4話 半径10メートルの冒険
「ここは…神殿でしょうか?」
「おぉ、ようこそおいでなさいましたトラベラー様。」
なるほど、最初のチュートリアルってことですね。
「ここはトラベラー様が最初に訪れる場所であり、もし分からないことがあればお聞きください。お答え出来るものであればお教えしましょう」
「ふむ、ではここから一番近い街への行き方を教えて下さりますか?」
「分かりました。ここから一番近いとなるとたしか、ファースでしたかな。ここから北に真っ直ぐ道なりに進むことで着きますぞ」
ここで情報が得られるのはありがたいですね。スキル等は掲示板で調べますが、それ以外はあまり見ないようにしているので街への行き方が分からなかったんですよね。
「他に質問はありますかな」
「ええと、ではこの近くにはファース以外に何がありますか?」
「それでしたら東の方へ進むと小ぢんまりとしたダンジョンがありますな。ただ、皆様北の街へ行った後は更に奥へと進んでいくので、この辺りにはあまりトラベラー様方はおりませんぞ」
「大丈夫です、取り敢えず聞きたいことは教えていただきました。教えて下さりありがとうございました」
「いいえいいえ、このくらい何ともありませんぞ。ああ、あとここを出るときは気をつけて下され。遠くへ行くとモンスターが出ますのでな」
「分かりました。では早速北の街へ行ってみたいと思います」
「そうですか、ではこれをお持ちくだされ」
お守り?ですかね、これ。
「それは忍びのお守りといいましてな、気配を少しだけ紛らすことが出来ましてな」
「ありがとうございます。では、また会いましょう」
「ええ、達者で」
外に出たんですが、凄く広いですね。風に髪がなびいてます、凄くリアルです。ここまでとは…さすがですね。この草とかも採取の対象になるんでしょうか?
━雑草━
そこら辺にたくさん生えてる雑草。
━雑草━
そこら辺にたくさん生えてる雑草。
━雑草━
そこら辺にたくさん生えてる雑草。
全部雑草ですね。この辺りはみんな同じなのでしょうか、もうちょっと集めてみましょう。
━雑草━×245
そこら辺にたくさん生えてる雑草。食べると苦い。燃やすと燃える。
━草━×104
雑草よりはいい草。でも雑草。意外とよく燃える。
━良質な草━×24
普通の草よりも良質な草。しかし雑草。HPドリンクになる。
━石ころ━×485
灰色で斑模様の石。ビビッとくるとかこないとか。
━尖った石━×139
大きな岩がかけて出来たばかりの石。投げられると痛そうだ。気軽に投げてはいけない。
━丸い石━×248
角が削れて丸くなった。昔は喧嘩ばかりしていたという噂も。
〈スキル「採取」を獲得しました〉
〈スキル「集中」を獲得しました〉
〈スキル「疲労耐性」を獲得しました〉
〈スキル「瞑想」を獲得しました〉
〈スキル「様子見」を獲得しました〉
〈スキル「隠密」を獲得しました〉
〈スキル「地形攻撃」を獲得しました〉
〈スキル「掘削」を獲得しました〉
〈スキル「暗器術」を獲得しました〉
〈称号「採取人」を獲得しました〉
〈称号「コレクター」を獲得しました〉
〈称号「慎重派」を獲得しました〉
〈称号「草原ブレイカー」を獲得しました〉
〈称号「穴掘り屋」を獲得しました〉
〈同時採取が解放されました〉
〈範囲採取が解放されました〉
なんか大変なことになりましまね、まだ2,3時間しか集めていないのに。でも、最初の頃に休憩しながらモンスターを眺めていた時以外はずっと集めてましたからね。集めれば集めるほどアイテムが増えていく感覚に逆らえなかったんです。途中に同時採取で一度に採取出来る量が増えたり、範囲採取で自分の周りを一度に採取出来たりして飽きませんでしたね。
そういえば、段々草原が薄くなっていくと地形攻撃が手に入りまして、採取が地形への攻撃扱いになるのならとなんとなく地面に向かって思いっきり殴ってみたんですよ。そうしたら浅く穴が空いてしまいまして、さらに採取が発動して大量の石ころが入手出来たんですね。それからまた楽しくなって穴を掘り始めたのですが、5回くらいで草原ブレイカーの称号獲得しましたというアナウンスが流れたのでちょっと威力を抑えて穴掘りすると今度は手加減が手に入ってしまいました。暗器術は、おそらくナイフを左手で持ちながら穴を掘りつつ時々雑草も採取していたので、武器を隠し持っていたということになったのでしょう。それなのにまだ戦闘していないという事実にびっくりです。
「そろそろ移動しましょうか」
街に行くと言いましたがダンジョン行っちゃいましょう。早く戦闘もしてみたいです。こんなに遊んでいるのに未だ戦い無しとはどういうことですかね。もうこうなればサーチ&デストロイですよ!
ビビッとくるとかこないとか
追記:1話からここまで段落の最初を空けました