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討伐されたい転生魔王〜弱すぎ勇者を強くする  作者: ただのこびと
プロローグ
1/100

よくある転生

連載開始です。

頑張って更新していきます。

誤字、脱字、文法などいろいろ問題はあると思いますが、よろしければお付き合いください。

全面的に改稿いたします。

 世界には多種多様な神がいる。


 日本は特に多いと思う。


 だが大概の人は信仰心など欠片もない。

 俺もそうだ。


 困ったときに頼むぐらいの存在。

 それが神だ。


 もちろん見たことなんてない。


 真っ白な空間。


 そこで俺は神の声を聴いた。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 俺は独身、彼女なしの27歳サラリーマン。

 仕事より趣味の時間を優先している世間で言うところのダメなサラリーマンの典型だ。


 こんなオレではあるが、業界でそれなりに大手と言われる企業に就職に付けたことは運が良かったといえる。

 毎日同じ時間に出勤をし与えられた作業を淡々と繰り返せばそれなりに良い給料が貰えるんだから人生マジでチョロいと思う。


 今日も与えられた作業を全て終え、自分の持ち場のデスクの片付けも完璧に終えた。


 後は就業の時間を待つだけだ。


 キーンコーンカーンコーン。


「お疲れ様でしたー!」


 俺は高らかに声を響かせ退社する。

 いつものように就業時間と同時に退社だ。

 そしていつものように誰からも返事は返ってこない。

 これから深夜まで残業で頑張るのであろう上司や同僚からは冷たい目で睨まれているがもう慣れたし気にもしてない。


 俺にとっての仕事は生きていくためでも、出世のためでもなく、趣味に投資する資金を稼ぐためだけに存在している。

 そんな俺にとって残業している奴等のほうが理解出来ない。

 そこまで会社に貢献してなんの得があるというのか。

 多少給料は上がるかもしれないし出世もするかもしれないが、それ以上に責任を押し付けられ、無理な仕事を与えられ、挙げ句の果には終わらない残業に追われ続けて時間を無駄に奪われていくだけだろう。


 仕事なんて与えられた時間にできる限りのことをすればいいだ。

 時間内に終わらない仕事を押し付けられるぐらいなら出世なんてしたくもない。

 残業なんかして大事な趣味の時間が減るなんてまっぴら御免だ。


 頭の中で愚痴りながらいつものように最短距離で足早に会社があるビルの外に出る。


 ビルを出ると直ぐにスマホを取り出しゲームを起動。

 歩きスマホで対人ゲームに没頭しながら家路へと向かう。


 こんな性格だが運動神経は悪くない。

 むしろ良いほうだ。


 学生時代も運動以外でも大体のことは人並み以上にはこなせた。

 高校時代は勉強の成績も学年で常に上位だったし、所属していたバスケットボール部も毎年全国大会出場を争うぐらいには強かった。

 もちろん一年の時からレギュラーだった。

 大学も受験に苦しむことなく、それなりのところに一発で合格した。

 大学生活は趣味のためにバイト中心の生活ではあったが、要領よく単位を取ってきっちり四年で卒業した。

 それが理由とは言わないが、歩きスマホでゲームしながらといっても他の人にぶつかったことなど一度もない。

 それどころか危険な目にあったことすら今まで一度として経験がないのだ。

 歩きスマホがマナー違反であるという認識はあるが、危なくもないし人に迷惑をかけているわけでもない。

 誰に言っているのか、そんな言い訳を頭の片隅で考えていた。



 交差点で信号待ちしている間にもゲームを進める。

 結構強い相手ではあったが、いい感じで相手を追い詰めることが出来ている。


 おっ、あと一息、勝てるかも。


 ピッピ、ピッ、ピッピ、ピッ

 信号の変わる音がした。


 スマホに集中しつつもその音で信号が青になったのを確認、一瞬スマホから目を離し目でも信号がちゃんと青になったのを確認、更に左右を確認してから再びスマホに目を向けて横断歩道を渡っていく。

 スマホに目を落として集中していたはずなのに、何故か不思議と視界の端に、対向、向正面からヘッドホンを着けスマホを弄りながらこちらへ歩いて来る一人の女子高生の姿が目に止まった。


 何故かその女子高生に目を奪われた。


 正直俺も男だ。

 日頃から綺麗な人を目で追ったりすれ違った女性を可愛いなと思ったりすることはある。

 だがそういったことではない。


 目が釘付けになった。


 そのままその女子高生と交差点の中央ですれ違う。

 と、すれ違った女子高生の奥からトラックが突っ込んできているのが見えた。

 どう考えても交差点で止まれるようなスピードではない。

 というかトラックが停まる気配は一切ない。


 スマホに目を落としベッドホンを着けている女子高生はスマホに夢中なままだ。

 凄い勢いで突っ込んでくるトラックが目前まで迫っていた。

 携帯には負けの二文字が浮かんでいた。

 小さくガッツポーズをしている女子高生はトラックには気付く様子はない。


 これはあれだ、完全にフラグだ。


 一瞬脳裏をそんなことがよぎった。

 だが俺は完全に引っかかっていた。

 自分でも気づかないうちに咄嗟に振り返り女子高生の方に身体を向けた。

 オレは特別正義感があるわけではない。

 どちらかといえば平和主義でどっちつかずな性格だと思う。

 だが助けたいと思った。


 間に合え!


