強さとランク
説明回が続いています。
今回は軽めです。
「最後になりますが、この世界の種族の『強さ』についてお話させていただきます」
最後に少し興味の惹かれるワードが出てきた。
目の前にいるのは、ここまでの阿呆みたいに長い説明を、一言足りとも噛むことなく、細かな補足も入れながら話を続ける爽やかイケメンこと悪魔リーダー。
いまだ爽やか笑顔とキラキラエフェクトは顕在だ。
女性ならともかく、男の、しかも美形からの話の押し売りなどまったくいらないのだ。
話が長すぎてすでに飽き飽きしているし、やる気も話を聞く気ももはやないのだが、最後という言葉と『強さ』というワードを信じて最後まで話に付き合うことにする。
俺は忍耐の国、日本から来たのだ。
「では聞いてください」
俺の気持ちとは裏腹にキラキラエフェクト三倍増しで語りはじめる悪魔リーダーがいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
強さ。
一言で言ってもはかる事の出来ない物だ。
だがこの世界には強さをわかりやすく表したものがある。
それが『ランク』や『レベル』。
ランク1はレベル10以下。
ランク2はレベル20以下。
弱い人族などは細かい数字や些細な違いに拘るらしくレベルを使うことが多い、逆に強い魔族は些細な違いを気にしないので大雑把にランクを使う。
確かにレベル10のランク1とレベル11のランク2だとレベル的に大差なくてもランクが違う。
拘る奴は拘るのかもしれない。
そして、種族ごとに産まれた時からランクの上限があるそうだ。
人族や動物でいうと、
ランク1(レベル10以下)
村人や商人、非戦闘職の者。小型肉食獣や中型動物。
ランク2(レベル20以下)
警備兵や冒険者、肉体労働者。中型肉食獣や大型動物
ランク3(レベル30以下)
王族、騎士、戦士、魔法使い、戦闘職の者。大型肉食獣。
といった感じで辿り着けるランクはある程度決まっているらしい。
この世界にはいくら頑張ろうと超えられない壁がそんざいするのだ。
レベル10を超えてランク2になる村人はまずいないし、いても極少数だ。
つまりランク4に到達出来る人族はほぼいない、ということだ。
人族以外の種族だと人族のランクにプラス1。
エルフ族の村人ならランク2、エルフ族の戦士ならランク4、って具合だ。
非常にわかりやすい。
魔物についてはランク1の極弱からいらいろいるらしい、が数や種類が多すぎていちいち分類してないのでよくはわからないそうだ。
なんにせよ魔物なんて全く相手にならないので把握する必要がないとのことだ。
そしてこの型にハマらない唯一無二の存在。
『勇者』
特別な存在らしく、勇者には限界値の設定がないらしい。
限界を超えて成長するそうだ。
確かに勇者らしい設定だ。
そして、驚くべきことに、あのガクブル残念勇者が人類最強のランク5。
しかも絶賛成長中、らしい。
まじで信じられん。
あ然とする、とか、目が点になるってこういうことなんだね。
にわかには信じがたい話なんですけど、あれで人族最強。
あんなんが人族最強?
いいのか人族!
立ち上がれよ人族!
っん?
待てよ、まぁ勇者っていうんだから最強でもおかしくはないのか?
勇者なのだから最強なんだろう。
最強の人族の勇者、しかも伝説の聖剣付き。
ってことは、だ。
い、嫌な予感がする。
嫌な予感しかしない。
気づいてはいけないことに気づいてしまった、かもしれない。
見てはいけないものを見てしまった、的な。
人族で最強の勇者は伝説の聖剣を使い魔王に攻撃しました。
ダメージはゼロ。
伝説の聖剣は砕け散った。
実際に俺に傷一つつけることは出来なかった。
多少ランクに差があったとしても多少のダメージぐらい喰らう可能性はあるはずだ。
オレ、ムキズ、セイケン、オレタ。
薄々は気づいている。
ぶっちゃげあまり聞きたくないことを聞かなくてはいけない。
さっきの話の時もわざと話さなかったんだろうなぁ。
はぁ。覚悟を決めるかぁ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「説明の途中で悪いんだが、なぜ魔族の話をしないんだ?」
覚悟は決めた。
「この世界の話をわかりやすいようにお話しようと思いまして」
キラキラエフェクトを二重に展開した悪魔リーダーが言った。
正解するとエフェクト効果が強くなる。
「確かにわかりやすかったが、魔族の話をしないのは?」
「少しばかり状況が変わりましたので」
「えらく遠回しな言い草だな」
テンポよくいきたいのだが遠回しにしか伝えてこない悪魔リーダー。
キラキラエフェクトがどんどん展開される。
話したくてウズウズしてるんだろうなぁ。
周りくどいのは嫌いだ。ズバッと聞こう。
「お前、お前のランクいくつだ?」
説明が苦手です。ごめんなさい。
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