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ようこそ、理想郷へ(改稿版)  作者: 林桃華
第1章 旅の始まり
13/21

悪魔の呪い

「調査」の能力で種族が出る設定に変えました



「すまん、ベッドを貸してくれ!!」

「あ、アレウスさん!?」



謎の少女を担いで俺は孤児院へと戻る



俺の大きな声に驚きを見せるエミリアだったが、俺が抱えている少女の様子を見て深刻な顔をする



「アレウスさん、こちらにお願いします」

「あぁわかった」



そして少女を寝かせるためにベッドがある部屋へと案内してもらった








「アレウスさん、院長先生を呼んできました」



エミリアに頼んでマリアを一応呼んでもらっておいた。俺だけじゃ正直どうにもならないから色々と詳しいマリアの助けが欲しかったんだ




「で、どうしたんだそこのお嬢ちゃんは気を失ってるようだけど?」

「あぁそれは俺が大人しくさせるために一時的に気を失ってもらってるだけだ」

「じゃあ他に問題があるのかい?」



俺は「あぁ」と答えて、俺がわかる限りでこの少女がどういう状態なのかを説明する



「あんた回復魔法なんていや、今はそれどころじゃないね...この子たぶん呪われてるね」

「呪われてる?」

「あぁ悪魔にだよ...たぶん中級程度の悪魔だね」



呪い、それに悪魔か...話がどんどんややこしくなってきやがるな




「あんたこんなものどこで拾ってきたんだい?」

「偶然会っちまってな見捨てることができなかったんだよ。それで治せるのか?」

「治せるには治せる...が、今は無理だね。昔の私だったらこの呪いくらいは簡単に解けたが...高位の神官が最低でも3人必要だね。呼ぶにしても時間も金もかかる、待ってるだけじゃこの子は体力が持たずに死んじまうね」

「まじか...くそ、どうすんだよ...」



なにか方法はないのか...?


俺の回復魔法はまったく通用しないし、ほかの人間を頼るにも頼れる人間が近辺には存在しない......くそ、打つ手なしかなのか...



「いや、待てよ...」



俺は腰に下げている1本の剣を見る



絶剣フェイト──


この世の全てのものを「斬る」ことができる最強の一太刀



こいつだったらもしかして...


「...やるしかねぇか」



俺はフェイトに手をかけ引き抜く




「あんたまさか楽にさせてやるとかそういうつもりじゃないだろうね?」

「あ?そんなつもりは毛頭もねぇよ。そんなんだったら最初から見捨ててる......見とけ、呪いだかなんだが知らねぇが......斬る──」



俺は少女をなぞるようにフェイトを一太刀振るう


やっぱり概念的なものを斬る場合はごっそり魔力をもってかれるな...ただ呪いくらいの概念だったら「斬る=解呪」になるからこれくらいなら何度かやっても問題はなさそうだ


そして少女の身体が魔法陣が浮き上がりヒビが入って粉々に砕け散り宙に霧散する



「あんたいったい何やったんだい...?」

「斬ったんだよ、この子の呪いを。どうだ呪いは解けてるか?」

「斬ったってデタラメな.....しかも本当に呪いは解けているってかい」

「解けてるんなら何よりだよ、」



俺は一息ついてフェイトを腰にしまう



「しかしこの子...エルフだね。この大陸にも色々な他種族がいるがエルフは珍しいね」

「エルフ...??」

「ほら、この子の耳をよく見てみな。普通の人より長くて尖ってるだろ?」


マリアは寝ている少女の髪の毛を少しかき分けて耳を見せる


確かに耳の後ろ部分が尖ってる普通の人より長く伸びている



(アレウスさん、スキル「調査」で調べてみたらどうですか?)



調べれば分かるかもしれないが、気絶している女子にやる行為ではないだろ...



(でも非常事態ですから仕方ないですよ)


お前非常事態を免罪符として利用してるだけだろ...


まぁ別に使ったところでわかる情報はごく単純はものだけだから使ってもプライバシーを大きく害することはないから使ってみるか



ミラノバ

ハーフエルフ族

16歳・女


精霊魔法


「魔眼《月光》」




ふむ、この子はエルフではなくハーフエルフだったのか


少し小柄だから幼い印象だったが年齢は俺の一つ下か


精霊魔法っていう俺が持っている魔法とは質が違いそうな魔法と、エリーナが言っていた通りの魔眼を有している



ハーフエルフで魔眼持ち、どれくらい珍しいかは分からないが出会う可能性はかなり珍しいと思われる


どうしてこんな所に...?しかも悪魔に呪われていたとなると何かしらに巻き込まれている可能性もある




しかしこのローブどっかで見たことあるんだよなぁ...



