厄介事
更新遅れました
よろしくお願いしますm(_ _)m
「お兄ちゃーん、いってらっしゃーい!!」
エレナが今日も満面な笑みで俺の事を見送ってくれる
そして見送ってくれるのはエレナだけではなく他にもいる
その数はエレナ含めて5人、大体は俺がこの孤児院に初めて訪れた時に俺に話しかけてきたちびっこ達だ
まず緑髪の女の子がエレナ、俺に初対面でぶら下がってきたちびっこの1人だ
そしてもう1人ぶら下がってきたのがトニー、そのトニーも「にーちゃん、がんばってこいよー」とエレナと2人で元気に送り出してくれる
そして何も言わずにみんなについて俺を見送ってくれる赤髪の娘がアリサ、わかりやすくと言うとあのすげぇ生意気なちびっこ
みんな俺のことをお兄ちゃんやお兄さんと呼ぶのにこいつだけ未だに俺の事を「おじさん」と呼んでくる
ただ気にしてるとエリーナがうるさいからもう気にしないと心に決めている
エレナ、トニー、アリサの3人は5歳の同い歳
そしてあと二人はこの3人より2歳歳上のアベル、あの俺に話しかけてきたメンバーの真面目な子だ
いわゆるこのちびっこグループのリーダーで唯一の年長者としての自覚があるのかすごい真面目な少年だ
いつも「お気をつけて、アレウスさん」と礼儀正しく見送ってくれる
そしてアベルと手を繋いで眠たそうに目を擦ってるのがこのグループで最年少の4歳のベルだ
アベルと名前が似てるがそれは当たり前、ベルはアベルの妹だからだ
ちなみにベルだけは俺がここに来た時に話しかけてきたグループにはいなかった、ちょうどお昼寝の時間中だったらしい
この5人が毎日午前中の冒険者活動のために外出する俺を見送ってくれる
孤児院の手伝いの依頼を受けて10日ほど経っていた。この生活にも慣れてきたものである
孤児院の手伝いにもそこそこ慣れて来たし、子供たちとも仲良くやっている
特に今見送ってくれた5人といる時間が多い
(アレウスさんかなりあの5人にはかなり懐かれてますからねぇ、特にエレナゃんには)
確かにエレナにはかなり懐かれたな、その分アリサの俺に対する扱いを考えるとちょうどトントンなんだろう
(あれですね、ロリコンのアレウスさんには喜ばしいことですね)
お前のそのいきなりロリコン認定は一体なんなんだよ...
俺がロリコンだったら世界中の男がロリコンになるだろ
(え、でもあの子達可愛いと思うんですよね??)
「そりゃ可愛いと思うが...おい、性的な意味じゃないからな?」
(はいはい、わかってますって。私はしっかりアレウスさんのことを受け入れてあげますから安心してください)
全然安心できねぇ、もしいつかエリーナと対面するチャンスがあった時はしばきあげよう
ちなみに今は午前中、いわば俺の自由時間である。この時間は他の依頼活動をする時間にあてていいことになってるが、俺は別の場所に向かう
そう、その目指す場所とはダンジョンである
なぜダンジョンに?ダンジョンって何という疑問が浮かび上がったりしないかエリーナよ?
