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169話・昇る太陽


 清々しい「朝日」が…長い戦いの終わりを告げた。


ドームの天井は、すでに穴だらけ…

その傷跡から、黄金の太陽が顔を覗かせる。 

黄金色の日差しが、ポツポツ、と…「白い花壇」を照らしてゆき。

辺り一面が、穏やかな空気に満たされた。


 この感覚は、かつて…

息子と一緒に、味わった空気に似ていて…


懐かしい感覚へ、身を任せるよう…孤独な父親アントスは。


 温かい空気を、受け止めるため。

頭にある「ガスマスク」を脱ぎ捨てた。

この瞬間まで、彼と共にあったソレ(ガスマスク)が、花壇の上に落ち。


平凡な素顔を晒して、腹の底から…空気を吸い込んでみた。


 好きなだけ呼吸をしたって。

何の害もなく、美味しい空気で、腹が一杯になった。


 そう、Pウイルスは、完全に消滅しており。

研究所をはじめ…

開花の森全体が、穏やかな太陽の日差しを受けてゆく。





 そして、フロラシオンの消滅は…「死の惨劇」の終わりの合図。


エルフの都…マシュルク。


実験場である…深淵洞窟。


モンスターの領域…シュタハス神殿。


 Pウイルスによって壊滅した、ありとあらゆる領域が平等に…

黄金の朝日に、照らされてゆき。


 苦しみと絶望に満ちた「悲鳴」も…

一切無慈悲な感染の「絶望」も…穏やかな空気が一蹴してゆき。


 勇者や戦士、エルフ…そして、モンスターに人間。

殺意と狂気に支配された彼ら(感染者)は皆…

一人、また一人と「自我と正気」を取り戻した。


 Pウイルスの消滅によって。


 皆が肌身で、太陽の心地よさを感じ。

晴天の空の下で、仲間や友人、家族の無事を祈って、右往左往してゆく。


 膨大な量の死にあふれた「パンデミック劇場」。


この悲劇は…Pウイルスの消滅と共に、閉幕を迎える。



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