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討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
第一章 始まりの二日間
4/100

誰がイケメンになれといった

軽めの話が続きます。

 勇者を強くする。


 そうは決意したものの強くしようとている相手は余りにも力なく不甲斐ない少女だ。

 そんな少女をどうやって強くしようか考える。


 男だと厳しく訓練だけさせとけばどうにかなりそうだが少女となるとそれだけでいいのか疑問が残る。

 別に男女差別をしているわけではない。

 屈強な軍人や格闘家を育てるとして男と女で同じようにして同じような結果がでるのか、ということだ。


 前世では、メジャーなゲームは一通りクリアしたし、人気の漫画作品も一通りは読んだ。

 アニメも抑えて置くところは一通り見ている。

 映画はアニメを中心に有名な作品はいくつもみている。


 そんなありきたりな知識とはいえ強くする方法はいくつか浮かぶ。

 だがこの世界で実際に出来るかどうかはわからない。


 転生してからあまりにも考えなしに突っ走り過ぎた。


 いや、考えがしっかりあって行動したのだ。

 だが全てをこの不甲斐のない勇者と不甲斐のない聖剣にぶち壊しされてしまったので再スタートをするしかなくなった。


 依然として俺の頭は混乱したままだ。

 ひとまず状況の整理をすることにしよう。


 勇者を強くしようにも周りのことが何一つとしてわからない。

 それでは方法を思いついても実践可能かすらわからない。


 当初は手っ取り早くサクッと殺られて、元の世界に帰ると決めこんでいたので、この世界に対して何の興味もなかっし、知る必要もなかった。

 実際に今でもぶっちゃげこの世界のことなどどうでもいい。

 それはかわらない。


 まさかあれほど勇者と呼ばれる者が弱いとは思いもしなかった。

 だって勇者だよ。

 普通は強いと思うじゃん。

 本当に予想出来なかった結果だ。


 なんにせよ俺の読みの甘さが原因だろう。

 転生を選ぶ時に俺は勇者に転生した場合、自らを鍛えあげる育成の面倒臭さは頭をよぎった。

 ゲームでいう最初の町的なあれからラスボスを倒すまで。

 であれば魔王にになったときに勇者が最初の町的な場所の勇者ぐらい弱いという可能性を考えなくてはいけなかったんだ。


 そう、そこに気づけないといけなかった。

 混乱していたせいなのか考えが足りなかった。

 後から思いついても後の祭り。

 そう、これは済んだことだ。

 悔やんでも仕方がない。


 玉座に深く腰を掛け今後について考えをまとめる。


 そうだ、悔やんでも後悔しても仕方がないのだ。

 ひとまず知らないことを知ることが一番手っ取り早いだろう。


「おい、いるんだろ?」


 広間で依然として土下座モードを解除しない勇者の後ろのだだっ広い空間に向かい、大きい声を出してみる。


「はっ!」


 俺の声に反応して勇者の後ろの空間に悪魔の軍団を引き連れ悪魔リーダーが姿を現れた。


 うん、出てきてくれてよかった。


 ある程度の確信を持って言った当てずっぽうの言葉ではあった。

 だが格好良く言ってはみたものの、これで何の反応もなかったら恥ずかしすぎだ。


 応えてくれてありがとう。

 出てきてくれてありがとう、悪魔リーダー。

 俺の好感度メーターはぐんぐん上がったぞ。


 ちなみに俺の中で、先頭にいるデカイ悪魔の呼び名は悪魔リーダーに決定している。


「ひとまず勇者をどこか、ゆっくり休める部屋へ連れていけ」


 大事な話をするときに邪魔者は排除だ。


「はっ、勇者を部屋へお連れしろ!」


 俺が命令をするとすぐさま悪魔リーダーが命令を復唱する。

 悪魔リーダーより一回り小さな部下っぽい悪魔達が、いまだに土下座モードだった勇者を取り囲み連れて行った。

 聖剣は誰にも触れないのでそのまま放置だ。

 強くすると言っておきながらあの勇者と、聖剣、は触れないから無理だが、何もかも一旦放置だ。

 ご退場願おう。


 勇者が部屋からいなくなったところで悪魔の軍団を率いていたリーダーこと悪魔リーダーに声をかける。