(え、私も一緒に話を聞い...あ、いや、そうですねすごい気になります)
そうだろう、そうだろう
九日前これは初めて午前の活動を取り始めようとしていた俺にシスターのマリアがこう話しかけてきた
◇
「あんた、これから依頼受けるんだろ?だったらダンジョンに行ってみたらどうだい?」
「ダンジョン?なんだそれ?」
「あんたダンジョンも知らないのかい?ほんとに田舎から来たんだね」
「そういうことだ...で、教えてくれるのか?」
「あぁかまわんよ」
マリア曰くダンジョンとは地下の魔力源泉溜りによって生まれたモンスターを生み出す土地のことをいうらしい
「地形の形は遺跡やら洞窟やら森やら色々さ、ダンジョンで生まれたモンスターはダンジョンの中でしか生息ができない。だからダンジョンのモンスターとそこら辺に生息しているモンスターは別と考えな」
「ダンジョンってのはだいたい分かったがなんでそんなに俺にオススメするんだ?」
「あんた自分の実力と冒険者等級が見合ってないと考えてるね?」
「あぁそうだが...」
シルバー級のカインたちより強いんだから流石にシルバー級以上実力はあると思ってる
「そう思ってるなら早く等級も上げたいんだろ?」
「あぁだから依頼を受けて評価をあげようとしてるんだが...それとダンジョンになんか関係があるのか?」
「あぁ大アリだよ。この近くにあるダンジョンは地下に広がる階層型のダンジョンでね、その踏破した階層によって冒険者ギルドに評価されるんだよ」
「つまり下の階層を踏破するほど、高い評価をもらえるってことか?だけどそんな説明俺受けてないぞ、つーかダンジョンなんて説明もなかった」
「それはあんたがまだブロンズ級だからだよ。かけっぱしの冒険者がダンジョンに入って死ぬ例は昔からあるからね、と言ってもダンジョンの存在なんて小さい子供だって知ってるからギルドが黙っていても行くやつは行くんだけどね」
なるほどな、高く評価されたいがあまりに無理にダンジョンに入って実力不足で殺される
確かにありそうな事故だな
「見たところあんたは自信があるみたいだし、私の目から見てもあんたは悪くない。だからあんたにダンジョンを勧めてるんだよ。ちなみに評価のされ方はコツコツ以来やってるより数倍も高い」
「なるほど...それは悪くないな。......で、もしかしてだがダンジョンに俺を行かせるのにはなんか要求があるんだろ?」
「よくわかってるじゃないか。アンタにはダンジョンに潜ってこれを集めてきてもらいたいんだよ」
そう言ってマリアはポケットから結晶を取り出す
「なんだそれ?」
「まさかとは思ったが魔結晶も知らないんだね。これは魔結晶といって魔道具を動かすための動力源さ。このランプとかも全部この魔結晶で動いてるのさ」
「それを俺にダンジョンで集めてこいって言うことか?」
「そういうことさね、魔結晶を買わずに済むならいいしダンジョンに自分たちでは潜れない。本来なら別の冒険者に頼むとこだがあんたなら無償でやってくれると思ってね」
「あー、なるほどな。...一つ聞くがこれどれくらいで売れるんだ?」
「そうさね...このサイズだったら2個で金貨1個くらいじゃないか」
「そんなに売れるのか...それを無償で...」
「可愛い子供たちの生活にもかかわることだぞ?それでも断るのか...ん?」
「てめぇ...それはずるいだろ......はぁわかったよ、ダンジョン踏破ついでにとってきてやるよ」
「ふっ、ダンジョン踏破に必要な基本的な道具をこっちで用意してやるから頼んだぞ」
「なるほど、そうしてくれるなら無償でも全然構わんぞ。最初から言ってくれよ」
「最初から言ったらお前を試せないだろ。こういうことが大事なのさ」
いちいち面倒なことを...
今のやりとりでマリアからの信頼度が上がったってんなら別に構わないんだがな
──とまぁ、こんなやり取りがあったわけだ
というわけで今日も今日とてダンジョン攻略だ
もう何回も通ったので慣れた道を進んでいきダンジョンの入口まで行く
入口で冒険者カードを提示して中に入る
そしてとりあえずどんどんと下の階層を目指すように走っていく、途中でエンカウントするモンスター達は無視だ
とりあえず下に行く、そして魔結晶が比較的にとれるようになる階層に辿り着いたら真面目に踏破をはじめる
「はぁ...瞬間移動とか覚えてたらよかったんだか」
ないのか?瞬間移動のスキルとか魔法は
(んー...スキルはわからないですけど、確か空間魔法なら瞬間移動が可能だったかと。私転生させるとき空間魔法をアレウスに付与しようしたんですけどね、アレウスさんの魂の強度が足りなくて付与することができなかったんですよねぇ)
「やっぱあんのかそういうの、で俺はその資格がなかった」
(そうですねぇ、ですけどそれはその時点ではって話です!!魂の強度は変化しますから強くすることが可能なのでもしかしたら空間魔法を会得できる可能性はぜんぜんありますよ)
