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146話・絵本好きの少年

一章よりも以前の時間軸になります。

どうぞ、よろしくお願いします。


20年前…世界が混沌に堕ちた。


巨悪の化身は、空から降りてきて。


「沈黙と氷結のドラゴン」が、天を凍らせ…


「破壊と烈火のドラゴン」が、大地を燃やす…


何千、何万、何億もの、戦士や勇者たちが、二頭のドラゴンと戦った。


だが、しかし…

相手ドラゴンの力は、強靭、無敵…そして最強。


 多くの者共が、塵となって、消えていった。


 天と地が制覇され、幾多もの国が崩落してゆく。

やがて、エルフの都市「マシュルク」にも、魔の手が迫ってきた。


 建物が燃え盛り、街が火の海と化す。

そして、隕石の雨が、頭上から降り注いでくる。


 そんな地獄にて、一人の少年が走っていた。


焦げた空気を、肌で感じながら。

少年は、一冊の「絵本」を、大切に抱きしめて…変わり果てた空を見上げた。


 まるで、スケート場が、空にあるような景色。

絵本のような絶景に、少年は見惚れ、逃げるのさえも忘れてしまう。


 このとき、冷酷な現実が、容赦なく降ってくる。

赤い点々が点滅して、次第に大きさを増してゆく。

そして…大きな隕石が、少年の視界を覆い尽くした。


 ただ一直線に、落ちてくる脅威。

少年は逃げる事なく、その目を輝かせている。


つぎの瞬間、体がフワリと浮いて、音すらも聞こえなくなった。





 突然、視界が真っ暗になり…少年は、キョロキョロしてしまう。


だとしても「絵本」だけは、大切に抱えている。


すると、暗黒の空間の向こう。

まっすぐ進んだ先にて、白いトンネルがあった。


 トンネル奥から、白い明りが手招きをして…少年の好奇心を、惹きつけてきた。

彼は感情のまま…駆け出してゆく。


 トンネルをくぐると、不思議な世界が待っていた。


この世界では、花たちが唄を奏でて。

まるで人のように、花々が、踊り行進をしている。


見渡す限り、どこを見ても、花壇ばかり。

一つも同じ花は無く、色彩豊かなオンリーワン。


 しかも、天に広がる空さえも、美しき花に埋め尽くされていた。


少年は、喜びのあまり声を上げた。


「すごいや!」


「シュタハスだ!!ほんとうに、あったんだ!」


 『シュタハス』というのは…

彼が大好きな「絵本」で、今…手に抱えているモノでもある。


 この「不思議な世界」は、絵本の挿絵と瓜二つ。


大好きな、絵本に入ったのだと…彼は心を躍らせた。



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