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53話・真の使い手


 今、この状況において。

アントスにとって、危機になるモノはない。


しめた!

すぐさま、アントスは、風のメイスに飛びついた。


彼の手に渡った途端…

風メイスの柄が、ほのかに温かくなった。


この瞬間、アントスは、吹き荒れる嵐をイメージする。

ゆえに、自覚した…

この武器(風のメイス)は、自分の事を待っていたのだと。


巨大クモと灰色ゴブリンには、気づかれていない。

奇襲をかければ、きっと成功するだろう。


 だが、しかし。

あの少女の、黄金の瞳が、脳裏に浮かんできって。

とっさの判断を鈍らせる。


アントスが、兵士から、タコ殴りにされた時。

彼女は、身を挺して、庇ってくれたではないか。


そうだ。


立ち止まっている暇などない。

次は自分が、彼女を救う番なのだから。


それに何故、彼女が、「このメイス」を持っていたのかも…

使い手だった「リピス」の仲間として、知る義務がある。


色々な謎が、霧に隠れているが。

少年の身も、危ういのだから、モタモタしている場合ではない。


そうと決まれば…


 アントスは、風のメイスを手に、収容所の洞穴を見据えた。

そして、足を踏み出し、洞窟へ降りようとした時。


「待ちな」

軽い声が、アントスの背を、呼び止めた。


その声の主は、「灰色のゴブリン」だった。


ついさっき、奇襲してきたくせに。

まるで、知り合いのように、語り掛けてくる。


流石にアントスも。

ゴブリンがここまで「人間らしく」話すとは。

想像すらしていなかった。



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