「で、あんたこの子どうするんだい?」

「あー...どうしような...」



俺は頭をかきながらこたえる


やばい、考えたなかったな

拾ってきたところに捨ててくるなんてことはできねぇし...



「仕方ないやつだね、とりあえず起きるのを待って事情を聞いてみることだね。それまでこの部屋をこの子のために貸してやるからあんたが面倒みるんだよ」

「いいのか?そうしてくれると助かるよ」



流石に事情聞かないで放り出すってわけにもいかないし、とりあえず目覚めるのを待つとしよう


マリアには感謝しなきゃならねぇな





「院長先生、院長先生大変だよ!!」



俺がマリアに礼を言った直後慌てたようにエレナが部屋に入ってきた



「エレナ、そんな慌ててどうしたんだい?」

「大変!!エミリア先生が領主様に連れてかれちゃう!!」

「なんだって!!アレウス、あたしに早くついてきな」

「お、おい!!...くそ、しょうがない。エレナもついてこい」



俺はそう言ってエレナを抱っこしてマリアの後を追う





マリアの後を追うとエミリアと数人の男達と対峙していた。

一人は高級そうなものを来たやつ、そしてほか数人は柄の悪そうなごろつき共だった



「おっと、これはシスターマリアご無沙汰しております」

「久しぶりだね、領主様。一体なんのようだい?」

「いえ、僕の婚約者のエミリアと少しばかり出かけようと思いまして」

「それはあんたの勝手な思いつきだろ?それにエミリアはあんたの婚約者じゃないっていつも言っているだろう、何度言ったらわかるんだい?」


高級そうな身なりをした男のことをマリアは領主といっている、領主か...たぶん偉いんだよな?マリアのやつ態度が強すぎだろ



「シスターマリアそろそろ納得していただけませんかね?」

「はっ、それは無理な話だね。ほかの平民だったら簡単に従ってただろうけど、この孤児院は冒険者組合の庇護を受けた孤児院だからねあんたでも手出しができないよ」

「そうですか...確かにそうですね。ですがいつまでもそんな態度をとられておられますといつか子供たちに危険がふりかかるかもしれませんよ?」



......なるほどな、マリアがこういう態度をとるのもわかるわ


目の前にいる領主と呼ばれる男...この会話を聞く限りクズだな

詳しく聞かないと分からないが領主の権力ってのは絶大でその権力を振りかざして色々ごういんにやってるっぽい



とりあえず「調査」使ってみるか



オラス・ノマロ(悪魔憑き)

人族

22歳・男


影魔法



悪魔憑き?え、こいつ悪魔に取り憑かれてるの?つーか、悪魔か...悪魔に呪われてた少女と言い悪魔に取り憑かれてるといいこの世界で悪魔の存在はありふれたものなのか?



しかしエミリアも断ればいいのにって思うが、エミリアのことだ子供たちに危険が及ばないように自分をぎせいにしようとしてるわけか



で、マリアはそれを理解してるからエミリアを守ってやってるわけだ



「そんな脅しきかないよ、最近うちは番犬を飼ってね用心は色々してるのさ」

「その番犬とは孤児を抱いてるその男のことですか??彼は私の護衛と比べますと少々貧弱に見えますが??」

「あ...??」



今このボケナスは俺のことを貧弱って言ったのか?


あとお前ら普通に俺の事犬扱いで話すのやめてもらえるかな??



「はっ、見た目だけで判断してるようじゃあんたはダメだね」


そう言ってマリアは俺の方をチラリと見る


「やっていいのか?」

「あぁ二度とでかい態度取れないように脅してやりな」



ふむ、なら少し強めにやっておくか




「なぁ、くだらないこと企んでるならやめた方がいいぞ?やったら後悔するからな?」


俺は威圧を込めて言葉を放つ

殺気の放ち方とかよくわらないがこんな感じでいいのか?とりあえず重力魔法による重圧をかるく混ぜておく



「くっ...忌々しい、シスターマリア飼い犬にはしっかり首輪をつけた置いた方がいいぞ。仕方ない奴隷屋に私の奴隷のエルフが入荷されたと聞いたとこだ、今日はそっちに向かうことにするさ...いくぞ!!」



そう言ってオラスはお供の男たちを連れて引き下がってく



「ふん帰ったかい、しかしあんた脅していいって言ったが子供抱きながらやる顔じゃなかったよ」

「やべ、やっちまった...すまん大丈夫だったかエレナ、怖くなかったか??」

「うん!!お兄ちゃんすごくかっこよかったよ!!」

「はっ、ほんとにあんたはエレナのお気に入りなみたいだね。あんた悪魔よりやばい顔してたよ」


まじか...俺そんなやばい顔してたのか


そりゃあいつらもびびって逃げてくわな




「で、大丈夫かいエミリア?」

「は、はいありがとうございます院長先生、それにアレウスさんも」

「次あの馬鹿領主が来た時はすぐにアレウスを呼びな。そうすれば今日みたいにお前を諦めて逃げていくはずさ」

「そんなアレウスさんを本当に番犬みたいに扱って申し訳ないですよ」

「いいんだよ、そういう目的でこいつを雇っているんだし」


え、それ初耳なんですけど??