 何故かはわからないが無意識に手を伸ばしていた。


 間に合え!


 不思議と恐怖心はなかった。


 間に合え!


 只々、助けたい一心だった。


 間に合え!


 間に合え!




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ん?


 気づくと真っ白い空間にいた。

 上下左右すらも何もない真っ白な空間。

 俺の手足も身体も見当たらない。

 意識だけが何もない真っ白な空間に浮かんでいるようなそんな空間。

 そんな真っ白な空間を見渡しながら、ここが死後の世界ってところなんかなぁと自然と思った。


 すると、どこからともなく声が響いた。


「あなたには二つの道があります」


 何もない白い空間に声だけが響いた。


「二つって何? というか誰だ? 神様?」


 何もない空間から声だけがする。

 あるいは直接頭に響いているのだろうか?


「そのような認識で宜しいです。あなたは死亡し魂の存在となりました。これから新たな道へと進むあなたには二つの選択肢があります」


 なんとなく死んでるんだと思っていたけど、どうやら本当に死んでしまったようだ。

 直前までの記憶があるせいか死んだ事に対して差程のショックでもなかった。

 あの勢いでトラックに轢かれたら誰でも死ぬ。

 確実に死ぬ。


「その道とやらは二つしかないのか?」

「二つです」


 姿の見えない神様らしき声だけが響く。


「その二つっていうのは?」

「あなたは別の世界に転生してもらいます」

「はっ? てんせい? って転生? あの生まれ変わる転生?」

「どの転生かは知りませんが転生です」

「ってことは転生する先が二つあるってこと?」


「その通りです。あなたの転生する先は、一つ、勇者に転生し魔王を討伐する。一つ、魔王に転生し勇者に討伐される。この二つの道になります」


「そこで新たに暮らしていくっこと?」

「そうです。そこで目標を達成することが出来れば、死ぬ直前の元の世界に帰ることもできますし、別の命として生まれ変わることもできます」

「ちなみに転生する先の二択への拒否権は?」

「ありません、選ばなければこちらで決めます」

「わかった、少し考えさせてくれ」

「わかりました」


 うーん、別に元の世界に愛着があるわけでもないけどゲームの続きが気になし、買ったばかりの漫画も読んでないしなぁ。

 なによりも生まれ変われるといっても、生まれ変わった先の保証がない。

 新しい世界の情報なんて何もないし、俺が生きていく場所が裕福かも食べ物があるかもわからない、ハズレを引いたら洒落にならん、リスクしかない。


「ちなみに転生先の情報なんてのは予め教えて貰えたりはしないのか?」

「規定事項に触れている為お教えできません」

「せめて勇者の能力ぐらいは教えてくれたりは?」

「お教えできません。」


 はい、なんもわからん。

 わからんがわからんなりにでも無理やり行き方を決められるぐらいなら自分で決めたほうが良いに決まっている。


 問題はあの二択、どちらを選ぶかだ。


 勇者になって身体を鍛えて強くなる、そして魔王の討伐へと向かう。

 そうなると途中、モンスターを倒し、お金を稼ぎ、仲間を集め、武器や道具を揃える必要がある。

 どうかしたら同じところで地道にレベル上げやら修行やらしないといけないかもしれない。

 アホか、達成するまで何年がかりになるんだよ、下手したら何十年もかかる可能性も有る。

 なんだよその膨大な時間は。


 なるべく早く元の世界に帰りたい。


 それなら、魔王になって速攻殺られるのが一番手っ取り早いはずだ。

 うん、手っ取り早く元の世界に戻れるのが一番だ。

 生まれる場所の情報もなくリスクしかないならとっとと殺されて目標を達成して元の世界に帰ろう。

 どうせ一回死んでるんだ、もう一回ぐらい死んでもどうにでもなるだろ。

 よし、決まった。


「よし、魔王にしてくれ」


 すると何もない白い空間が光りだした。


「わかりました。あなたは今から魔王となります。持てる力の全てを尽くして勇者の妨害をし、討伐、および世界の破壊を食い止めてください」

「は? 討伐されればいいんだろ?」

「失敗すればそこで世界は終了です」

「終了?」

「では頑張ってください」

「ちょ、待っ……」


 真っ白な空間の光はどんどんと強まっていき眩い光に包まれた。


 目の前が真っ暗になった。



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