魔王城探索ツアー1
今更ながらに説明回が続きます。
短めです。
お付き合いいただけるとありがたく思います。
魔王城。
それはディルナル大陸中央にある直径七百キロメートルはある円形の湖、その中心にある縦横ニキロメートル以上はあるドデカイ城。
その城こそ魔王城、改めてアルス城。
命名はもちろんディアブロだ。
アルス城は浮いていた。
湖の周囲には全長一キロメートルほどの高さの大きな塔が四つ建っており湖全体を強力な結界で半円状に覆っている。
シャボン玉の中に湖と城がある感じだ。
「なんとなく思った攻略法だと、塔を落とし結界を解く、で浮かんでる城へ突入か。あの浮かんでいる城にはどうやって入るんだ?」
「四つ全ての塔を同時に落とせば結界が解け城の扉が開きます」
「一つずつではダメなのか?」
「同時でない場合ですと塔は一定時間で再生いたします。ちなみに四つ同時に破壊されて結界が解けた段階で城は上空へ退避するようになっています」
「はい、無理!」
うん、難易度設定がおかしい。
同時って、無理やろ。
最低四人いるやん。
もしくは四箇所同時爆破か。
タイマー付きの爆弾使えばいけなくはないか?
いっそのこと辺り一面魔術で吹き飛ばすとか?
万が一、上手くいって破壊に成功したとしても城は上空へ逃げると。
なんにせよ普通のヤツなら城に入れないってことは理解した。
「安心してください。万が一、塔を同時に破壊されそうになった場合は塔の一つをあえて爆破いたしますので、我らがいる限り同時に破壊などさせません」
「なんなのそのハードモードは!」
クリアさせる気なんて全くないらしい。
とりあえず外部からの侵入は不可能。
いま俺達は城を出て湖の上に浮かんでいる。
目の前には真っ白で綺麗な城がある。
シンプルでいて壮大さを兼ね備えている城だ。
見事な作りである。
城の下には城と同じサイズの逆三角形の大地がついている。
まるで木の根っこみたいだ。
こんなでかい城が浮かんでいるのだ。
まさにファンタジー。
なんでこんな状況になっているかと言うと結果的に俺が悪い。
『城を見たい』とディアブロに言った。
確かに言った。
言ったのは俺だ。
言った俺の責任だ。
連れ出されたのは何故か外だった。
そう、案内されたのはまさかの外観だったのだ。
『では行きましょうか』とテンション高めのディアブロに案内され、玉座の間を出てバルコニーから外に出た時には頭にハテナがいくつも浮かんだ。
そして今現在、俺は浮いている城の外観を見ている。
うん、言葉ってむつかしい。
城の中の案内をお願いしたつもりだった。
だがこうなったら仕方がない。
順番が入れ替わっただけと捉えよう。
外観も知らないよりは知っていたほうがいい。
モデルルームでも物件案内でもそうだ。
まずは外観の説明をしっかりしてからその後に内見。
ご近所さんや周りの環境も大事だ。
案外外観は見落としがちになる部分だ。
引っ越しになれていない人は後回しにしたり確認を忘れたりすることもある大事なポイントだ。
住んでからでは遅い。
その点、この物件は大丈夫だ。
四つの塔によるオートセキュリティ完備。
周りに騒音を出しそうな住宅はなし。
いきなりクレームをつけてくるようなご近所トラブルもない。
それ以外の騒音問題もないだろう。
浮いているんだから地震の問題もない。
同居している悪魔がウザイぐらいは我慢の範疇と思おう。
浮かんでいる城を中心に下に広がる綺麗な湖、周りにある四つの塔、頑丈な結界、遠くに連なる何故かライトアップされた綺麗な山脈、城の周りの景色もみれたしオッケーだ。
「ディアブロ、次は城の中の案内を頼む」
「かしこまりました」
ようやく内見だ。
本当はここからでよかった。
「こちらが入口になります」
でっかい門があった。
「この門はどうやって開けるんだ?」
「こちらの門は先程説明致しました四つの塔を破壊すれば開きます」
なるほど、その不可能設定をクリアすると開くのね。
「それ以外は?」
「鍵はかかっていませんので普通に押せば開きます」
「開くんかいッ!」
「四つの塔は結界を維持するのが役目ですので」
あー普通は結界の中には入れないからか。
「ではなんで四つの塔の破壊が必要と言った」
「私のお茶目心でごさいます」
「あんまりふざけてると滅ぼすぞ」
「ははは、申し訳ございません」
えらく愉しそうなディアブロ、反省の色はなし。
なんにせよ、やっと魔王城内見開始だ。
魔王城外見ツアー終了。
次回、内見です。
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