「なぁマリア、詳しい話を聞いていいか?」

「そうだね、こうなったからにはしっかり話すよ。それにあの領主気になってる事言ってたしね」



そう言ってマリアは孤児院に戻っていく。中で話をしようってわけか


俺はエレナをエミリアに預け連れてきたハーフエルフの子のこともたのんでおいて、再びマリアの後を追う






「で、どういうことなんだ?」

「私たちのやり取りを見てたら大まかにはわかっただろうか、あの男の名前はオラス・ノマロ。ノマロ男爵家の子息でこの街の領主をやってる男だよ」

「なるほど、貴族の息子だったわけか」

「まぁね、それで何があったかわからんが偶然エミリアを見つけたらしくね。エミリアを自分の嫁にすると言って無理やりエミリアを連れていこうとしてるんだよ」

「まぁそこまではだいたいわかった。エミリアはそれが本当は嫌だし、お前もあの男が気に食わないから邪魔してるんだろ?だけど貴族にそんな楯突いて大丈夫なのか?」

「別に問題ないさね。この孤児院は冒険者組合からの庇護を受けているからね、本来だったら領主からの庇護をうけているがうちの場合はそうじゃないからねあいつの権力が届かないのさ」

「なるほどな、だから向こうも無理な行動はできないと」

「そうさね。だけど向こうが無理な方法をとってこないようにするために、あんたみたいな腕のたつ冒険者を雇おうとしてたのさ、手伝いって名目で隠してね」



なるほどな、だから俺を雇った本来の目的って言ったわけか



「納得したかい?」

「あぁ納得だよ、そんなことなら最初から言って欲しかったよ」

「悪かったね、私があんたを見極めきれなかったのが問題だよ。まだあんたの実力や行動を試していた段階だったからね」

「見ていた通り問題はなかっただろ?」

「あぁよかったよ、あの男のびびった顔と来たら最高だったね」


ありゃ傑作だったよ、とマリアは性格悪そうに笑う



「話は変わるが、あの男が去り際に言っていたこと覚えてるかい?」

「去り際...?何か言っていたか?」

「しっかり聞いてなかったのかい、あの領主去り際にエルフの奴隷が入荷したとか言っていたんだよ。エルフと言われて心当たりがないかい?」

「...なるほどな、俺が連れてきたやつのことか...」

「そうだよ、どうして呪われていたかは謎だがたぶん領主が言っていたエルフ奴隷ってのはあの子のことだよ」



確かにそう言われるとそうだな



(あっ!!アレウスさん、思い出しまたしたよ!!あのローブ、あれエドさんの馬車に載ってた1人が着ていたものですよ!!ほらあの全く喋らなかったら奴隷さん!!)



......確かに、言われてみればそうだぞ



つまりマリアが言っていることは正しいことになる


しかもあの領主は悪魔憑きで連れてきたハーフエルフの子は悪魔に呪われていた



これは偶然か?いや、偶然にしては出来すぎている

多分これも何かに関連している



そしてそれは碌でもないことに決まっている




「決めたよ、あのエルフの娘はうちでかくまうよ。あいつに対する当てつけさね」

「理由はなんにしろ、そうした方がいいかもな」



色々と気になることもあるし、匿って置くのは正解だろう



しかし厄介事に巻き込まれたくなって考えてたらこれだよ



(アレウスさんはかなりのフラグメイカーなようですねぇ)


うるせぇよ、俺だってこうなりたくはなかったんだよ


つーか、お前の加護が俺についてるんじゃないのか?おい、運命の女神様よ



(私の加護は超すごいので、私の加護のせいではありませんから!!プンプン!!)


なんだよぷんぷんって、もっとまともな怒り方あるだろ


これ以上エリーナに文句言っても面倒なだけなのでここはぐっと堪えよう


それより今後のことだ


どうするべきか...



次の行動に考えているときだ



「院長先生、アレウスさん失礼します。あのエルフの女の子が目を覚ましましたので知らせにきました」



ちょうどいいタイミングだ、とりあえずあの子に話を聞いてみるとするか──

お読み頂きありがとうございます

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