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152話・花の下で…兎は眠る


 ヘルツの計画は、残酷極まりなく。

「生贄」を捧げる事によって…

シュタハスを降臨させようという内容だった。


 計画の実行にはまず、条件に適した「領域フィールド」を確保。

そして「生贄」と「領域」…二つの条件をクリア(達成)する事によって。

彼の野望「シュタハス降臨」の条件が満たされる。


 手順と計画さえ、分かってしまえば、後は欲望に従うのみ。


ヘルツは、その日から「穏便」に動き出す。

周囲の人間(邪魔者)に、悟られぬよう。

夜な夜な…ひっそりと、少女たち(生贄)を連れ出してゆく。


「遊びにいこう」

そう優しく囁き、幼き心を欺きながら。

一人、また一人…と、白い花壇に、少女たちを招き入れた。



 生贄の意味は、至って単純。

それは「殺される」運命にあること。


 被検体(少女たち)の殺害は、計画の必須条件なのだが。

想定通りに進まないのが…計画というモノだ。


そう、被検体の殺害にて、さっそく壁にぶち当たった。


 何故ならば、彼女らの「生命力」は常識を逸脱しており。

ヘルツの想像(予測)から、遥かに遠い次元にあったから。

つまり、少女たち(被検体)は皆。

生物離れした「再生能力」を、保有していたのだ。


 もはや、その再生能力には、常識や理屈も通用しなかった…


彼女らの小さな頭を、いくら破壊しようと。

何十回、何百回…と、石やハンマーで、頭を叩き潰そうと。

潰された頭が、瞬く間に「自己再生(治癒)」されて…

ケロッとした表情で、何度も起き上がってくる。


 これらの過程と結果を踏まえて。

ヘルツは一旦「物理」での殺害を断念した。

そして…

次の一手から、趣向を変えてみる事にする。


 まず、被検体の血液から、遺伝情報を摂取してから。

新型の「薬品」を、開発したのである。

この薬には、被検体の細胞を「分解」「死滅」させる効力があった。


 彼はコレ(薬品)を、独自で品質加工してゆき。

やがて「注射器」として改良…完成させた。


この注射が、彼女ら(被検体)に与える影響は凄まじく。


 注射器に襲われた、少女たちは…

深い眠りに落ちるよう、その命を静かに散らせていった。

いくら不死の力(再生力)を持つ、彼女らでも。

このアンチ(注射)に対しては、狩られる兎だったのである。


 ヘルツに殺された少女たちは、生贄(肥料)として…

白い花壇の冷たい底へ、埋められてしまう。


被検体たちは、明確な「死」に直面し。

ようやく、自分たちが生まれた訳を知った。


 子羊たち(被検体)は、怯えて震えながら「祈る」事しかできない。


その小さな手を合わせて…

再生のシュタハスに、僅かな希望を求め続けた。



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