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討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
第二章 孤独な一週間
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ころりん勇者すっとんとん

待望の勇者さん登場!

真面目に書けば書くほどふざけた感じになっていくのは勇者さんの力でしょうか。

 あいつは何をしているんだ?


 俺はディアブロと玉座の間へ戻りモニターを見ていた。

 写し出されてるのは勇者。

 勇者は走っていた。


 泥まみれ汁まみれになっている勇者は、何故か「ウワァー」とか「ギャアー」とか叫びながらどこだかよくわからない薄暗い建物の中を走っていたのだ。


「俺はかけっこをさせに行かせたのか?」

「単純に逃げているだけかと」

「逃げていて強くなれるのか?」

「足は早くなるかと」


 デジャヴュか?

 前もしたなぁこの掛け合い。


 って、なんであいつはまた逃げているんだ?

 ちゃんと剣を渡したよね!

 映像にもちゃんと手にも持っているカーボンソードが写っている。

 武器あるんだから戦えよ!

 とゆうか俺は山脈の麓に行かせたのではなかったのか?

 いったい何処を走っているのだ?


「ダンジョンへ迷い込んだようです」


 え?ダンジョンって言った?

 ダンジョンってないんじゃなかったの?


「すまんが理解が追いつかない。状況を説明してくれ」



 ディアブロ曰く、山脈の麓に捨てられた勇者はしばらく行く宛もなく彷徨い歩いたそうだ。

 しばらくすると勇者は熊の群れと遭遇。

 勇者は持っていた剣を構えるとすぐさま戦闘へと突入し敵を斬り倒していった。

 かなりの数を順調に倒し続けていたそうだが、長引く戦いの疲れからか一瞬の隙間をつかれて吹き飛ばされた。

 吹き飛ばされた場所は運悪く急な下り坂。

 勇者は斜面を転がりに転がり転がりまくった挙げ句、穴に落っこちたそうだ。

 その落ちた穴の先にはダンジョンが広がっていたと。


「あいつは『おむすび』か!」

「おむすびと言いますと?」

「いや、なんでもない」


 聞いた話から、とある昔話を連想してしまい思わず口から出てしまった。

 勇者なら熊如きに吹き飛ばされるなよ。

 吹き飛ばされた先が下り坂って。ベタに転がらなくてもいいだろ。

 なんで転がった先にうまいこと穴がある。そしてなぜにそこへ落ちる。

 しかも落ちた先が今では発見されることがないと言われているダンジョンって。

 突っ込みどころが余りに多過ぎる。

 あいつはおむすびとしか思えん。

 ころりん勇者だ。

 ころりん勇者すっとんとんだ。


 いかん、話が進まんのでひとまず内容を飲み込もう。


「でダンジョンに入ったのはわかった。なんであいつは逃げているのだ? 武器はあるだろ?」

「ダンジョンのモンスターはアンデットが多くおります。奴等は聖属性の攻撃以外倒せません」

「勇者なら聖属性だろ?」

「聖剣は文字通り聖属性の武器ですが、ダイヤソードには属性がありません」

「だから倒せないと」

「はい」

「勇者は聖属性の魔術が使えるんじゃないのか?」

「この二日程で使い果たしたようですね」

「二日?」

「はい、私が山脈の麓へ届けたのが一昨日の朝でしたので」


 ちょい待て、朝あいつを捨てに行かせて、城の案内をさせた。その後宝物庫に行って、図書館で調べものをした。


「おかしくないか? 精々一日だろ?」

「いえ、アルス様が図書館に籠もられて四十時間程が経過しております。後二時間ほどで勇者を連れて行ってから丸二日になります」


「えっ俺ってそんなに図書館にいたの?」

「はい」


 うわぁー、集中し過ぎてて時間がよくわからんくなってた。


「というか腹も減ってないし眠くもないのはなんなのだ?」

「基本魔族は食事も睡眠も必要ではありません」

「そうなの?」

「下等な者ですと欲に溺れる者もいますが基本的に魔族には食事も睡眠も必要ありません」

「なるほど」


 知らんかった。エコな身体だな。

 食べたきゃ食べても問題ないし、食べなくても問題はないということか。

 睡眠も同様と。

 そりゃ時間感覚なくなるよ。

 腹時計っていうぐらいだしな。

 眠くもならないなら朝か夜かもわからなくなる。


 話が脱線した。


「で勇者はその間に魔術を使い果たしたと」

「左様です」

「魔力の回復方法は?」

「魔力は絶えず回復致します。人族ですと回復がかなり遅いのでゆっくり一晩休めればかなり回復致します」

「ゆっくりと休めないから回復が遅いと」


 魔力がなくなったから逃げている。

 逃げているから魔力の回復が遅い。

 逃げながらだと回復したとしても僅かな量。

 再び魔術を使えば当然すぐに魔力は尽きる。


「なにか強制的に魔力を回復させる薬などないのか?」

「魔力回復用のポーションがございます。ですが貴重な品のため勇者は持ち合わせていないようです」

「どうせ城にはあるのだろ?さり気なく渡しておけ」

「かしこまりました」


 助けてやるのは簡単だがここでリタイアさせても仕方ない。

 ころりん勇者はもう少し追い詰めてみるとしよう。


 それにしても聖属性か。

 聖属性とは相性が悪いのか少し自信がないんだよなぁ。


「いまから宝物庫へ行って武器を作ってくる。俺が戻るまで勇者のことは任せたぞ」

「御意」


 四十時間勉強しといて良かった。


 思いついたアレを試すとしよう。



マッドサイエンティスト始動です!


【読んでくださった皆様へ】


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