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90話・天然パーマがペッシャンコ


 癖っ気の強い白髪に、二本のアホ毛…

下敷きになっていた少女は、シュタハスだった。


「シュタさま?!」


ワイズは、オークの死体に駆け寄ると、彼女シュタハスの救助に挑む。

レ二ズもワイズの背から降りて加勢する。


シュタハスは、二人に気づくと、虚ろな瞳を上げた。

「ふぅ、ごめん…うごけないの」


「ん、ああ!そうでしょうねぇ!」

レ二ズは奮闘しながら、彼女の手を引っ張てみるが。

圧し掛かっているオークが重すぎて、ビクともしない。


「レ二ズ、まだか?!」


感染モンスターの群れが、ジリジリと迫ってきて、ワイズとレ二ズが焦り始める。


「やってるよッくそったれ!!」

レ二ズが奮闘するものの、そう簡単には、彼女を引っ張り出せず。


 なんとか、彼女の上半身までは、自由になった。

だがそれでも、太ももから下の脚が、完全に引っかかっていた…


やがて、感染者の群れが、三人を完全に包囲すると。

緑の涎を垂らしながら、攻撃の態勢に移った。


 ワイズが壁となって、感染者の注意を引きつけるが。

所詮は悪あがき、時間稼ぎにすらならない。


「レ二ズ!!!」


いくらワイズが怒鳴ろうとも、レ二ズの方に進展はない。


少女一人も救出できず、もはや積みの状況。


だが、このとき…


 シュタハスが、とあるモノを指さした。

それは、隣で転がっていた、ゴブリン兵の死体だった。


「彼の、短剣をっ!」

どうやら、ゴブリン兵の死体から、短剣を取って来い…との事らしい。


突拍子の無い命令に、レ二ズは呆けてしまうが…


すぐさま命令通り、ゴブリン兵の死体を物色した。


そして、死体の懐から、短剣をもぎ取ると。

オークの下にいる彼女の元へ、戻っていく。



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