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ようこそ、理想郷へ(改稿版)  作者: 林桃華
第0章全ての始まり
3/21

湖で

よろしくお願いします



「おはよう、アレウス」

「あぁおはようトリス」



俺はトリスと朝の挨拶をかわし食卓に座る



「今日はパンと目玉焼きだが問題ないか?」

「あぁありがとう」



トリスは自分と俺の分の皿を運んで食卓に座る



「では食べるとしようか」



これがいつもの朝食の合図


俺はパンにジャムを塗り始める




「今日でお前と出会って半年だな」

「もうそんなに経つのか?というかよく覚えてるな」

「当たり前だろう馬鹿者、逆にお前が覚えてなくて私は悲しいぞ」



トリスがパンを食べながらすねた素振りをする


いつも凛々しいがこういった時のトリスは逆に可愛い


見た目も性格もクールだがこういう可愛らしい面があるというの半年でだいぶわかった



「それで今日も食べ終わったら修行か?」

「あぁもちろんだ!だが今日の修行は夕方までだ。夜はお前と行こうと思ってる場所がある」

「どこだ、それは?」

「それは行ってみてからのお楽しみだ」



トリスは意味深な笑みを浮かべてはぐらかす


行ってみてからのお楽しみね、とりあえず悪い場所じゃないことを願おう




そして朝食を食べ終わり、食器を片付けたら修行へうつる


ここ最近は主に魔法の修行ばっかしている。もちろん数ヶ月前とは違う


今は俺が持っている魔法を個々にコントロールできるように練習中だ



俺が持っている魔法は3つ

回復魔法と雷魔法と重力魔法だ




まずは回復魔法


これは体術の修行を兼ねた内容だ


とりあえずひたすらトリスと乱取りをする。そしてその戦闘の中でトリスからうけたダメージを回復魔法で回復するというものだ


ただひたすらトリスと殴り合い蹴り合う


そして受けたダメージを回復する

戦闘が加速していくほど難易度は上がっていく

戦闘に対する意識と回復魔法を使用する意識を並行させなければならない



正直この回復魔法の修行は前までやってた自分を切りつけて回復するのをひたすら繰り返すドM行為よりは全然マシな気がする




そして雷魔法と重力魔法はシンプルにコントロールの能力をあげる練習だ


雷魔法だったらシンプルに雷をはなったり、電気を利用した磁力操作などをし


そして重力魔法は重力場の操作、そしてそこから応用してできる飛行能力の練習などをしている


もっと修行を積めばもっと応用的に利用できると思うけどな今は今あげたことを洗練している段階だな





そしてトリスが話していた通り修行は夕方で終わる





そして修行を終え着替えた俺のところにバスケットを持ったトリスがやってくる



「よし、では行こうとしようアレウス」

「行くって、もしかしてピクニックか?」

「あぁそうだ、ピクニックだ」



え、ほんとにピクニックなの?

まぁでもバスケット持って行くくらいなんだからピクニックしかないか



どこに行くかは教えられてないから俺はトリスについていくことしか出来ない


20分ほど歩いて、そこにたどり着く



「これは...湖か」

「あぁそうだ、どうだいい雰囲気だろう?」

「あぁなかなかだ」



既に月が空に登っており、湖の水面が月を映す


俺がその風景を眺めている間にどうやらトリスは地面にシートを広げていたみたいだ



「実は今日はな、特別な日なんだ。ほら、その時が来るまでゆっくりしていよう」



トリスは自分の隣をポンポンと叩く

どうやら隣に座れと言っているようだ


俺はトリスの意思通り隣にする


そしてトリスがバスケットから取り出したサンドイッチを食べながらトリスと話す



「時が来るまでって言ったが何が起こるんだ?」

「ん?今以上の絶景が見られるとだけ言っておくよ。あとは自分の目で答えを知ってくれ」



そう言ってトリスはわざわざ持ってきたグラスにワインを注いで口にふくむ


まっ楽しみに待っておくとするか




「しかしもう半年か、長いようで短かったな」

「俺としては毎日修行で時間なんてすぐ過ぎるから半年って聞いて驚いたよ」

「私も驚いているよ。ここに来た時はつまらない時間を過ごすと思ったが、お前を見つけてそれが変わったようだ」



トリスはそう言いながら、こちらを向く



「お前と出会えて本当によかったよ、アレウス」

「あ、あぁ...」



俺はうまく答えられなかった


それくらいトリスの笑顔に圧倒されてしまった



「俺も───」

「お、どうやらはじまったみたいだ。見てみろアレウス」

「え?......なんだ、これは...」



俺もトリスに会えてよかった、そう伝えようとした瞬間にトリスに遮られる


だが俺が言葉を失ったのは目の前の光景のせいだろう


湖からポツポツと光が浮かび上がってくる


ホタルかと思ったがホタルではない

赤、青、様々な色の光が浮かび上がる



「なぁ、これはなんなんだトリス?」

「あぁこの光の正体は精霊だ。普通は姿を現さない。だが一年に一度だけこの湖に姿を現すんだ。どうやら今も昔もかわらないようだ」



トリスは何かを懐かしむように眺める



「綺麗だな...」

「ん?それは何がだアレウス、私か?この光景がか?」

「あ、あー...もちろん景色だよ」



正直今はトリスに見とれていた

だけどそれをトリスに知られるのは恥ずかしいから黙っておこう



「こんな美人を前にしてもったいない、今日くらい雰囲気にのまれてもいいんじゃないか?」



トリスがそっと俺に近づいてくる



その姿は妖艶で、吸い込まされそうになる


本当に雰囲気にのまれそうだ




「ぷっ...くっ...ははは、なんて顔をしてるんだ、アレウス!冗談に決まってるだろ」

「なっ...今の冗談はタチが悪いぞ、お前...」

「悪い悪い、ついからかってみたくなってな」



トリスは笑いながら俺から離れる


まったくほんとに心臓に悪い冗談だったぞ、一歩間違えればほんとにやばかった


そしてトリスの手で転がされたのがすごい悔しいし恥ずかしい




「...ったく、悪いけど俺はもう帰るぞ」

「なんだ、もっといてもいいじゃないか?」

「酔っぱらいとこれ以上一緒にいるのはごめんなんだよ」



そして俺は立ち上がり、ログハウスへと戻る












アレウスの後ろ姿を眺めながらワインを飲む




「まったく、もっと雰囲気に飲まれてくれたらよかったものの...」



だがそれ本当に良くないことを知っている


だから直前ではぐらかした


それはあってはいけないんだ、私とアレウスのためにも



「雰囲気にのまれてしまっていたのは私のようだ」




私は再び己に戒める、自分は望んではいけないのだと

お読みいただきありがとうございます

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