49話・モンスターご一行!ご案内!
「グォオオオオオオオオオオオオオ!」
ドラゴンの唸り声が、天まで届き。
ドドドドド、と…森全体が震えてゆく。
ただし、この揺れの他に。
また違った、揺れがもう一つ。
次第に大きくなる、揺れの規模。
どうやら、ドラゴンの他に、「何か」が接近しているみたいだ。
この揺れを、身で感じながら、アントスは感づく。
『足音か?』
だとしたら、その足音の主は、個人(一人)ではない。
きっと、何らかの集団の筈だ。
大量の足音は、さらに規模を増し。
ついに、集団の足音が、深淵洞窟の目先にまで迫った。
動揺してしまう、軍服の老人。
だが、それでも、指揮官として、部下達へ命令を飛ばした。
「なにか、が来ている!横縦陣形っ!」
「上空のドラゴンにも警戒!」
軍服の老人(司令官)の指示通り。
兵士たちが、マニュアル通りの陣形をとった。
一直線の縦陣形。
兵士たちは、一斉に銃を構え。
足音の響く方角へ、集中的に警戒する。
相手が分からない以上。
下手に発砲する訳にはいかない。
が、しかし…相手を確認する暇もなく。
ボォン!
拡散する爆発音と共に、正面の木が粉々になった。
瞬間、その隙間から…
雪崩れの如く…
ありとあらゆる「モンスター」が、突撃してきたのだ。
スライムやオーク、それにゴーレムなど。
多様なモンスターが、一丸となって、襲撃してくる。
百体、二百と、倍単位でモンスターの量が増し。
モンスターの壁が、兵士たちと衝突。
対する兵士たちは、悲痛な叫びをあげながら。
ひたすら銃撃で、対抗する他ない。
「ちくしょおおおおお」
降り注ぐ、弾幕の雨。
スライムが爆散し。
ゴーレムの岩の体が沈み。
オークは、蜂の巣となった。
それでも、モンスターたちの猛攻は、留まることをしらない。
数の暴力により、モンスターたちは、相手(兵士たち)の懐まで攻め込んだ。
近接戦闘ならば、ゴーレムやオークに軍配があがる。
しかも、兵士たちの武装は、ライフルのみ。
格闘戦になった途端、攻守が逆転…モンスター側の優勢となった。
一人、また一人と、なぎ倒される兵士たち。
軍服の老人は、著しい展開に、完全に動揺していた。
しかし…
この騒ぎの発端である「破壊と烈火のドラゴン」だけは。
一切手を出すことなく、上空から、争う群衆を見物していた。
また、ドラゴンの視線は、キョロキョロと動き。
まるで、その様子は、「探し物」をしているようだ。