふ…貴方が馬鹿な事を考えなければ大丈夫よ」


 「中佐!時間ですよ!急いで下さい!!」

 「はいはい…今行きますよ。全く、若い子はせっかちよねぇ…」

 「帰ってから一度も敬愛する御二方に会えてませんからね…。

 イライラしているのですよ」

 「まぁ…それは友情?それとも…?」

 「リリン姉ちゃん!!!」

 「はいはい!…はぁ、元気ねぇ、しょうが無い。残飯(ゴミ)処理してきます…」

 「行ってらっしゃいませ」

 「はーい。じゃ、身柄の確保、頼むわね」

 「お任せ下さい」




◆◆◆




 「ああ…また間違えた!」

 「大丈夫です。お嬢様は間違えても可愛らしいですから!」

 「相変わらず言っている意味が分からん…」

 「エレノア様違う…。そこの音程は…これ…」

 「ああ…前のフレーズとは違うのね」

 「ここは…私のソロパートね。

 …ううん…久しぶりすぎて、指が上手く動かない…」

 「いきなり弾いて…なんて、無茶振りでしたわねぇ…申し訳御座いません」

 「いえ…私も王族の端くれ。貴族達からの嫌がらせに比べれば楽なものですわ。

 王族たる者、突然の要求に応えられない事の方が問題です!」

 「ごめんなさい…お姉ちゃんの無茶振りは、いつもの事…」

 「へぇ…貴方でも、そう思うのね」

 「お姉ちゃんは、天才だから…。頑張らないと…僕も置いて行かれる…」

 「貴方も結構苦労してそうね…」

 「…でも、好きで頑張る事は…苦労じゃないから…」

 「…貴方…私の弟にならない?」

 「うちの子の勧誘はご遠慮ください!」

 「まぁ…冗談半分では御座いませんか」

 「半分本気はタチが悪いわ…」

 「まぁまぁ…エレノア様、今は練習しませんと…。時間がありません」

 「ああ!また間違えた…ここ、難しい!」

 「お嬢様、大丈夫ですわ。わたくしが手取り足取り…」

 「楽器が血で汚れる!鼻血拭いてから触りなさい!」

 「ああ…、目茶苦茶だな…」




◆◆◆




 「クラウディア達は大丈夫かな…?」

 「…きっと大丈夫…彼女が何の準備もしない筈がない」

 「これから事が起こるから、迎えが来るまで此処から出ないようにと言われたけれど…一体何が起こるの?」

 「私も何も聞かされてないけれど…私達が処理した物を考えれば、きっと碌なことじゃない…と思う…」

 「あのさ…処理した物ってさ…もしかして…」

 「…爆弾よ」

 「やっぱり〜。…なんで僕、帝国に遊びに来て爆弾処理してんだよ…」

 「私もよ…。結局デミと一緒に式典に出られなかったし…」

 「…デミ達もジェシカ達も…普通じゃないよね?

 彼等は…何者なの?…ヴァネッサは知ってるよね?」

 「そっか~。イルルカは知らないんだったね〜。教えてあげようか!?むぎゅ!」

 「パック!エレノア様に言いつけるわよ!」

 「ひぅ!」

 「アンタ馬鹿ね〜。そんな事も知らないの?」

 「…エインセルは知ってるの?」

 「ん〜ん。知らない」

 「何だよー!お前も馬鹿じゃん!バカエイン〜♪」

 「あんですって!バカパックのくせに!ナマイキよ!」

 「貴方達…余計な事を言うと、クラウに食べられちゃうわよ」

 「「ひぃ!」」

 「エレノア様か…やっぱり彼女達は聖教国の…」

 「…私の口からは言えない…けど、貴方の敵ではないわ。

 むしろ護ってくれているのよ。彼女達を信じて…」

 「…うん。それは分かってるし、信じてるよ」

 「クラウディア達に僕達も護るように説得して〜」

 「貴方達が私達を護ってくれたら説得してあげるわ」

 「「まっかせなさい!!」」

 「…不安だなぁ…」



 

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