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126話・トカゲじゃない…ドラゴンだ


 ブレス(フロスト・エッジ)の標的は、ゴブリンのレ二ズ。


彼は今、六華の種に集中していて…

迫りくる脅威に、気づいていなかった。


そして…


ズゥオオオオオオオオオ!


氷の塊が、レ二ズに衝突する寸前。


あぶないっ!


 後ろからアントスが、レ二ズをタックルで突き飛ばす。


レ二ズを突き飛ばし…

間一髪、氷結の脅威から、彼を庇うことができた。


だが、同時に。

アントスの背中から、感覚が消え去ってしまう。

絶対零度が、神経を死滅させ…膝の力が、崩れ落ちてゆく。


 不幸中の幸い…直撃だけは免れて。

アントスの背中を、氷結のブレスが、僅かに掠ってゆく。

そう、ほんの少しだけ、当たっただけなのに。

ドライアイスの如く、アントスの背中が、凍りついてしまう。


「助かった方」のレ二ズが、アントスの有様を見て…

ようやく、脅威(氷結のドラゴン)の存在に気づく。


「グラスっ!てめえ!」


忌々しい声で叫び、氷結のドラゴンを睨んだ。


 しかし、相手グラスは。

次の標的を、ゴブリンから、瀕死の人間アントスに移した。

緑の液体を垂らしながら…アントスの元へ降り立つ。


そして、一切の容赦なく、追い打ちに移行する。

グラスの口にて、青白い光りが輝き点。

トドメを刺そうとした、そのとき…


 神殿の外…夜空の向こうから。


何か「巨大な物体」が、押し入るように飛んできた。


颯爽と現れた、その物体は…グラスに、体当たりを食らわせた。


 その物体は、ドラゴンの姿をしており、全身に包帯があった。

ボロボロなその「ドラゴン」に、文句を言うレ二ズ。


「寝てろって、言ったろが!」


「このっ!トカゲ坊や!(フラム)」


傷だらけドラゴンは、暴れるグラスを抑えながら。


「トカゲ、じゃない!」


「ドラゴンだ!」


破壊と烈火のドラゴン「フラム」は、精一杯言い返した。


 抑えつけられても、感染したグラスは止められない。

いとも容易く、フラムを押しのけて。

両者の距離が、突き放されてしまう…


フラムは、喉を負傷していて、ブレス(必殺技)を使えない。


だが、相手グラスの「フロスト・エッジ」は、未だに健在。

ゆえに、距離を取られてしまえば、ブレスの的にされてしまう。





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