絶剣フェイト
よろしくお願いします
ちょっとこの作品の最強武器にもキャラ付けを
目の前にそびえる一本の黒剣
ただならぬオーラを放っている
というかどす黒い何かが剣から漏れ出ていた
(ほんとにアレウスさん、何望んだんですか...あれ絶対ヤバいやつですって...)
「知らねぇよ、でも確かに俺は...」
よくよく考えてみれば便利なものってお願いしただけでまともなものとは一言も言ってなかったような...
やべぇな、完全にやばいもの呼んじゃった気がする
正直ちょっとしたものをもらえると思ってたものだから...まさか代償によってはこんなやばいそうなものを呼び寄せることになるのか...
(あ、あれどうするんですか、アレウん...)
「どうするってよ...あれが契約によって来たものだったら別に俺のモノなんだから危険はないんじゃないのか...?」
(じゃあちょっと触ってみてくださいよ...)
まぁそうなるよな...
仕方ない、ここは腹をくくるしかないか
俺は黒剣に近づき、目の前に立つ
本能が伝える
目の前にあるものはやばいものだと
俺は一度深呼吸をして覚悟を決め、黒剣を握る
「............は?」
握った瞬間景色が変わる
「なんだこれは...?」
何も無い、ただ枯れた大地が永遠に続く世界
「おい、エリーナどういうことかわかるか?......おい、エリーナ」
エリーナに呼びかけるが応答がない
「ここには貴方様しかおりませんよ?」
「────っ!?」
背後からいきなり声をかけられる
気配は全くなかった、いきなり現れたとしか言いようがない
黒いドレスに身を包んだ白い髪の女
「誰だお前は?」
「私でございますか?私はフェイト、貴方様が私を呼んだのではありませんか?」
「呼んだ...?もしかして、あの剣のことか?」
「えぇそうです、そうでございます。私こそが絶剣フェイトでございます」
フェイトと名乗る女はスカートの裾をつまみ優雅にお辞儀をする
俺が呼んだあの黒い剣が目の前にいる女とか言われても意味がわからないんだけど...
「それでははじめましょうか。貴方様が私の主として相応しいかどうかを」
「は...?」
フェイトは剣を握り俺に斬りかかってくる
「くそっ!!」
俺はギリギリのところで身体をずらして避ける
「いきなりなんなんだよ!!」
「ですから試験でございます。私が直々貴方様が私を使うに相応しい者かどうかをね」
「ふざけんな!!俺はまだ、この世界に、来たばかりなんだよ!!」
必死に避けながら俺は言葉を返す
これはやばい
さっきぶっ飛ばしたゴリラから感じなかった恐怖を今感じている
殺らなきゃ殺られる、それが俺の至る答えだった
だったらやるしかない
素手じゃあの剣の相手はできないだろう
だったら今俺が出来ることは魔法しかない、俺が持つと思われる3つの魔法...その中で一番攻撃に適しているのは...
「くらえ!!」
とりあえず自分が思ったままに魔法を魔法を放ってみたら、魔法を使用することが出来た
手のひらから雷撃が放たれフェイトから距離をとることができた
「どうやら問題なく使えるみたいだな」
自分の腕に流れる電気を見ながら俺はつぶやく
そしてフェイトのやつが回避したってことは俺が放つ魔法は少なからずあいつにダメージを与えれるということだろう
だったら話は変わってくる、さっき感じていた恐怖だって薄れてくる
「悪いな、一方的に攻撃させて」
「そうでございますね、貴方様を試すための闘い。どうかご自分の実力を全力で発揮してくださいませ」
強者の余裕というやつだろうか、フェイトは上から目線で俺に語りかける
でもそれっておかしくないか?
「お前、俺が呼んだものだろ?」
「なっ───────!?」
大地が震え、地面にヒビがはえる
フェイトは地面に膝をつき屈服するような姿勢になる
「普通に考えておかしいよな、なんで俺が代償を払ってまで呼んだのにこんなめんどなことしなくちゃいけないんだ?」
「くっ────これは重力魔法でございますか?」
正解だ、はじめて使うからとりあえず全力で重力場を強めてみたいんだがら中々の効果だな
「これは中々、ですが私に斬れぬものはありません」
フェイトが剣を一太刀振るうと俺が発生させた重力場が消える
「もしかして俺の魔法を斬ったのか?」
「えぇ、私は絶剣フェイト。私に斬れぬものなどこの世にはございません」
「なるほどな...」
なんでも斬れる剣、確かに便利っちゃ便利だけど...
「正直いらないな...」
「え...?」
「あのさ、来てもらって悪いんだけど帰ってもらえないか?」
「え、え......?」
別にそういうの求めてたわけじゃないんだよね俺
なんかもっと実用的なものの方がいいんだけど
「私を...いらない...?」
「いや、いらないとかじゃないけどさ...別にわざわざ勝ってまで得たいものかって言われるとな」
「幾度も世界の覇権を巡って争われたこの私をいらない...?」
世界の覇権とか、確かになんでも斬れるんだったらフェイト一本で獲れそうだな
でも、別に俺にはいらないよね
「ふふっ...この私をいらないなんて...ふふふっ...」
.........やべぇ
ゆらゆらとフェイトのまわりに黒い瘴気が漂い始める
さっきとは雰囲気が全然違う
「殺す、貴様は絶対に殺す」
フェイトはどっからどう見てもブチ切れていた
さっきまで貴方様って呼ばれてたのに、貴様になってるし...
