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討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
第五章 奴隷開放
98/100

一週間④

 うむ、今日は絶好調にコーヒーが美味い!

 味の表現に絶好調もどうかと思うが絶好調にコーヒーが美味い!


 これというのも昨日一日中レジャー施設で霊獣共と遊んで気分転換ができたのがよかったのだろう。

 恐るべしモフモフパワー。

 前世からも含め、全くペットとかに興味はなかったのだが、なかなかどうして、思った以上に癒やされた。

 ペットは癒しというのは本当だったようだ。

 というかモフモフは偉大だった。

 また今度撫でに行こう。


 目線の先には昇る朝日。


 いつもの朝、いつものバルコニー、そしていつもの美味しいコーヒー。


 最高だ。


 ただしこの至福の時が終われば再び訪れる暇で仕方のない地獄の時間が訪れる。


 はぁー、今日は何をしようか。


 こんなことで悩んでる魔王ってどうなんだ?

 オレ魔王だよ、魔王。

 なんでこんな事で悩んでんの?

 えらく小さな事で悩んでる気がするんだが。


「でしたら世界でも滅ぼしませんか?」

「……。」


 いきなり主人であるオレ(魔王)の心を読んできて当たり前のようにアホな事を発言してくるアホで駄目な悪魔は無視だ。

 本当に発言がアホ。

 これでノリ良く「よし行ってこーい!」とか言った日にはこのアホ悪魔は本当にヒャッハーしに行くのは間違いない。

 しかもアホみたいな過剰戦力を従えてだ。

 オレは悪魔が人々を蹂躪している所を見て楽しめる様な人でなしでもスプラッター好きでもなんでもないからな、本気で。


 にしても魔王ってそもそもなにをやればいいのだろうか?

 人族を破滅に導く?

 世界征服?

 勇者抹殺?

 つーか魔王ってなによ?

 悪どい事を繰り返して捕まえる事が困難なヤツがたどり着く最終形態なのが魔王なんじゃないの?


 オレ悪い事なんもしてないよ?


 前世で見たアニメで執務室で書類と戦っていた魔王もいたが、生憎うちには優秀過ぎる部下が多過ぎてその手の仕事は回ってこない。

 たまには仕事をしたくなるのは元いた世界のブラックに染まり過ぎているからだろうか?


 というか、暇で悩む魔王ってどうなのよ?

 今ここに、暇と戦う魔王爆誕!!

 ってアホかっ!


