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43話・オレンジの道を逝く


 一台の馬車が、荷車を揺らしながら。

薄暗い、森の中を進んでゆく。


荷車のそうめんには『聖なる花』の印があって。

白い防護服を着た兵が、二人ほど、護衛をしているみたいだ。


夕暮れの灯りによって、森の道は、オレンジ色に染まっている。


馬車はお構いなしに、荒々しく揺れ。

その荷車の中では、捕まった人々が、縮こまっていた。


 その人数は、五人ほど…

お年寄り、物乞い、そして少年が一人。

残りの二人は、アントスと…黒頭巾の少女だった。


どうやら、この馬車は…

マシュルクの生き残りを、どこかに連れていくつもりらしい。


また、二人の兵士が、監視についており。

ライフルを抱えながら、冷たい視線を向けてきた。

その眼差しは、まるで「家畜」を見るようだ。


皆が(五人)、恐怖で震えているが。

アントスだけは、未だに、気絶しているみたいだ。


片方の兵士が、老人に銃口を向け、舌打ちをする。

「ちっ、きたねぇな」

その冷酷な言葉に。

老人は、顔を真っ青にして、口をパクパクさせる。



 少年は、荷車の片隅で、小さく震えながら。

怯えたように、視線を泳がせていた。

まだ、8歳くらいの子供まで、摑まってしまったようだ。


そんな少年へ、一歩離れた所から。

黒頭巾の少女が、優しく手を差し伸べ、ゆっくりと微笑んでみせた。


のんびりとした、優しい笑顔…

その笑顔を見て、少年の体から、少しだけ緊張が和らぐ。




 そして、揺れる荷車にて。

ようやく、アントスがお目覚めのようだ。


「うぅ~ん?」

アントスの視界が、クリア(鮮明)になってゆき。

ボンヤリながらも、アントスは、意識を取り戻した。


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