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39話・銃声が響くと…花が散る


一切の容赦なく、妻が襲いかかってくる。


アントスが夫として、覚悟を決めた、そのとき…


ズガァンッ!


 一発の銃声音が、部屋中に響いた。


その銃声が響くと、妻の叫びが、ピタリと止まって。

同時に、妻の倒れる音が、聞こえてきた。


銃声が消え去り、戻ってくる静寂。


シーンとした空気のなか、アントスは慎重に、妻へ視線を移す。


すると、目に飛び込んできたのは。

緑の液体が、床一杯に散らばった有様。


そして、緑の血溜まりに、首なしの死体が倒れていた。

死体の頭は、銃撃によって、バラバラに爆散しており。

アントスは一目見て、「妻」の死体だと察する。


妻の無残な姿に…

アントスの中で「何か」が吹っ切れた。


 一方、黒頭巾の少女は、玄関を直視したまま。

その表情(黄金の瞳)を、少しばかり、強張らせている。


玄関には、「謎の男」が三人…

ライフルを構えて、突っ立っていた。


大柄な男が三人、銃を抱えて、立っていたからだ。


男たちは、真っ白な防護服で、全身を護っており。

顔までも、ガスマスクで保護している。


防護服の背中には、「白色の華」の印。

彼らはきっと、特殊な組織なのだろう。


中央に立つ男のライフルから、煙が立ち昇る。

「こちらも、クリア(作戦完了)だな」


男たちは、鼻で笑いながら。

「滑稽なほど、哀れだな」

ただ冷徹に、言い捨てた。


 撃たれた妻、銃を構える男たち…

『コイツらが!殺したのか!!!』

ピースが揃った瞬間、アントスの体に電流が走った。


「うおおおおおおおおおお!」

怒りと憎しみに、身を委ね、彼は力の限り吠えた。


もう、止まりはしない。

銃を相手に、真正面から、突っ込んでいく。


 対する、男たちは、冷静に対処をしてくる。


右側の男が、懐から「小銃」を取り出す。

そして、一寸のブレなく、アントスに照準を合わせた。


アントスを撃つのに、何の躊躇もない。

流れ作業のように、簡単に引き金を引く。


小銃の尖端には、消音機サイレンサーが装着されており。

この小銃の銃声は、ほぼ皆無に等しかった。


アントスは、自分が撃たれた事に気づかず。

そのまま、突撃するも…

途端に、体が痺れて、「眠気」が襲ってきた。


さらに、視界が霞み、意識が虚ろになってゆく。

激しい脱力感…「麻酔銃」に、撃たれたと気づくが。


時、すでに遅し。

「う…あぁ…」

アントスは、床へ崩れ落ちる。

それでも必死に、痺れる手を、息子と妻の死体へ伸ばす。


だが、その手は、届くことなく。

彼の意識は、完全に途切れ、ブラックアウトする。



 すると…


気絶したアントスの元へ。

黒頭巾の少女が、駆け寄ってくる。


頭巾の奥にある、黄金の瞳は、僅かながらに揺れており。

彼女(黒頭巾の少女)の焦りが、その瞳に現れていた。


少女は、小さな手で、アントスの腕を掴むと。

「ふぅっ!うー!」


倒れたアントスを、運ぼうとするが。

大人のアントスを抱えるには、明らかに力不足だった。


ピコピコ…と動く、黒頭巾の少女へ。

右側の男が、麻酔銃の照準を合わせる。

そして、またしても冷静に、引き金を引いた。



「ふっ…あ!…うぅ」

小さな呻き声が、少女の口から漏れてゆき。


ポトン、と優しく。

小さな体(黒頭巾の少女)が、アントスの上へ乗っかった。


 謎の男たちの前に、アントスと少女は倒れ。


気絶した二人を、男たちは、荷物のように担ぐ。


左側の男が、黒頭巾の少女を、肩に乗せてから。

「ガキも、お持ち帰りか?」と、皮肉混じりに呟く。


中央の男は、とくに言い返さず、黙って頷いた。


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