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討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
第四章 それ以外の国
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考え事と二人のメイド

ブックマークしてくださった方、本当に有難う御座います。

 魔王城玉座の間、時間は深夜。

 俺は一人で、考え事をしていた。


 セレネが受けたという試練。

 霊獣を倒すという試練、そして達成することで与えられる祝福。

 四神と呼ばれる霊獣は全て倒した。

 方角と場所の違いに関しての疑問は地図や方角の認識の違いとしても。

 またまだいくつかの疑問が残る。

 俺は直接試練の内容を聞いたわけではないし、詳細は知らない。

 試練は本当に終わったのだろうか。

 そもそも試練の内容がこれであっているのか?

 終わっていないのであれば次の試練は?


 それに後回しにしていた聖剣の作成だ。

 俺が作ったオリハルコンの剣はあるが、精霊王をみつけ祝福を得なければいけない。

 精霊王の存在と居場所。


 それに試練の『祝福』に精霊王の『祝福』。

 言い方が同じなのはただの偶然なのだろうか?


 引っかかることが多い。

 俺が気にしすぎているならそれでもいいがどうもスッキリしない。


 そしてセレネ。

 ランクは現在32。

 俺が考えるランクまではもう一息というところだ。

 普通に考えればもはや人ではない。

 なのに剣が持てないってゆうのがおかしい。


 もう少しセレネの詳細な数値、ステータスがわかればいいのだがなぁー。ゲームみたいに表示されないものだろうか。

 ステータスの強いところを伸ばすとか、逆に足りない部分を足すとか。

 いろいろやり方も変わりそうなのだが。

 俺にはステータスはわからない。


 なんでも設定のこの世界なら俺にもステータスとか覗けそうな気がするのだが。

 魔力を飛ばして試してみたのだが出来る気配がなかった。

 魔術や魔力とはまた違った何かが存在するのだろうか?


