街につきました
よろしくお願いします
「アレウス、お前冒険者になったらどうだ?」
街に近くになってきた時に俺が助けた冒険者の一人であるカインが俺にそう言ってくる
冒険者か、確かに金を稼ぐ必要があるし候補としてはありかもな
「冒険者になればこの冒険者カードでどの街も税金なしに入れるぞ」
「え、街に入るのに金が必要なのか?」
「当たり前だろ、お前どんだけ田舎から来たんだよ。それくらい当然だぞ?」
「まじかよ」
俺はもちろん無一文だ。え、俺街に入れるの?
「もしかしてお前金持ってないのか?」
「あ、あぁ...自給自足で何とかやってきたから」
「なら助けてくれた礼に払ってやるか。アレウス強いんだし、冒険者になっても損はねぇんじゃねぇの?」
「本当か、それは助かる。それで冒険者になってリスクとかあんのか?」
「あー...あるとすれば今日の俺たちみたいに命の危険があるってことか?あと国の保障が受けれないってってことぐらいか?冒険者ってのは国境の存在しない自由業だからな」
別に大したリスクじゃないな
あの程度の敵だったら余裕で戦えることはさっき証明済みだしな
それに国の保証も...老後は心配だけど、それまでに稼げば問題はないのか
それに何にも縛られない自由業ってのはかなり好ましい
「だったらなってみるか」
「おっ、それじゃ街に入ったあと一緒にギルドの方に行こうぜ。俺達も今回の依頼の達成報告をしないといけないからな」
カインたちに色々してもらうことになるけど、命を救ったことに対するお礼だということならこっちも気が楽で済む
そしてしばらくして街の入口にあたる門にたどり着き、通行税を代わりに払ってもらい街に入る
(へぇ、結構大きな街なんでしょうか?かなり賑わってますねぇ)
頭の中でエリーナがそんなことを言う
確かに門をくぐった瞬間人々の活気をとても感じた。エリーナの言う通り結構大きな街なのかもな
そして護衛任務の完了を伝えるために全員で冒険者ギルドへと向かうみたいだ
ちょうどいいから出来たら冒険者登録もしてみよう
「アレウス、ここがこの街ブリストンの冒険者ギルドだぞ。どうだ、すごいだろう?」
カインが自信満々に俺に冒険者ギルドの建物を紹介する
確かにこの街にあるほかの建物と比べたらかなりのサイズだな
どうしてカインが自信満々なのかはわからないけど、自慢したくなるのはわかる
「すげぇのはわかるけど、なんかなぁ...」
「はは、まぁガラが悪い奴らばっかなのは目をつぶってくれ」
さっきから冒険者ギルドを出入りするヤツらは出で立ちや表情がいかつい奴が多い
目を合わせただけで絡んでくる、そういうことを本当にしそうな奴らばっかだ
ギグスとエイルは馬車の見守りとして残るようだ
冒険者ギルドの中には俺とカイン、そしてカインたちの雇い主である商人のエドさんが入ることになる
「はっは、冒険者の方々はいつも元気がありますな」
エドさんは商売柄こういう荒っぽいヤツらにも慣れてるのだろう
そして俺はカインとエドさんの後ろにつきながら冒険者ギルドの中へと入っていく
中に入るが雰囲気は悪くない、確かに荒くれ共がいっぱいだが騒がしいだけで物騒って感じはしない
もちろんその中には関わったら面倒なことになりそうなヤツらもいるが、そこは関わらなければ問題はない
「受付嬢さん、依頼処理と、こいつの冒険者登録を頼んでいいか?シルバー級冒険者カインの推薦で頼む」
受付カウンターまで行くとカインがさっき見せてくれた冒険者カードを差し出し色々と話をはじめる
「冒険者って推薦がないとなれないもんなのか?」
「いや、なるのには誰でもなれるぜ。だけどシルバー級以上の冒険者からの推薦があればコッパー級をとばしてブロンズ級からスタートできるし初年度の登録税もなしになるから色々便利なんだよ」
「なるほど、色々と楽になるってわけか。それは助かる」
「いいってことよ、ほらお前は向こうで登録してこいよ。その時に色々冒険者について聞いてこい」
俺はカインの言う通り受付嬢さんの案内のもと冒険者登録を始める
「ではこちらの用紙にお名前、性別、そして年齢の方のご記入をお願いします」
俺は用紙とペンを受け取り言われた通りに書き込んでいく
「それではアレウスさん、御手数ですがこちらの方に血を一滴落としてもらっていいでしょうか?」
「血を?」
受付嬢さんが指さしたところには用紙の3分の1ほどを占める魔法陣、なんだろうと思っていたがまさかここに血を垂らすことになるとは
「これはいわゆる個人登録でございます。この魔方陣に血液をたらして頂くことでアレウスさんの個人記録を冒険者ギルド本部のデータベースに保存することが可能です」
用途でいえば冒険者が問題を起こした時の特定とか、もしくは危険な仕事であるため個人特定が出来ない死体などの照会とかに使われるらしい
(ふむふむ、どんな理論かは詳しくわかりませんがいわゆる指紋登録みたいなものでしょか?)
