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討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
第四章 それ以外の国
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霊獣の神殿【上】

 

 ようやく降って湧いたイベントが一段落した。


 と言っても精霊大陸を覆っていた黒い霧を払っただけなんだが。


 後はセレネの母マイアさんの件ぐらいだな。

 これも近いうちに挨拶へ行かないといけないのだが、ぼちぼちでいいだろう。



 やっと本題へと進める。

 目的は霊獣とドラゴンの討伐だ。


 どちらもかなり危険な気はする。

 危険な気はするのだがいらん心配をしても仕方がない。


 どこから攻めるか決めて後はセレネをほたるだけだ。



 俺はまだベットに転がっていた。

 朝早くに目が覚めたこともあるが今後の予定を考えていたのだ。

 隣にはアホ丸出しで寝ているセレネがいる。

 なんとなく【鑑定】してみた。



 セレネ・クヴァリル・ディルナル

 勇者(勇者属)

 ランク 37→40

 攻撃力 D

 防御力 C→B

 素早さ A

 器用さ C

 知力 E

 スキル

【勇者S】【精霊王の祝福S】【霊獣の祝福B】【未来予知A】



 北のダンジョンを攻略してからそれなりに強くなっていた。

 鎧くんの攻撃を喰らいまくったせいか、防御力が上がっている。

 にしてもこのステータスで鎧くんの攻撃を全て躱せるようになっていることに驚きを隠せない。

 素早さはあるがあれ程躱せるものだろうか。

【未来予知】ってのがポイントなのだろうか。


 ドラゴンは厳しいだろうからひとまず霊獣からだろうな。

 霊獣四体。

 下手をすれば更に一体いるだろう。


 まあ、なんとかなるだろうな。


「よし、起きるか」


 俺はベットから出て背伸びをする。

 そしてリビングへと向かい、窓を開ける。

 爽やかな空気を吸ったら魔術で身なりを整えて玉座の間へと転移した。



「おはようございます」


「ああ、おはよう。今日はセレネを連れて残りの霊獣を討伐しに行く。そこまでの時間はかからんと思うが、その間の城のことは任せるぞ」


「かしこまりました」


 さてと、セレネが起きてきて食事をするまでに時間はあるな。


 一度精霊大陸でも見てくるか。


「少し出てくる。セレネが食事を終えるまでには帰る」


「かしこまりました」


 俺は転移して精霊大陸へと向かった。


 転移した場所は街の外。

 再び結界に覆われているようなことはなかった。

 街を行き交う人の姿も見える。

 人族の王都に比べると兵の数が多いか。


 一歩間違えば国が滅ぶようなことが起こった後だ。見回りの兵士が多くなるのは当然だろう。


 昨日の今日でこれだけ活気があるなら問題はなさそうだ。たまに様子を見にくる程度で大丈夫だろう。


 しばらく街を眺めてから城へと戻った。


「おかえりなさいませ」


「向こうは問題ないようだ。セレネは食堂か?俺も食堂へと向かう」


 転移して食堂へと移動した。


「あ、アルス、おはよー」


「ああ、おはよう」


 相変わらず凄い皿の山だな。

 元気そうで何よりだ。


「今日は霊獣退治に行くからな」


「まだ霊獣さんいるんですねー。連れて帰れるんですかね?」


「それはわからん。というかあんなん増えてもしょーがないだろ」


「えー、賑やかなほうがいいじゃないですか?」


 まあ、俺に直接迷惑がかからないなら賑やかなほうがいい。それはわかる。

 が、あれ以上いるのか?いらんだろ。


「悪いが濃いめのコーヒーをくれ」


 俺はいつものように現実逃避をしながらコーヒーを味わう。


 この瞬間だけが全てを忘れてられる。


 どうせまたいろんな問題が起こるんだ。

 少しぐらいはいいだろう。



「ごちそうさまでしたあーー」


 セレネの前には積み上げられた皿の山。

 これまた凄い量を食べたもんだ。呆れるやら、感心するやら。

 この無邪気さが羨ましい……でもないか。


「一度、玉座の間へ行ってから出発するぞ」


「はーい」


 玉座の間へと転移して軽く予定を話した。


「恐らく今までとは違った形になると予想される。気を引き締めて望んでくれ」


 とはいっても今のセレネに勝てるヤツはそうそういない。

 どうかしたら俺とディアブロを除けば誰も勝てないのではないだろうか。


「それじゃ行くぞ」


「はーい、みんないってくるねー」


 俺とセレネは転移した。


 転移した場所は城の真下だ。