 現実逃避はこれぐらいにしてと。


「そういえば、セレネとエマは何をしてるんだ?」

「それは直接お聞きになられたほうがよろしいかと」

「何をしているのかと聞いたのだが教えてはくれんのか?」

「お会いしたときに直接お聞きになられたほうがよろしいかと」

「……。」


 はい、こいつは教えてはくれないと。


 確かにセレネにもエマにも全く会っていないわけではない。

 飯の時間、風呂の時間、寝る時間……、うん、毎日確実に会っている。

 ついでに言うなら他愛もない会話は毎日しているし家族との仲は良好だ。


 いつでも聞こうと思えば聞けるのだが、前に一度エマに聞いた時は「秘密」とか言って教えてくれなかったからなぁー。

 あれはなかなかの衝撃(ショック)をうけた。

 気にはなる。

 かと言って、しつこく女性が秘密にしていることを聞いて態々暴くのもは余りに野暮ったい。

 それは流石に男としても父としてもどうかと思う。

 しゃーない、セレネとエマの件は教えてくれるまではこちらも知らんぷりを通す事にしよう。


 というか、暇つぶしの宛が一つ消えた、な。


「そうだ。奴隷の件はどうなっている?」

「ウルティアが中心で各国と連絡を取りながら動いてはいるようです。が、動きはかなり遅いかと」

「言ってもあれから二日だしな」

「ウルドとウルヘイドの残党が反乱を起こすために集まっているようです」

「あいつ等は相変わらずか。こうなったらいっその事新しい国でも作るかなぁー。残党も潰しときたいなぁー」

「統一国家の旗揚げでごさいますね」


 どうしたもんかなぁー。

 待つのも暇すぎるしなぁー。

 一度は動かないと言ったものの、動くのも有りっちゃ有りなんだよなぁー。


 まずは適当に便利そうな場所みつけて辺り一面吹き飛ばして更地にして、建物を作る前に魔法で水周りを含めた地面のインフラ整理する。

 中心地に城を作り、防衛を考えた街の作りをする。

 元ある街を開拓するよりゼロからのほうが楽なのではなかろうか。


 無くは無いなぁー。

 罪のない奴隷達が中心として住む国かぁー。


「国を作るとしたらどれくらいかかる?」

「作るだけでしたら今日にでも。人族の移動等を含めますと二、三日かと」


 だよなぁー、大体オレの考えと同じぐらいだな。

 人族の奴らを待つよりも動いたほうが早いのは間違いないんだよなぁー。


「朝食が終わったら会議をする。国の建築、上下水道、物資の流通に詳しい者を集めておいてくれ」

「御衣!」

「さてと、ひとまず朝飯でも食いに行こうかねーー」




 この時のオレの発言、そして全ての間違いに気付くのはもう少し先の話しになる。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 やはりコーヒーは美味い。

 沈みゆく夕日を眺めながら染み染みと思う。

 美味しいコーヒーと真っ赤に染まった景色が真っ白になったオレの心を癒やしてくれる。


 はあー。


「どうしたのパパ? ため息ついてると幸せが逃げちゃうんだよー」

「ん? 知らない間にため息ついてたか? 今度から気をつけるよエマ女王陛下」

「あー、またパパが意地悪言ってる。エマはエマなの。女王とか言わないでなの」

「と言っても何がなんだかわからんうちに正式に女王になったからなぁー」

「パパが悪いんだからねー。べーっだ」


 そう、本当にわけがわからんうちにいろいろと物事が動いた。

 というか動かしてしまった。

 ついでに言うなら動かされた。

 半端なくこき使われた感すらある。


 なにもかもあの一言がいけなかった。

 見切り発車がこんなことになるとは……。



 数日前、国を作ると言って会議をした。


 そこで出た案は、どうせ国を作るなら人族の統一国家を作ろうというものだった。

 ごちゃごちゃ戦争をされても後々政治やら外交やらで圧力をかけられても面倒くさい。

 だったら世界の国を一個にしようと。

 もちろん賛成。


 国を作る場所は人族大陸でも魔大陸に近い場所に決まった。

 決め手は、他の国が存在していない事、我が国と交流がしやすい事、安定した水源があったからだ。

 文句なしの好立地。

 人族ごときじゃ生活出来るような場所ではなく凶悪な魔物が多数存在する密林地帯だったんだけどね。


 場所が決まればインフラ整備の段取りだ。

 まさかの全て、オレの魔術頼みだった。


 生えてる草木を根こそぎ魔物ごと魔術をぶっぱなして平地に変えて、近くを流れる川は氾濫しないように防波堤を設置、ついでに川上にダムを建築、建物を立てる前に上下水道を設置、道路の整備、主要な道路には見栄え良く石畳を敷き詰め、街の中央にバカでかい真っ白な城の建築、言われるがままに指示されるがままにありとあらゆる建物から防衛用の壁まで作りましたよ。

 言い出したのはオレだから従いましたよ。

 ええ、魔王なんですけどね。

 本当に言われるがままに従いましたよ。

 オールオッケーですよ。

 バッチコイですよ。

 魔王だからって全く気にしていませんよ。

 つーか、やり遂げましたよ。

 こだわり過ぎたせいで休みなく数日かかったし、アホな悪魔がずっと騒いでいたけどな。


 その後おこなったのが元々あった国を国としてではなく統一国家の州として運営してもらうというものだ。

 それが嫌なら国ごと潰してますという一方的な案件だったんだが最終的には戦争なく話し合いで全ての国が軍門にくだった。


 各国、じゃなくて各州にいた奴隷を中心にかなりの数の人族を新しい街に転移させ、いざ建国となったのだが問題が起こった。


 そう、王がいないのだ。


 そこで白羽の矢がたったのが、エマ。

 急遽戴冠式が行われ女王に就任したわけだ。


 それがまた大変だった。

 各州にいる主要な人族を片っ端から拉致。

 強制的にた戴冠式を済ませ、終わるとすぐに国に帰した。

 当然動いたのはオレだ。


 他にもなんやらかんやらいろいろあったがもう済んだ事はしらん。

 ただただ疲れた。


 うん、コーヒーが美味い。

 飯食べたら風呂入って寝よ。



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