134話・癖毛へアーと機関銃
研究所・南区…「コントロール室」にて。
壁一面に、大量のモニターが並んでいる。
ズラリと列を成す、液晶の画面は、およそ200機以上。
こんなにも、数だけは、揃っているのに。
一つとして、起動している、モニター(液晶画面)はない。
コントロール室の機材は、全て機能を失っており。
空間そのものが、シーンと沈黙していた。
そんな中、二本のアホ毛を、揺らしながら。
その黄金の瞳で、シュタハスは、モニターの壁を眺めていた。
真っ暗な画面は、ただ虚しく。
とっくの昔に、研究所が終わった事を、物語っている。
音もない空間(コントロール室)にて、彼女の足音だけが鳴る。
そして、その小さな足音が、とある装置の前で止まった。
この装置、研究所を操作する…言わば、リモコンの役割を担っていた。
構造は、円盤型のテーブル。
テーブルの上には、スイッチやレバーが並んでいる。
しかも、音声マイクなど…多様なシステムが揃っていた。
ボタン配置が、星の数ほどあって。
どんな技術者でも、気に病んでしまいそう…だが。
シュタハスは、その小さな手で。
これらのシステムを、自分の手足の如く、スラスラと操作してゆく。
そして…わずか数秒足らずで。
モニターが起動、液晶の映像が、映し出されていく。
彼女の操作により、研究所のシステムが復活…
続いて、他のシステムも起動した。
シュタハスは一通り、機能を復旧させると。
「ふぅ」
いつものように、一息ついてから。
近くのデスクチェアに、適当に座った。
ゆったりと椅子に座りながら、とある「小物」を懐から出す。
ソレ(小物)は、子供用のヘアブラシで、ちんまりと愛らしい。
そのブラシを、指で弄びながら。
フロラシオン(紅い要塞)に「刺された」脇腹を触ってみた。
脇腹の傷は、すっかり完治しており、一滴の血すら流れていない。
彼女自身、傷の事なんて、どうでも良く。
その意識は、モニターの映像へ向けられていた。
映像の数は、200以上。
研究所全域を占める、監視カメラや防衛システムによるモノだ。
このとき、シュタハスが、とある機能に興味を持つ。
ソレは、彼女の柄に会わない、機関銃による「制圧システム」だった。