「なるほどな、期待はしてないが会得できるようになることを願うよ」
瞬間移動とか出来るようになればわざわざ一階層からスタートしなくていいしな
ちなみにこんなエリーナと会話してる間もダンジョンで湧いたモンスターたちとエンカウントしてはぶっ殺し続ける
「よしよし、魔結晶を落としたな」
殺したモンスターはダンジョンに飲み込まれ、そこに魔結晶を残していくことがある
これは下の階層にいくほど確率が高くなる。もちろん魔物の強さも高くなっていくのだが
魔結晶とは魔力が高濃度の塊となった結晶だ
モンスターの強さ=モンスターが持つ魔力の強さだから、強いモンスターほど落としやすいのは当たり前の話だな
俺は魔結晶を拾い、袋に入れる
マリアは魔結晶2個でだいたい金貨1枚といってたが質やサイズによっては魔結晶1個で金貨何十枚にもなったりするから恐ろしい
たまに希少な魔結晶を手に入れた時は逆に金に換金して孤児院に寄付することにした
そしてこの魔結晶集めにすごい役立ってるのがこの能力
魔結晶
壁に浮かぶその文字──
そう、俺が持つスキル「調査」による発見だ
魔結晶は壁に埋まってたりするもするのでそれを探すのに利用してる
「とりあえず集めるだけは集めたか...」
袋の中にそれなりの魔結晶が溜まったのを確認する
というわけでこっからは暴れまくる
「おらぁ!!」
手に魔力を溜めて雷魔法を放ち雷撃で現れる魔物たちを焼き焦がしていく
正直この階層のレベルのモンスターだと相手にならない
自分の今の実力がいったいどこにあるのかわからなくて今困っている
これ以上深く潜るとなると帰るのにも時間がかかるようになり午後に帰れなくなる
「1回魔結晶大量に集めて長めの休暇でもとらせてもらうかな」
本気で下の方でも潜りたいならそれくらいとしないといけなくなる
「......そろそろ時間か」
胸からわざわざ買った冒険者用の懐中時計を確認する。帰るの+魔結晶の鑑定で1時間くらいかかるからそろそろ帰らねば
昼ごはんに間に合わないとエレナに心配をかけてしまう
(この前も少し遅れたら大泣きされましたんもねぇ)
まぁな、俺が死んだと思ったってな
子供でもそういう心配するんだ、冒険者はほんとに死にやすい職業なんだろう
そして、ダンジョンを出て冒険者ギルドへと向かい魔結晶の鑑定を行ってもらう
そこそこ量があるので鑑定するのには時間がかかるので冒険者ギルドのシャワールームをレンタルして汗を流し持ってきていた一般着に着替える
それでもまだしばらくかかる
ちょっと街の方でも散歩してみるか、昼ごはんは孤児院でかかるが時間しのぎに屋台で何か買っていくか
「──っとと、」
「危ねぇな!!」
冒険者ギルドから出ると走っていた男とぶつかりそうになる
「おい、見つけたか!!」
「いや、見つからねぇ!!」
ぶつかりそうになった男がどっかから現れた別の男との物騒な会話をしている
そういうことには関わらないのが一番だな
そして俺は最近見つけた冒険者ギルドから屋台通りへの近道で見つけた裏路地を目指す
「──っと、危ね...」
裏路地に入ろうとしたらまたしても人とぶつかりそうになる
だがぶつかりそうになった相手は俺を避けようとした拍子に倒れてしまう
「すまん、大丈夫か?」
深めのローブを被った小柄な身体に話しかける
「──!!──!!」
そしてガバッと俺の方を向くと俺に向けて必死に口をパクパクする
だがそんなことよりも目を見張るものが俺の目に映っていた
そのローブの正体は少女であった、そしてその少女の瞳は金色に光り輝いていた
(これは...魔眼ですかね?)
「魔眼??」
(はい、スキルと考えていただければいいんですが特殊な能力を有したものと考えていただければかまいません)
「そうか...っと、そんな話してる場合じゃないな。おい落ち着け...何が言いたいんだ」
俺は少女の肩を掴んで話しかける
だが少女はパクパクとして何も言わない
「これは...そういうことか。クソなんなんだよ」
俺は回復魔法を応用して少女の状態を調べた。結果はひどいものだった
この少女は喋ることが出来ない、さらに酷いことに耳は聞こえないし目は見えていない状態らしい
人間としてのコミュケーションツールをほぼ失った状態だ
そしてもっと悪いのは俺の回復魔法じゃ治せないということ。神経がいかれてるとか身体の損傷なら修復可能だが何故か治せない
ふと、さっきのことを思い出す
何かを探していた男たち...
「......はぁ、関わりたくないって言ったんだけどな」
なんとなくだがこの少女はさっきの奴らが探してたものだと思う
関わりたくないならこの少女を置いてどこかへすぐに行くべきだろう
だが怯えたように必死に俺に何かを伝えようとする少女──
「ったく仕方ねぇか。悪いが少し寝てもらうぞ──」
俺は少女の首に手刀をおとして彼女を気絶させる
そして俺は彼女をかついで孤児院の方へと急いで向かった
誰とは言えませんがやっと出せたって感じです。こっからいいリズムでかけることを願います