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白くなったカラス

作者: 夢時

ある町に、山本 拓也という3歳の男の子が居ました。 家族からはたーくん。と呼ばれて、とても可愛いがられていました。

ママは専業主婦で優しい人です、10時になると必ず(おやつよ)と、優しい声でケーキや、ドーナツやおせんべいなんかを

運んで来てくれます。

(今日は何かなぁ)とプラレールを走らす手を休めて待っていると、赤いイチゴが三角のカステラみたいなのに乗った、白いお化粧をいっばい塗った、そう、ショートケーキがやって来た。

(わーい、やったー)両手でガッツポーズをした。

(一人で食べられる?私はお掃除の途中なのだけれど)

ママはそう言って、たーくんを見た

たーくんは(大丈夫だよ!ママ頑張ってね)

ママに向かって手を振った。

ママが他のお部屋に行った後、たーくんはどのへんから食べようかと、ホークを右手に持ったまま眺めていると、

少し開いた窓から、カア、カアと鳴きながらカラスが入り込んで来た。

たーくんは慌てて両手でケーキを隠した。

カラスは、更にカア、カア、カア。鳴いている。

其処へママがやって来た。

(嘘だ、そんなの嘘だから)

たーくんはカラスに向かってしゃべっていた。

(あら、嫌だ 向こうにお行き‼️ しっ しっ‼️)

ママが追い払うように、右手を何度も振ると、カラスは逃げて行った。

(まったく、悪い奴だわ、早く食べてしまいなさいな。)

ママはそう言うなり窓を閉めて又部屋から出て行った。

たーくんはうらめしそうにケーキを眺めていたけれど、

口に入れようとはしなかった。

其処へどこから入って来たのか、又カラスがやって来て、

カア、カア、カア。と鳴いたのです

たーくんは(そんなのでたらめだ、嘘に決まってる、あっちへ行ってよ)

たーくんの声を聞いてママがとんでやって来て、又カラスを追い払ってくれました。

(どうしたの、たーくん、食べないの、後で食べる)

(食べるよ、しまわないで)

ママは、そんなたーくんの様子がおかしいのに気づいていたけれど、しばらく様子を見る事にしました。

お昼ご飯を過ぎても、ケーキはお皿の上です。それでも

たーくんは(置いておいて)を繰り返します

(そう。じゃ3時までに食べようね)

優しいママは、きっと訳があるのだと、もう少し待ってみようと思っていました。

ママが洗濯物を取り込みに行った時です。

又、又カラスがやって来ました。そしてカア、カア鳴くのです。

(本当にかな、嘘じゃないのかな、でもママは美味しいと言ってたしなぁ)たーくんは1人言のように呟きました。

その時です。その時なんです❗️ツンツン、ツン。カラスの口ばしが綺麗なケーキをあっという間につつきました。

白くて美味しい生クリームがテーブルの上をあにらこちらと

飛んでいきます。イチゴはすでにカラスのくちばしが加えて

います。

(な、何しているの、僕のケーキ!)思わず大きな声を出した

たーくんの声を聞き付け、ママは飛んで来て、カラスを思い切り叩きました。そして、新聞を丸めたやつで何回も叩きつけました。

たーくんは(ママ、止めて。僕も悪いの。カラスが、そのケーキは甘そうに見えるけれど、本当は苦いのだ。と3回もいうから、もしかしたら、風邪のお薬か何かが入って要るのかも。と思ってしまったの。ママが美味しいと言っていたのに!ごめんねママ、ごめんなさい)

(たーくんのせいじゃないよ。嘘も3回も聞いたら、大人だって本当みたいに思えてしまうのだからね。でもカラスの言葉が解るなんて、たーくん天才)

ママが慰めてくれている側で、カラスは虫の息でした。

それを見たたーくんは、なんとカラスを抱き上げて

(お腹、すいてたんだね)と言いました

抱かれていたカラスの目から、つーつーと透き通って光る、涙みたいな物が落ちて行きました。

その物が落ちきった時、黒いはずのカラスの体はまるで羽の束のように白く、軽くなりました。

おしまい。ありがとうございましたm(__)m

嘘か誠か。人の言葉や動向を瞬時に見極めなければならないような状況がある、今の世の中です。

嘘も3回聞くと本当のように感じて来ます、しかもその嘘が何人かで誠しやかに語られたりすると。この物語では幼児なので優しい場面で締めました。しかし大人は決して騙されてはいけませんね。私に言い聞かせるように描きました。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございましたm(__)m

又、スタッフの皆様ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトルの『白くなったカラス』は良いと思います。 これから、どういう展開になるのか気になりました。 [気になる点] 山本拓也君だから、たーくんですね! まーくんならアメリカプロ野球、ヤンキ…
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