「いくつか質問をしたいのだが、その前にオマエのその姿は自在に変えられるのか?」


「いかようにも」


 おお、やっぱり出来るんだな、さすが悪魔リーダー。俺の好感度メーターは好感度は鰻登りだ。


「では人型になってみてくれ」


「御意」


 そう言うと悪魔リーダーの身体が黒い光に包まれ一回り小さくなる。数瞬後にはスラリとした銀髪の青年の姿がそこにあった。


「これでよろしいでしょうか?」


「おぉーー!」


 思わず声が出た。

 身長三メートルを超える巨大黒ゴリゴリマッチョな身体をした牛のバケモノみたいな悪魔リーダーは、ニ十代後半、身長ニメートル弱、スリム体型、サラサラ銀髪ロン毛に綺麗な赤の瞳、色白美肌をした超イケメンになった。

 高身長、美顔、美白美肌、痩せマッチョ、さらさら銀髪ロン毛だ。


 それと同時に、俺の中で爆上がりだった好感度メーターの上昇は完全に止まった。

 っというか、一気に低下した。

 ゼロだ。

 完全にゼロだ。


 クソが!

 見た目の格好良さに対する嫉妬と殺意を覚える。

 誰がイケメンになれといった!

 俺は人型になれと言ったたけだ!


 五十代ぐらいの渋くて出来る執事とかになるかと思ってたよ。確かに俺の決めつけではある。

 軍団率いてるリーダーとかなら若くてもせめて三十代だろ。


 何故に若作りをしている!


 そして誰がイケメンになれといった!


 先程のゴリ黒悪魔に比べれば精神的なストレスはかなり軽くなった点では良しとする。

 が、繰り返す。

 なぜイケメンになった。

 イケメンになる必要はなかったんだぞ。

 イケメンは俺の敵だ。

 いや、俺だけではない。

 世界中の男の敵だ。

 最も憎まれる男の敵だ。

 違った意味で俺のストレスが増えたぞ!

 散々心の中で文句を言った。

 でも良しとしてあげるのだ。

 俺は寛大だ。


「今後はできるかぎり人型でいるようにしてくれ。他の者にも今後は出来るかぎり人型で凄すように伝えておいてくれ」

「御意」


 おっしゃ、これでいちいち見た目の怖い悪魔さん達にビビらずにすむ。

 毎回毎回会うヤツ会うヤツがあんな悪魔だったら嫌だよ。

 夜中にいきなりあんな悪魔が目の前に現れたらチビッちゃうよ。マジで、真剣に!

 その変わりイケメンにはイラつくことになりそうだが。

 まぁ怖いよりは良い。


「さて、先程も言ったとおりいくつか聞きたいことがある」

「なんなりと」

「まずは俺は誰だ?」

「我らが主、魔王様にございます」


 ふむ、俺が転生して魔王というポジションにいることは間違いなさそうだな。


「ここは何処だ?」

「我らが主の居城、魔王城にございます」


 あっ、本当にここって魔王城だったんだ。

 館とかの可能性もあった訳だからな。

 城で良かった。

 城って響きは好きだ。

 ってなると俺の家って扱いなの?

 この城が?

 そして俺が座っているのは玉座で決定、と。


「では、お前は誰だ?」

「魔王様の忠実なる下僕、そして更にその下に仕える下僕たちを束ねる者にございます」


 ふむ、俺が魔王でこいつ等は配下。


 で、目の前にいるのは数ある配下の中のリーダーってことだな。


「お前はこの世界について詳しいのか?」

「残念ながら長く時を生きてはおりますがこの世界の全ては知り尽くしておりません」


 全てを知ることは不可能だろ。

 でも長いこと生きてはいるのだな。


「ここにいる魔族の中で一番知識がある者は誰だ?」

「私でございます」


 お前なんかい!

 このイケメン、ノータイムで自分と言い張った。

 凄い自信だな。


 そして長生きしそうな魔族の中でも一番長生きというなら、まぁそれなりに詳しいのは間違いはないだろう。

 最新の情報は別かもしれないが。


 というが魔族で一番長生きといいながら人型ではニ十代後半とは。

 やはり五十代の執事でよかったのではないのだろうか?


 でもここにいる中で一番知識があるというのならこいつに聞くしかないか。


 スッと佇むイケメン悪魔リーダーを見つめながら、ひと呼吸あけて言った。



「俺に、この世界のことを教えてくれ」



イケメンは世の男性の敵である。



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