表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
第二章 孤独な一週間
31/100

試練と褒美

再び勇者視点です。

 ディアブロに呼ばれた。


「大切なお話がございます」


 玉座の間へと戻った俺とディアブロはモニターを見た。


 写し出されたモニターには勇者が白い虎と戦っていた。

 うん、なかなか強そうな虎である。

 俺の見立てでは両者の実力は同じぐらいか。

 しかし立回りの上手さから恐らくは勇者の圧勝であろう。

 それに勇者が手に構えているのは俺が渡したカーボンソードだ。

 白い虎は聖属性のオーラを纏っている。

 光の魔石を付けて聖属性を纏わせたミスリルの剣ではダメージが通りにくい。

 そこまで考えてあえて属性のないカーボンソードを選んだのだろう。

 的確な状況判断だ。

 特性にあわせて上手く武器を使い分けれるようだ。


 戦いは俺の読みどおりワンサイドゲームになった。

 虎からの攻撃を躱しては順調にダメージを重ねる勇者。

 順調にダメージを与えていく。

 最後っ屁に虎が口からレーザーを放っていたが事前に回避し、冷静にとどめを刺している。

 タメ時間ゼロで放たれた高出力のレーザーを躱すとは、なかなか良い感じに仕上がっている。


「で大切な話とは?」

「恐らく勇者が辿り着いたダンジョンは霊獣の試練にございます」

「霊獣って四霊獣とかいうあの霊獣か?」

「左様でございます」

「ってことは今倒したのは白虎? ん白虎? まぁいいか。で試練というのは?」

「霊獣を倒すことで祝福を得ます」

「それは強くなる、ということとは違うのか?」

「確実に強くなります。ただし霊獣の加護は受け手にとって、かなりの精神的負担となります。耐えられなければ元の人格は勿論、最悪の場合は廃人になります」

「あいつの人格は既に破綻している。今更どうこうなる訳でもあるまい。それにあいつが強くなるに越したことはない」

「アルス様がそう仰るのでしたら」

「ひとまず様子を見る」

「仰せのままに」


 虎を討伐した勇者は広間の奥へと行き、虎を倒したことで現れた転移の魔法陣に乗って、別の空間へと移動した。


 勇者が転移した場所は、半球上の白い天井に覆われた場所だ。

 空が塞がれているのに昼間の様に明るい。

 アスファルトのように凹凸のない綺麗な道が真っ直ぐ続く。

 道の先には寺院?のような建物。

 勇者は躊躇うことなく寺院へと向かい中へと入っていった。


 寺院の中には白く光る球体状の魔法陣があった。

 立体魔法陣とかあったな? それか?

 勇者が魔法陣に触れると光が溢れて消えた。

 立体魔法陣も消えている。

 ディアブロが言っていた事はハズレのようだ。

 見た目に勇者に変わりはないようだ。

 何が起こったか訳がわからずキョロキョロしているようにしか見えない。

 とりあえず勇者を迎えに行った。


「帰るぞ」


「はいっ!」


 すっごい笑顔で元気な返事を返された。

 そして俺は思った。

 こいつは勇者ではない。


「お前誰だ? 勇者じゃないだろ?」


「えっ? 私ですよ。私! 魔王の恋人セレネちゃんじゃないですか?忘れたんですかー?」


「セレネとは誰だ。俺に恋人などおらん。やはり貴様は偽物だな」


「貴様ゆーなぁー、セレネ言ってるでしょーがぁー」


「知らん! 貴様、勇者に成りすましているな」


「貴様ゆーなって言ってんでしょぉーがぁ! セレネですよ。セレネ。貴方の愛しのセレネです!」


「そんな名前のヤツは知らん。それと俺はお前を愛してなどいない。」


「何言ってんですかぁー! 愛されてるでしょぉーがぁー! 旅立つ前には『ダイヤくん』貸してくれて、危なくなったら『ピカッとくん』届けてくれたでしょぉーがぁー! これが愛じゃなくて何が愛だと言うんですかぁー?」


「知らん!」


 勇者(アホ)だ。いま確信した。

 相も変わらず勇者(アホ)だった。


「クソ面倒くさい。帰るぞ!」


「クソゆーなー、このクソがぁー!」


 完全に勇者(ダメ)だ。

 呆れるほど勇者(ダメ)なやつだった。

 首根っこを掴んで城へと戻った。


「おかえりなさいませ、我が主」


 さっきまで名前呼びをやめなかったのに別のヤツが来た瞬間に臨機応変に対応するとは、さすが出来る悪魔ディアブロ。


「ゴミを拾ってきた」


「どこがゴミですか! 泥とかいろんな汁に塗れてますけど、ゴミではありません! 断固抗議します!」


「臭いから風呂へほたって来い」


「御意」


 ディアブロはさっと勇者を拘束すると転移した。


 はぁーー。


 なんでこんなに疲れるのだろう。

 あいつの俺に対する精神的攻撃はどうなっているのだ。

 アホさがカンストしてるだろ。


「ほたって参りました」


 グッ!

 俺は親指を立てて称賛した。


「で、あいつはどれほど強くなった?」

「森へ行ってから一週間、祝福前のランクは8となっております」

「ランク8か、まずまずだな。祝福後は?」

「まだわかりかねます。多少時間がかかりますゆえに」

「なるほど、もう少し強くなっているか、順調だな。」


 というか。


「俺って四日も籠もってたの?」

「はい」


 魔族になってから時間の感覚がおかし過ぎる。

 精々二日ぐらいかと思ってた。

 というかさっきの勇者とのやり取りの方が余程疲れた。


「俺も疲れたから今日は風呂に行ってくる」

「かしこまりました」


 さぁーてと、初めての風呂でも堪能してきますか!


【読んでくださった皆様へ】


↓にある☆をクリックすることで評価ポイントを入れることが出来るそうです。


この作品を読んで少しでも面白いと思ってくれた方、ちょっとでも続きが気になると思ってくれた方、出来ましたら評価ポイントを是非よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