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95話・どんなルートでも受け入れる


彼ら(モンスターたち)の憎しみが、押し寄せてくる。


やがて、扉が解放され。

その先から、ありとあらゆる暴言が飛んできた。


「きたな!クソガキが!」

「その細い体を、バラしてやらあ!」


怒りの軍列が、一歩一歩と、シュタハス一行へ詰め寄ってくる。


レ二ズとワイズは、この張り詰めた空気に、圧されてしまった。

ここに至って、まさかの暴動…という、最悪の状況。


しかし、こんな絶望の中であっても。

シュタハスは、顔色一つ変えることなく。

ポンッと、その小さな手を、ワイズの頭に乗せた。


「ふぅ、大丈夫。ピンチは希望だから…」


そう言って彼女は、モンスターたちの元へ行く。


「?!」

その無謀な行動に、驚いて言葉を失う二人(レ二ズとワイズ)。


案の定、彼女は、モンスターたちに囲まれてしまった。


ワイズが後ろから、暴走を止めようとする。


「やめろ!彼女のせいじゃ…」

と、言いかけたとき、殺伐たした空気に異変が起きた。


そう、モンスターたちは皆。

彼女一人を囲んだまま、痙攣したように、沈黙していたからだ。

 

 シュタハスが、両手を広げて、やんわりと問いかけた。


「どうしたの?いいんだよ?」


瞳に輝く、黄金の色…

その眼差しはきっと、彼らの、どのような選択でも…受け入れるのだろう。


そう、この視線。

この黄金の瞳が、モンスターたちを、震え上がらせるのだ。


幻想的な空気が漂い、、皆の背筋が固まってゆく。


 一人、また一人と、モンスターたちは頭を垂れる。

そして、ただひたすら、許しを乞う。


だが、しかし…彼女は沈黙したままで。

それどころか、微塵の怒りすら、感じていないらしい。


自分に対する、彼ら(モンスター)の暴動など…

まるで、子供の悪戯に等しく、眼中にすら捉えていない。


 そして、シュタハスは、群れの向こうにいる、破壊のドラゴン…フラムに視線を流す。

遠目からでも、その威圧感は十分。

フラムの心臓が、緊張で跳ね上がる。


だが、つぎの瞬間…シュタハスの表情が一変。


 穏やかな黄金の瞳が、途端に険しくなった…

その鋭い視線に、フラムの体が凍りつく。


「フラムッ!うしろ!!!」


精一杯声を上げて、シュタハスが警告する。

言われるまま、フラムは、とっさに振り返った。


すると…


 彼の後ろには、氷結のドラゴン…グラスが立っていた。


ついさっき、グラスは、死んだはずなのに…

もう、フラムの目先にまで、迫ってきている。


死んだはずのグラスが、起き上がったことに、思考が追いつけない。


 そして…

グラスの口からは、ダラダラと…

緑の涎(液体)が溢れて出て、その眼は狂気に染められていた。


このとき、シュタハスが大声で警告する。


「感染しているわ!フラム、にげて!」



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