「ここってお城の下ですか?」


「そうだ。これから向かうのはこの真下だ」


 世界の中心にある湖。ディルティア湖。

 恐らくこの下に何かある。

 確信めいたものもあるんだがいって見ないことにはわからない。


「いくぞ」


 俺はセレネを連れて湖の中へと入った。


 どこまでも澄んだ水。透明感が凄い。


『きれーですねぇー』


 意思疎通した魔術を通じてセレネの言葉が聞こえた。


 沈むこと数分。

 ようやく底が見えてきた。


 今までのダンジョンの入り口とは違ってデカイ神殿のような造りの建物だ。


『なんか今までとは違った感じで、なんかこうぐわっとくる力がありますよね』


 今までと比べると明らかに圧力はある。


 考えてもしょうがないので神殿へと入っていく。


 入り口にある装飾されたデカイ扉を開けて中へと入る。


「空気があるな」


 神殿の中へには空気があった。

 それどころかどこも濡れている様子もない。


 ただ広い空間。

 その中央に地下へと伸びる階段があるだけだった。


「行くぞ」


 階段を降りた。

 ひたすら続く長い階段。

 その階段の先にはこれまた広い部屋へと出た。


「「グゥァァーーーー!!!」」


 現れたのは体長五メートル程の霊獣。

 しかも四体だ。


 応龍、麒麟、鳳凰、霊亀だ。


 さぁーて、四対一の戦い。

 見ものだな。


「死ぬなよ」


「今から戦いに行く妻にそれはないと思いますよ!頑張れぐらい言えないんですか!」


「頑張ってこい」


「最初からそう言って下さいよね!それじゃーセレネ、いっきまぁーす!」


 突っ込んでいくセレネ。

 炎を吐く鳳凰。

 麒麟は魔術で土の壁を作ってセレネの行く手を塞ごうとする。

 霊亀は体ごと体当たりをしようと突っ込んでいく。

 応龍はいくつもの水弾を打ち付ける。


 炎は軽いサイドステップで躱す。

 走る方向を真横へと変えることで土の壁を避ける。

 身を低くすることで体当たりを躱してひたすら反撃している。

 水弾は霊亀の身体に隠れることにより回避した。


 耐久力が高いであろう霊亀を盾にして他の三体の攻撃を躱してひたすら霊亀を攻撃していくセレネ。

 ちまちました攻撃だが的を絞った攻撃でガンガン霊亀へとダメージを与えている。

 他の三体も動き回ってセレネを攻撃しようとしているがそれ以上にセレネの動きが早い。

 攻撃しようとしたときには霊亀を間に死角へと移動している。

 他の霊獣達も同士討ちは避けたいのか攻撃の頻度が減っている。


 そこに付け込んでどんどん霊亀にダメージを重ねていく。


 呆気なく霊亀は光りとなって消えた。


「おっしゃー!」


 一番倒すのが困難な相手を真っ先に倒せたことで雄叫びを上げるセレネ。


「喰らえっ!白い雷(ライトニング)


 応龍に白い雷が直撃した。

 セレネは落下地点へと素早く移動していく。

 墜ちてきた応龍へとトドメの一撃を加え、光りとなって消える応龍を尻目に、すぐさま地面を駆ける麒麟へと向かう。


 が、麒麟は空へと駆けて行ったのだ。

 鳳凰も飛んでいる。


 セレネは空には飛べない。


 空から鳳凰が火を吐き、麒麟が土の壁を作ってセレネの行動を制限していく。

 それでも当たり前に躱し続けるセレネ。


「てぇめぇらぁー降りてこいやぁー」


 降りて来るわけがない。


「くっそー。見てろよ!」


 攻撃を避け続けてながら、そのわずかな隙間を縫って、ジャンプした。

 めちゃめちゃ普通にジャンプした。


 さすが人間をやめた女だ。

 凄まじいジャンプ力である。


 が空を飛ぶ相手に届くわけがなかった。


「くっそー、もうちょいだったのにー」


 もうちょいのところまで行けるのも凄いが最初からわかりそうなものだ。


 もちろんこの後の光景も。

 落下するセレネ。

 霊獣達がそこを見逃すはずがない。

 鳳凰の吐く炎と麒麟の土で出来た弾丸がセレネを襲う。

 空中で躱せるわけはなく全弾直撃して地面へ墜ちた。


「びっくりしたぁー」


 無傷だった。



 そういやこいつ【霊獣の加護】とか持ってたな。

 火と水と土と光の属性無効。


 良く考えたら躱さずともダメージ喰らわなかったのかもしれない。


 なんなんだ。この出来レース。

 最初からアイツ等には勝ち目がなかった。



 シリアスな戦いの幕は下り、相変わらずクソくだらない戦いの幕が上がったのだった。





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是非よろしくお願い致します。

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