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125話・凍りつく罠


 冷え切った、氷の世界に…

二人(アントスとレ二ズ)の足音が続く。


一歩、一歩、奥へ進むたび、刻々と下がる気温。


スケートリンクのような環境でも。

滑りやすいとか、足を取られるとか、そんな感じはない。

 

 ただ一つ…床の氷は、音に敏感らしく。

歩く度に、二人の足音を、大きく反響させてしまう。

ゆえに、足音が反響する度…

「何者」かの視線が、監視するように、突き刺さってきていた。


 とは言っても、事は順調に進んでおり。

六華の種まで、僅か3メートル、目標はすぐそこだ。


一粒の種が、虹色に輝く。

その光りを睨み、アントスは、慎重に接近してゆく。


 だが、このとき。


「待てやい…」

後ろからレ二ズが、アントスの肩を掴んだ。


「罠に飛び込む、怪我人がいるかよ」


「お前は、見張ってな」


 アントス(怪我人)に、待つよう告げてから。

レ二ズ自ら、六華の種の回収に挑む。

灰色の手を、ジリジリと、六華の種へ伸ばす。

 

 この瞬間…ヒュッウーーー


凍りついた「零度」の吹雪が、アントスの右頬を、通り過ぎていった。


吹雪の方向は、二人の右上、すなわち「頭上」。


その吹雪は「殺意」を帯びていて…

凍りついた「冷たい殺意」を察し、アントスは、右上の頭上を見上げた。

 

 目に映った存在に、アントスの体が、震え上がった。


だって、そこには「ドラゴン」がいたから。


烈火のドラゴン…フラムと、同格の存在が。

柱の上から、こちらに殺意を、集中させていたから。


ドラゴンの鱗は、白と青に輝き。

その氷の結晶のような姿に、アントスは、緊張して唾を飲む。

 

 沈黙と氷結のドラゴン…

その存在は、誰もが知っている。

破壊の主と対をなす、沈黙の覇者。

世界を戦慄させた「氷結の混沌」。


 そして、ドラゴンの視線と、アントスの視線が、ぶつかった時。

連鎖して、更なる違和感が、加速していった。

氷結のドラゴンの視線は「虚ろ」で、自我らしきモノがなく。

その口元が、グッショリ…と「緑色の液体」で染まっていた。

 

かっ!感染しているッ!


そうと分かった時、もうすでに遅く。

ドラゴンの口から、青白い光りが、ピカリ…と光った。


死角から、氷結のドラゴンの「フロスト・エッジ(必殺技)」が襲いかかってくる。



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