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サプライズ

作者: 柚子

私はある会社で事務をしている。

事務員は1部署に1人置かれることになっており、私は

総務部からの営業部に配属されて、もうすぐ2年・・・・

営業部ってもっとピリピリしている感じなのかと

思っていたけど、結構皆仲良さげにというか

傍から見ていても、いい雰囲気でやっているのを感じる。

だから、特に不満という不満はないんだけど・・・・


「あー総務のカンナちゃんほんま癒しよなー」

「でも、あの子彼氏居るらしいで?」

「そりゃそうやろー。あー、あんなルールが

 なければきっとカンナちゃんは俺のもんやったなー」

「自惚れるなや」


そう、何故か営業部だけは、職場恋愛禁止というルールが

課せられている。

営業の成績に関わってはいけないという社長の判断

らしいけど・・・・納得はいってない。

と、いうのも実は私はそのルールを破って、密かに

お付き合いしている人が、しかもこの営業部内に居る。


「なーなみん、おはよう!」

「おはようございます、金谷さん」


彼が営業成績TOPの金谷将太。(お調子者)

そして、私の彼氏さん。


「お前、その変なあだ名で呼ぶんやめたれやー」

「何でや、可愛い女の子には可愛いあだ名で呼ぶもんやろ!」


入社した時から、私のことを狙っていたらしい将太は

私がまさか営業部に配属されるとは知らず、仮に付き合った

時にボロが出ないようにと初めから私のことをあだ名で

呼んでいる、らしい。

(最初は嫌で仕方なかったというのは、将太には内緒やけど)


「じゃあ、俺も呼んじゃおっかなー」

「残念ですねー。これはもう特許取ってるんで俺のもんですー」

「きっしょ。嫌やったらほんまぶん殴りや」

「あはは、いえいえー。では、職務にお戻りください」

「相変わらずドライな対応しますねー」

「職務中ですのでね」

「あ、そうそう!これ頼まれてたやつ」

「え?」


私、何も頼んでない、けど・・・・


「あのっ・・・・」

「特急案件やんか。はい、このファイルなー」

「えっと、はい。ありがとうございます」


渡されたファイルには「昼休みに開けるように。

社員用2階うさぎ3番」と書かれたメモと鍵。

うちの会社には珍しく社員が更衣室の他に

勝手に使ってもいいロッカーがある。

将太をチラ見したら、なんかウインクとかしてるし。


いざ、昼休みになり、ロッカーに行き、鍵を開ける。

すると・・・・


「わっ、びっくりした・・・・」


-HAPPY BIRTHDAY!マイスウィートハニー!笑-と

書かれた可愛いメッセージカードと、私の大好きな

花の詰め合わせのブリザーブドフラワーが置いていた。


こんなリスキーなことせんでも、今日会うんやから

その時に渡してくれたら良かったのに、とか、

ここ来るまで誰にもバレへんかったんかな?とか、

色々と突っ込みたいところはあるんやけど。

でも、多分そんなこと考えず、私のことだけを考えて、

こういうことしてくれたであろう将太の気持ちを

思うと、嬉しくて、幸せで、耐えきらんくなったから

とりあえず電話してみた。


「もしもし?どうしたん、仕事中は連絡してこやんのに」

「いや、今ロッカー見てさ」

「あ!うん!どうやった?」

「ありがとう。ビックリした。でも、今日会うねんから

 その時でも良かったのに」

「サプライズやんかー」

「職場恋愛はご法度なのですよ」

「細心の注意をはらって、行いました」

「・・・・こんなに嬉しいのに、今すぐにでも抱きつきに行きたい

 くらい嬉しいのに、それが出来ひんのがもどかしい」

「あはは!それは、後でまとめてお受け致しますよ」

「そうやね。後で溜まってる分、ぶつけるからちゃんと

 受け止めてな」

「楽しみにしとくわ」

「将太」

「ん?」

「いつもはあんまり言わんけど、その、大好きやよ」

「うわ、嬉しすぎて鼻血出そうやわ。後で対面でも聞かせてな」

「んー、分かったけど、鼻血出すのだけはやめてな」

「ははっ、耐えるわ。じゃあ、そろそろ帰っておいでな。

 晩は美味しいもんいっぱい食べさせたるから、午後からも

 頑張ろな」

「うん。じゃあ、また」


あー、まだニヤニヤしちゃう。

さーて、とりあえずこれを自分のロッカーに持って行って、

午後も乗り切りましょうかね。

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