83話・目覚まし時計!ゴーレムくん☆
レ二ズは、退屈を持て余しながら。
ゴーレムの「ゲイル」に、声をかけてみた。
「おい、石ころのモノマネか?」
ゲイルは一言も発さず、山のように沈黙している。
彼は、通常のゴーレムの3倍もの体格を持っている。
通常のゴーレムは、4メートル級。
その3倍という事は、軽く12メートル以上になるわけだ。
その上、「擬態能力」も備えており、山のような岩石にも変形できる。
この形態(岩石)の状態では、感覚が機敏になり。
遠くの危険さえも、察知することが可能だ。
つまり、岩の形をした「レーダー」とも言えるだろう。
岩石の姿のまま、警戒を続けるゲイル。
そんな彼を見ながら、レ二ズは相方に喋りかけた。
「アイツら、おせえなぁ。バーベキューでもやってんのか?」
「かもね…」と、ワイズが一言かえす。
時刻はもう、深夜に差し掛かっていた。
作戦によると、偵察チームが、夕方までに帰ってくる手筈だったが。
一向に、彼ら(偵察チーム)の姿が見当たらなかった。
それから数時間…
長い監視によって、防衛隊のメンバーに、疲労が蓄積してゆき。
ジワジワと、眠気が襲ってきていた。
レ二ズは、瞼を擦りながら、何とか踏みとどまる。
だが、徐々に意識が薄らいでゆく。
どうやら、眠気を我慢しているのは、レ二ズだけではないらしい。
真面目なワイズも、他のメンバーだって、今にも眠りこけそうだ。
だが、そんな平穏を、蹴り飛ばすように。
一発の轟音が、皆の目を覚まさせた。
当然、防衛隊のメンバーたちは、辺りを警戒している。
「くるぞ!おきろ!!」
この轟音の正体は、ゴーレムのゲイルだった。
どうやら、大きな音を立てて、皆を起こそうとしたらしい。
今の彼は、ゴーレム形態で、戦闘態勢にシフト(変形)していた。
「ゲイル、なにが起き…」
オークの一人が、問おうとした時。
グシャリ…
生々しい音と共に、そのオークの首が、地面に落ちた。
首を失ったオークの体が崩れる。
その死体を、同族のオークが、見下ろしていた。
口から「緑の液体」を垂らしながら…




