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ぶひいいいいいいっ!

 ミレイアの個人情報が、頭から直接抜かれている。

 嫌だと思っていても、勝手に脳が魔女に教えてしまうのだ。拒否感が、気持ちよさに負けている。教えたらご褒美として快楽をくれるから。



 戦闘技術や攻撃魔法の知識など、あらゆる情報がミレイアの中へと流れ込む。

 この恍惚感は、ミレイアの脳にかかる負担を軽減する役割があったらしい。


 気持ちが晴れやかになる。

 自身の体を見ると、ボンテージ姿になっていた。


 身体のラインがくっきりした、際どいスリットの入った魔法のローブをまとう。


 黒の網タイツが太ももを覆い尽くす。

 

 ポニーテールの髪に、細長いヘビが巻き付く。

 メイドカチューシャはそのままだ。


 時間間隔が戻り、オークロードのパンチが顔面に飛んできた。


 ミレイアは反射的に、ムチで弾き飛ばす。


 あれほど頑丈で強大だった魔物が、ムチの一撃で吹っ飛んだ。宝の山に、後頭部から突っ込む。


 これが、魔女の力だというのか。


『ほーお、強化されたオークを、一発でのしちまうとは、やるやんけ!』

 魔女にとっても、ミレイアの強さは予想外だったらしい。


「こしゃくな、人間めぇ!」

 起き上がったオークが、短い足で蹴り払いを繰り出す。


「はあ!」

 ミレイアはムチを柱のように直立させて、天井へと登った。


「なにいいい⁉」


「キックというのは、こうやるんですわ!」

 ポールダンスのように回転しながら、ミレイアはムチから滑り降りる。ハイヒールで踵落としをお見舞いした。


「ぐへえ⁉」

 自分の隊長より高い位置から蹴りが飛んでくるなんて思ってなかったのだろう。脳天を割られ、オークロードが卒倒した。 



「なんだってんだ! どうしてただの人間に、そこまでの力が⁉」

 オークロードのヒザが、笑っている。起き上がれないくらい、ダメージを食らったようだ。


「一生、分からなくてもいいですわ」

 怯えるオークロードのアゴを、束ねたムチで持ち上げる。 


「さて、オシオキの時間よ、ボウヤ」

「がああ!」

 またしても、オークロードが拳を振り上げた。

 

 今度は至近距離である。避けきれない。


 だが、かわす必要なんてなかった。


 ムチで全身を縛り上げて、拘束するだけでいいのだから。


「ふぐぐううぐぐ!」


 手足どころか口まで塞がれて、オークロードはジタバタともがく。

 呼吸はできるようだが、鼻息が臭い。


「こんなやつを縛って、どうなさるおつもり?」


 さっさと殺してしまうべきだ。

 早く帰って、男爵とイチャイチャしたい。


『こいつほど強化された魔族には、必ず弱点があるのさ。そいつを教えてやる』

 そうと決まれば、実験あるのみ。


「さて、どうしてあげましょうか」

『ぬかりはないさ』


 ムチの先から、卵のような物体が生まれる。

 まぶたが開き、目玉がオークロードを捉える。


『ヒヒヒ、これなーんだ?』


 いたずらっぽく、魔女がオークロードにささやく。


 口の拘束を解かれたオークが、過呼吸を繰り返した。


「そ、それはまさか⁉」


 絶大な力を誇るはずのオークロードが、さらに暴れだす。


『左様。魔界につながる通信装置さ。オマエの痴態が魔界じゅうに知れ渡っている』


 ムチがひとりでに動き出し、オークロードのマタを開かせる。

 目玉に羽が生えて、オークの股間にズームアップをした。


「や、やめろお!」

「さて子豚ちゃん、お体に触りますよ」

「ひいいいい!」


 ヘビのように、ムチの先がオークロードの身体を這う。

 まるで、魔物の敏感な部分を探すかのように。


「ムチよ、おしえてちょうだい。このボウヤのいいトコロ」


「ぐひい⁉」

 急に、オークロードが女子のような悲鳴を上げて、白目をむく。

 

 ようやく、背部に弱点を見つけたようだ。


「背中に、魔力石が刺さってますわ。こんなに太くて大きいのは、初めて見ます」


 オークの背中に、紫色の水晶がそそり立っていた。オークロードの血液を吸って、激しく上下に脈打っている。


『魔王の力が封じ込められているのさ。そいつを回収しちまおう』


 魔物は魔力石を打ち込まれると、力だけでなく性感も三〇〇〇倍に達するという。


「おとなしくしててね、ボウヤ。こんな凶器はヌキヌキしましょうねー」


「よせ、よせえええ! こんなことをして、タダで済むとでもあへええ⁉」

 魔力石をムチで撫で回すだけで、オークロードはあられもない声を発する。

 どうやら、達してしまったようだ。


「よく喋る豚だこと」

 せっかくだから、ムチで魔力石を締め付けた。


 オークロードの身体が、情けなく跳ね上がる。


「あらぁ、随分とおとなしくなったわねぇ?」

「やめろ! 俺様を誰だと思ってやがる!」

「豚がしゃべるな。女王様の御前ですわよ!」

 

 高圧的に攻め立ててやると、腰の跳ね上がりが増す。

 どうやらこの豚、性根はドMか。


「やめてくれ、やめて。女王様ああああああ!」

 あまりの快楽に、オークロードは君主という地位を捨てる。ようやく、自分が醜い豚であると自覚したようだった。




「いい声でお鳴き」

 釣り竿を引っ張るかのように、ミレイアは魔力石を引っこ抜く。






「ぶひいいいいいいっ!」





 最高潮のアヘ顔を晒し、オークロードの身体が縮んでイッた。



 抜き取った魔力石は、魔女のムチの中に飲み込まれる。

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