 それなら『スキル』か。

 おおー! スキル! それならなんだか有り得そうだ。

 種族ではなく、個体特有の能力、みたいな。

 ディアブロにはそれがあり俺にはない。

 だからディアブロには相手のステータスが見れて、俺には見えない。

 セレネの謎の回避力もスキルとかなら説明がつくかもしれない。

 あいつの回避力は以上過ぎる。何かないと説明がつかない。

 少し調べてみるとしようか。


 俺は図書館へと転移した。



「悪い、誰かいるか?」


 図書館ということもあり、俺は出来る限り小声で呼びかけた。


「はい、何か御用でしょうか」


 返事をして現れたのは女性にしては長身の凛としたお姉さん。

 ロングの黒髪を捻って後頭部で一つにまとめ上げて、魔族特有な真っ赤な瞳は少し切れ長の吊り目。

 黒縁の眼鏡をかけている。

 フリルなど飾りのないシンプルなロングスカートのメイド服を着た、細身の出来る司書って感じ。

 胸は、ないな。


「悪いのだが探している本がある。能力やスキルに関しての本なのだが」

「お探しの本でしたら魔術コーナーにございますので、ご案内致します」

「えっ? あるの」

「ここの図書館にはこの世の全ての本が揃っておりますので」


 知らなかった。

 ここ実はなんでも設定のなんでも図書館だったのか。

 はじめからこの人に聞いておくんだった。

 必要な本を探さなくていいのは助かる。

 つーか、こんだけ本があればここの管理も大変だろう。

 なにか褒美をあげないとなぁーー。


「ここの管理は全て君が?」

「はい、ディアブロ様より任せられております」

「そうか、いつも管理をありがとう。お前には『メティス』の名をやろう。これからはメティスと名乗れ」

「あ、有り難く頂戴致します」

「ではメティス、案内を頼む」

「かしこまりました」


 目的の本の場所まで後ろからついて行ったがメティスは声を出さないようにして泣いていた。

 肩が震えている。

 メティスは泣きながら数冊の本を手渡してくれた。

 俺はわざと泣き顔を見ないようにしてメティスを下がらせ渡された本を読む。


 本に集中しようにも微かに聞こえるすすり泣く声。

 こういう時の図書館は気まずい。

 泣く音が駄々漏れである。

 名前をやるタイミングを完全にミスった気がする。

 まぁ、喜んでくれているなら良しとしよう。


 いくつかの本に『スキル』について記載があった。

 稀に備わる特殊な能力。

『スキル』や『ギフト』など呼び名は様々だが産まれ待って備わる能力の事だ。

 ある日突然自分の能力に気づく場合が多いが基本は先天的にしか持たない能力である。

 能力にもランクがあり上位の物ほど性能が高い。

 当然保有者は少なくなる。

 能力の中には相手の能力を見破る物があり、それを保有する者は優遇される。

 人族だと神官職の幹部クラスになれる。


 持っている能力を教えてもらうために王族や貴族は高い寄付金を払って協会へと行き、子供達に洗礼を受けさせる。

 先天的に能力を持っていても使いこなせないで人生を終える場合も多くあり、生まれ持った能力を使いこなせる者は少なくなる。

 そこで洗礼を受け保有するスキルを予め教えてもらう訳か。

 このスキルがあると思っていれば、何も思っていないよりも、目覚める可能性は上がるだろう。

 鍛えるにしても方向性が変わるしな。


 にしても、なんとも曖昧な表現だ。

 教えてもらった能力が間違っている可能性だってある。

 正しく教えて貰ったところで使いこなせい場合もある。

 どうも胡散臭い。


 スキルやギフトがあるのはわかった。

 問題は誰がどのくらいの能力を産まれ持っているかだな。


 なんでも世界の能力でこの程度どうにかしてほしいものだ。

 後からでも覚えさせて貰えないものだろうか。

 まぁなんにせよ、ひとまず調べ物はここまでにしておくか。


「助かったメティス」


 俺はメティスに一声かけに行ってから転移した。



 なんとなく訪れたのはレジャー施設。

 夜明けまではまだ時間がある。

 ペットの様子でもと思って見に来たのだが。


 視界には映らない何かがいた。


「おい、誰だ」


 声をかけると、地面から水の膜のようなものが集まって膨らんでいく。

 それは一塊になるとやがて人型へと変わった。


「お恥ずかしいところをお見せしてしまい、もうしわけございませんでした。いつもはもっと気をつけていたのですが、今日は油断していました。もうしわけございませんでした」


 何をそんなに謝っているのだろうか。

 そもそもこいつが何をしていたのかもわからん。


「で、ここで何をしていたのだ?」

「おそうじです」


 ん? 掃除? あれで?


「わたし本当はスライムなんです。お城のお掃除担当なんです」


 なるほど、スライムか。

 某ゲームでも有名ないろんなものを消化吸収出来るというあのスライムか。

 それでベチャーと床に薄く伸びてゴミをとっていたとゆうことか。


「いつもお前一人でやっているのか?」

「はい、ディアブロ様にお掃除を任せられているのです」

「えっ? 一人でこの城全体?」

「はい、そうですけど、なにかダメなところでもありましたか?やりなおしてきます」

「違う。一人で城全体とは凄いな、という意味だ」


 見た目は十三、四歳ぐらいの子供。

 背は低い。

 水色のウェーブのかかったワンレンボブヘア。

 目が赤いのは魔族特有か。

 おっとりとした垂れ目だ。

 ラミアと似たようなメイド服を着ている。


「日々の清掃ありがとう。よし、お前には『エイア』の名をやろう。これからはエイアを名乗れ」

「えっー、いーんですか? みつかってしまったのに名前もらっても」

「かまわんぞエイア。エイアが気に入ればだがな」

「ありがとうございますぅえーーん」


 だから何故にどいつもこいつも泣く。


「これからも城の掃除を頼んだぞ、エイア」

「かしこまりまし、たぁーーん」


 いちいち泣かんでいい。


「というか見つかってはいけないのか?」

「気づかれずに掃除をするのが、しゅみなんです」

「そうか、趣味なのか」

「食事を見られるのは恥ずかしいですから」

「そ、そうか、引き続き頼むぞ」


 うーん、意味がわかるようなわからんような。


 にしても予定が狂ったな。

 ペットはまた今度でいいか。

 ここから見た感じいつもどおりだしな。


 俺は玉座の間へと転移した。


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