「死ね。」
フェイトが剣を振るうのを察知して俺は咄嗟にしゃがむ
フェイトの今いる位置では俺には絶対刃は当たらない
だが俺の上を見えない何かが通り過ぎて言った
「ちっ...よけますか」
フェイトはあの位置から俺を斬りに来たんだ
空間とかそういうの全く無視して斬れるとかとんでもなさすぎるだろ
だけど無敵というわけじゃない
まず根本的に...
「斬られなきゃ意味は無い」
俺はフェイトの太刀筋を読んで斬撃を避けていく
かなりの速度だけど避けるのは容易かった
身体が自然と動く、我ながらよく
避けれてるわ
そして俺は雷撃を飛ばしながらフェイトに接近していく
飛ばした雷撃は全てフェイトに斬られて霧散していく
だけど、それでいいんだ
どうやら斬れる対象物は一太刀一つなんだろう
これで全て丸ごととか言われたら俺はもう死んでいただろう
雷撃を防いでるあいだに一気に距離を詰めて接近戦に入る
俺が狙うことはただ一つ
フェイトの攻撃を避けながら俺はそのタイミングを伺い集中する
相手の剣がどれだけやばいからって防御しっぱなしっての癪に障る
身体に雷を纏うことによって俺の動きはさらに洗練されたものへとなっていく
攻防が継続していくにつれて互いの動きは加速していく
「不可解です、貴様はさっきこの世界に来たばかりと言いました。例え転生者といっても力をつける前、私と真っ当に戦えるのはおかしい!!」
「はっ、俺だって知らねぇよ。だけど身体が勝手に動くんだ、だったらそれに従うまでだろ!!」
俺が答え終わった瞬間が俺が狙っていた好機だった
どれだけ最強の剣だろうがそれを振る手は別に普通だろ?
俺は局所的にフェイトの剣を握る手に重力をかけ、そして下からその手を蹴り上げる
強烈な一撃をくらった手から剣がこぼれ回転しながら宙に舞う
「なにっ!?」
「悪いな、あれは俺がもらう」
そしてフェイトの全身に重力を動きをとめ、俺は飛び上がって黒剣を手にする
「さて、お前の武器は俺の────っ!!」
剣をもった瞬間に身体に激痛が走る
「ぐふっ...ゲホッ...くそっ、なんだよこれ...」
身体は動かすことは出来ず、俺は口から血を吐く
「馬鹿ですね、認められぬ者が私に触れれば呪いに全身に蝕まれ深淵に堕ちますよ」
だから俺を試そうとしてたのか、つーかそれだったらそのことをもっと早く言ってくれよ
まぁまだ認められてないなら...
いや、認める認めないとかそういう問題じゃねぇな
「俺がてめぇを支配すればいいだけだろ、フェイト」
どうやってやればいいかなんてわからない
だから極限まで魔力を高めて、この手にあるじゃじゃ馬をおさえつける
「う、嘘この魔力...」
フェイトがなんか言ってるが、気にしている余裕はない
暴走しそうな魔力をギリギリなところで制御し、フェイトを抑えようとする
「さっさと大人しくしやがれぇぇ!!」
俺は叩きつけるように黒剣を地面に突き刺す
突き刺した衝撃で爆発がおこり、視界が遮られる
「一体...どうなった?」
どこからかフェイトの声が聞こえてくる
そして視界が徐々に晴れてくる
「はぁ...はぁ...ほら、どうだ認めさせてぞ?」
俺は地面から黒剣を抜き、剣先をフェイトに向ける
「ま、まさか本当に...貴様は...いや、貴方様は...」
フェイトは何かブツブツいいながら俺を呆然と眺めている
かなり驚いてるみたいだな、認められたっていう認識でいいのか?
さっきまであった激痛もどっかいったし、そういうことなんだとは思うが
フェイトに呼びかけるが一向に反応しない
「しょうがないか...まぁちょっと試してみるいい機会だしちょうどいいか」
俺はフェイトに向けて何回か剣を振るう
「ひっ......」
俺の斬撃はフェイトの薄皮一枚をかすめ取っていき、フェイトは小さな悲鳴をあげる
距離は離れているが、俺が意識さえすればその距離も無視して斬ることができるのか
「いやー、悪い悪い。驚かせて...」
「あぁ...あぁ...」
フェイトは身体を震わせながら何故か喘いでいる
いや、別にビビらせるつもりで斬ったわけじゃないんだが...
「おい、フェイト...」
「あぁ...なんということでしょう...やっと見つけた、やっと会えました...」
「ひっ......」
今度悲鳴をあげたのは俺だ
フェイトが顔を上げたと思ったら、こいつ涙目でハァハァ言いながら顔を恍惚とさせていやがった
あまりの表情に俺は反射的に小さな悲鳴をあげた
「あぁなんという奇跡でしょう...このフェイト、貴方様に会えるとは思ってもおりませんでした」
一体何が起こった、なんでこいついきなりヤバいやつになってんだよ
俺がこの剣無理矢理言うこと聞かせたからそのせいで頭のおかしくなったのか?
「おい、それ以上近づいたら斬るぞ」
「貴方様にならいくら斬られてもかまいません、貴方様から受ける全てこのフェイトにとっての至福」
いや、ほんとになんなんだよ...
正直初めてあった時に感じた殺気の何倍も恐怖を感じてるんだけど
怖い、発情した顔で近づきながら時々身体から黒い靄を発生させる女とか恐怖でしかない
今の状態じゃ話にもならない
「仕方ない、一回眠らせるか」
フェイトに一言「悪い」とだけ言い
俺はフェイトの「意識」を斬った
お読みいただきありがとうございます