考えとしてはエリーナの考えで外れてはないだろう
俺は受付嬢さんからナイフを借りて自分の親指の腹を切って魔法陣に血を垂らす
垂れた血は用紙に吸われていき魔法陣の輝きと共に消えていった
何かわからないけど、結構すごいことが目の前で起こってたりして
俺は回復魔法で親指の傷を治しながらそんなことを考える
「では、次は冒険者カードを作成させて頂きますね。アレウスさんはシルバー級冒険者カインさんからのご紹介ですのでブロンズ級からのスタートとなります」
「その等級制度について詳しく教えてもらってもいいか?」
「えぇかまいませんよ。冒険者の方々にはそれぞれ等級がございまして、下からコッパー、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤ、そしてブラックという順番になっております。冒険者のみなさんにはこの等級に応じた依頼をこなしていただくことになります」
「昇級の制度とかはどうなってるんだ?」
「はい、昇級の条件はこなした依頼の数やその内容の審査のもと、半年に一回昇級依頼というものを受けられる権利がございます。特例としてはギルド長推薦で上がれる場合がございます、これは実力があるのに等級があまりにも低い時などですね」
なるほど、だったら俺もその特例が適応される可能性はあるな
(シルバー級のカインさんたちが苦戦するモンスターを一撃ですもんね。最低でもゴールド級の実力はあるんじゃないですか?)
それくらいはありそうだな、昇級して得があるならなるべく昇給はしておきたいとこだ
「では、先程用紙に書いて貰った情報のもとカードを作成させていただきます」
受付嬢さんが真っ白なカードをさっき血を垂らした用紙の魔法陣の上にのせる。そして白かったカードは銅色に代わり色々と文字が刻まれていく
「はい、これで冒険者カードの作成は完了です。これでアレウスさんも冒険者ギルドのメンバーとなりました」
俺はカードを受け取り、書かれている内容を確認する
表きは冒険者ギルドのマークらしき紋章と俺の名前、そして裏には冒険者ギルドの規則が書かれている
「昇級されると様々な特典が得ることが出来ますので頑張って実力を付けて昇級を目指してください。依頼はいつごろから受け始める予定でしょうか?」
「そうだな、できるだけ早めには受けたいと思う」
「そうですか、受ける時はあそこの依頼ボードで依頼を確認し、依頼書を受け付けに持ってきていただければ依頼を受理できますのでよろしくお願いします」
「わかった、じゃあありがとう」
俺は礼を言ってその場を離れカインとエドさんがいるとこに向かう
「お、アレウス終わったのか?」
「あぁ無事に終わったよ」
俺はさっき貰った冒険者カードをカインに見せる
「うっし、これでお前も俺たちと同じ冒険者だな。俺たちと一緒ならシルバー級の依頼も受けれるから組んだりもしようぜ」
「あぁそうだな、ブロンズ級の依頼が物足りなかったらそうさせてもらう」
「お前だったらシルバー級の依頼でも物足りなく感じそうだけどな」
「そうですな、アレウス様でしたらゴールド、いやプラチナ級の実力をありそうですし」
「やっぱエドさんもそう思うか?アレウス、お前がプラチナ級とか言ってくれたら俺も推薦者として鼻が高いから頑張ってくれよ」
カインが俺の肩に腕を回して楽しそうに笑う。カインよ、お前も冒険者なんだから頑張れよ...
俺たち3人は冒険者ギルドでの用事が終わったので外で待ってるエギルとギグスたちの所へいく
「うし、じゃあアレウスとりあえずお前とはここで一旦お別れだな」
「あぁそうだな、しばらくギルドに通うと思うから会った時はよろしく頼む。推薦してくれたのは助かったよ」
「ははっ、命助けて貰ったんだ。それくらいじゃ足りねぇくらいだからこれからもちょくちょく手伝わせてくれ。シルバー級とブロンズ級とじゃ報酬にかなり差があるから金に困った時は俺たちと一緒に依頼受けようぜ」
「あぁそんときはよろしく頼む」
俺はカインと握手を交わす。その後エイルとギグスとも言葉を交わし握手する
「アレウス様、この度は助けていただき誠にありがとうございます。急いでいたがために命を危険に晒すとは、今回のことでたいへん反省しました。そしてこちらなのですが、命を助けていただいたお礼に」
そう言ってエドさんは俺に小袋を渡してくれる。音と感触から察するに多分中身は金だ
「いいんですか?」
「えぇ命以上に大切なものはありませんから。それに私は商売人、アレウス様にこれくらい渡しても私のこれからの商いを考えますと利益となりますからお気になさらずに」
「でしたら、ありがたく頂戴します」
「えぇそうして頂けると私も幸いでございます。そしてもし困ったことがありましたら、しばらく私はこちらにいますので私の店へいらしてください。支店ではございますがこの街1を誇るほどの規模でございますからアレウス様のお力になれるでしょう」
そう言ってエドさんは俺にエドさんの店の場所を教えてもらう
とりあえずエドさんからお金を貰えたのは大きい、これからの活動に大きな助けになるからな
そしてもう一度全員と挨拶を交わして、俺はエドさんたちの馬車を見送る
(なんというかエドさんを見てると奴隷商人って感じしませんよね。なんか奴隷商人ってもっと悪いイメージありません?)
「まぁ確かにな。なんつーか奴隷って割とこの世界では普通のことだったりしてな、奴隷の権利とかそういうのがしっかりしてたりとか」
(どうなんでしょうかねぇ、あの馬車に乗ってるみなさんを見てる感じ奴隷になって絶望、って感じはしなかったんでそこまで悪くは無いのかもしれませんね)
「まぁならないのが最善だけどな」
(そうですねぇ...あ、そういえばなんですけどあの馬車にいた奴隷の一人に不思議な人いましたよね。ずっとフード被ってた人なんですけど)
「確かにそんな奴いたな」
確かにずっと馬車の隅でフードを被りながら一言も喋らずに座ってる奴がいた
なんか悪いが1番俺の奴隷というイメージに合っていた
まぁそんなこと気にしていても仕方がない
とりあえずこれから色々と忙しくなりそうだ
(ここで新たなる1歩を踏み始めるとこですけど、何したらいいかわかりませんね)
「.........」
とりあえず冒険者ギルドの中に戻ることにしました。
お読みいただきありがとうございます