表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生エルフの復讐劇  作者: 白い彗星
平和な日常
9/24

話し合いの結果



 扉越しにラニーニさんの過去を聞き、私はこのタイミングで突入するか迷っていた。今向こうの部屋に突入してしまえば、今の会話を聞いていたのがバレるのは必然だ。


 かといって、今の話を聞いてもなお、ラニーニさんたちをここから追い出すという意見が出るのなら……やっぱり私は、賛成できない。


 うーん、もし追い出すって話になったら、私は……



「うーん……って、いててててて!」



 考え事をしていた最中に、髪に猛烈な痛みが。そちらを向くと、サニラちゃんが私の髪を引っ張っていた。さっきお兄ちゃんの髪引っ張ってたのに、髪好きだな!


 って、そうじゃなくて、千切れる千切れる……!



「はは、その子、お前とも遊んでほしいんだな」


「わ、わかった、わかったから! とりあえず手を離して!」


「わはは、わーい!」



 ……そういえば、この子あんまりしゃべらないな……もしかして、つらい境遇の中であんまり話さなくなってしまった、とか?


 私と同じ年くらいに見えても、その精神はまだ幼いままなのかもしれない。まあ、私もまた見た目通りの精神年齢じゃないんだけどね。



「仕方ない、遊ぼうか」



 結局そのまま、サニラちゃんが離してくれないので遊ぶことに。くっつかれたままじゃ話を聞けないし、お兄ちゃんにも不審に思われちゃうし。


 ……部屋の扉が開いたのは、それから少し経ってからだった。



「お待たせ、三人共。……仲良くなったみたいだね」



 扉を開けたダーネスさんは、私たちの姿を見て苦笑いを浮かべる。なんせ、今私とお兄ちゃんは、サニラちゃんに髪や頬を引っ張られている状態なのだから。


 仲良くなったというより、おもちゃにされている感は否めないのだけれど。



「……はなひ、おあっふぁ?」


「あぁ、話は終わったよ。結論から言うと、ラニーニさんとサニラちゃんはこの村に住んでもらって問題ない、ということになった」



 にこやかに微笑むダーネスさんの口から紡がれた言葉は、私にとって望んでいた言葉だ。二人を、この村に住まわせてくれる……!


 二人の境遇に同情したのか、他に理由があったのかはわからない。それでも、結果として二人の在住が決定した。


 その後、村人に決定事項が話された。村人は不安そうであったが、ダーネスさん含めこの場で決められたことに異議を唱える人はいない。ここでラニーニさんの過去を明かしこそしないため、どうしてこういう答えになったのかわからないようだが。



「とにかくこれで、これからも遊べるってことだね!」



 きっと、二人には心休まる日なんてなかったのだろう。だからこそ、ここでは羽を伸ばして暮らしてもらいたい。


 他のみんなはまだ動揺してるし、大人であればあるほど受け入れがたいだろう。特に、さっきの話を聞いてなかった者には。


 ならばせめて、私がしっかりしなければ! 私から率先してサニラちゃんと遊べば、他の子も遊んでくれるはずだ。お兄ちゃんだって、さっきの時間でそれなりに仲良くなったはずだし。



「これからよろしくね、サニラちゃん! ラニーニさん!」


「う、うん……」



 ラニーニさんはこんな対応されるのが初めてなのか固まっているし、サニラちゃんもおずおずとしている。


 ラニーニさんはまだしも、サニラちゃんは同年代の子とこうして接するの自体、初めてかもしれないし。ちゃんと、ここに来て良かったって思えるようにしたいな!


 このときの私は、新しい仲間が増えたことに喜び、このまま順調にみんなが仲良くなれるのだと……そう、思っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